椎名林檎、LIL LEAGUE、大橋トリオ、22/7、藍井エイル……1月11日リリース新譜5作をレビュー
毎週のリリース作の中から注目作品をレビューしていく連載「本日、フラゲ日!」。今回は1月11日リリースの椎名林檎『百薬の長』、LIL LEAGUE『Hunter』、大橋トリオ『ohashiTrio collaboration best -off White-』、22/7『神様だって決められない』、藍井エイル『KALEIDOSCOPE』の5作品をピックアップした。(編集部)
椎名林檎『百薬の長』
緻密に組み立てられたサウンドメイク、個性的な音の位相が楽しい「JL005便で ~Flight JL005~」(砂原良徳)、しなやかなで濃密なベースラインを軸にしたファンクチューンに昇華させた「長く短い祭 〜In Summer, Night〜」(岡村靖幸)、MPCによる刺激的なビートが色彩豊かなメロディを際立たせる「女の子は誰でも 〜Fly Me To Heaven〜 」(STUTS)、硬質でダークな80’s的テクノと官能性に溢れた歌声が溶け合う「浴室 〜la salle de bain〜」(石野卓球)。椎名林檎の初めてのリミックスアルバムは、豊かで多面的な魅力をたたえた原曲を各リミキサーが自由に解体し、才能と才能が響き合う作品。クリエイターの能力と業を強く引っ張り出す椎名の楽曲の奥深さに改めて瞠目させられてしまう。(森)
LIL LEAGUE『Hunter』
LDH史上最大規模のオーディション『iCON Z 2022 〜Dreams For Children〜』から誕生した平均年齢15.6歳のボーイズグループ、LIL LEAGUE。昨年10月にリリースした「Rollah Coaster」がSpotifyのViral Top 50(Japan)で1位を獲得するなど大きな注目を集めてきた彼らがついにメジャーデビューを果たす。1stシングル曲「Hunter」は、THE RAMPAGE、PSYCHIC FEVERなどの楽曲を手がけたトラックメイカー・Ava1ancheがサウンドプロデュースを担当。The Jackson 5を想起させるモータウン系のビートと現代的なダンストラックを融合させたサウンドが印象的なポップチューンだ。楽曲の中心を担っているのは、〈自由のアーチを描け〉〈僕らのFlagを掲げよう〉というラインを描く瑞々しいボーカル。新たな船出にふさわしい楽曲だ。(森)
大橋トリオ『ohashiTrio collaboration best -off White-』
kojikoji、JQ from Nulbarich、りりあ。、Kenta Dedachiとコラボした新曲、そして、Emi Meyer、斉藤和義、布袋寅泰、秦基博、上白石萌音、矢野顕子、Mona(Kitri)、BONNIE PINKとの名コラボ曲をリマスターして収めたベストアルバム。「アーモンド feat. りりあ。」ではリズムを強調したトラックで彼女の新たな魅力を引き出し、「long way home feat. Kenta Dedachi」では現在のグローバルポップに寄り添ったサウンドメイクを選択。「La La La feat. JQ from Nulbarich」ではプロデュースをJQに任せ、大橋トリオはボーカルとドラムを担当している。相手によってスタイルを変え、最適解を導くことで高品質なポップソングへと導く手腕は流石だ。個人的なベストトラック「窓 feat.矢野顕子」。“矢野の歌詞に曲をつける”という大きなチャレンジをモノにした、一世一代の名曲である。(森)