女性アーティストの躍進を支えてきた二つの継続的な取り組み 『Women In Music – EQUAL STAGE』開催の意義

 近年、音楽シーンにおける女性アーティストの存在感がますます高まっている。

 Spotifyの「国内で最も聴かれたアーティストTop100」にチャートインする女性アーティスト数は、2021年が29組に対し、2025年は38組に増加。「海外で最も聴かれた国内アーティストTop100」においても、30組から39組へ増えている。Billboard JAPANの総合ソングチャート「JAPAN Hot 100」でも、女性アーティストの楽曲数は2023年度の211曲から2025年度には256曲へ増加し、年間の総合アーティストチャート「Artist 100」では、女性アーティストのチャートイン組数が32組、34組、36組と年々増え続けている。

 こうした女性アーティストの躍進を支えてきたのが、Billboard JAPANが展開する「Billboard JAPAN Women In Music」や、Spotifyによる「Spotify EQUAL」といった取り組みだ。2022年に始動した「Billboard JAPAN Women In Music」は、自身の活動を通じて社会をエンパワーする女性たちとそれを支える人々を多角的に紹介し、よりインクルーシブな社会を目指すプロジェクト。「Spotify EQUAL」は2021年にスタートしたプログラムで、女性アーティストやクリエイターの活躍を継続的に支援してきた。

 両者のコラボレーションにより、6月9日には東京・SGCホール有明にて『MUSIC AWARDS JAPAN WEEK SPECIAL LIVE Billboard JAPAN | Spotify present Women In Music – EQUAL STAGE』が開催された。イベントには、新しい学校のリーダーズ、Awich、羊文学、LANAという、ジャンルもスタイルも異なる女性アーティスト4組が集結。それぞれの個性あふれるステージが繰り広げられた。

 イベントの司会を務めたのは、mikako (Nagie Lane)と名越涼。公演内では「Spotify EQUAL」への選出をきっかけに海外リスナー数が263%増加したElle Teresa、114%増加した水曜日のカンパネラからのビデオメッセージも放映された。自身もアーティストとして活動しているmikakoは、こうした両ブランドの取り組みについて「(聴いてくれる人の)間口が広がるのが嬉しい」とコメント。また、転換中には本公演に先立って行われた出演アーティストのインタビューも届けられ、その言葉からはそれぞれが自分らしく音楽と真摯に向き合ってきたことが伝わってきた。

 トップバッターを務めた新しい学校のリーダーズは、「Spotify EQUAL」選出後に海外リスナー数が428%増加と、大きな伸びを記録したアーティストの一組。TikTokでの関連動画総再生回数が33億回を突破した「オトナブルー」では歓声が沸き起こり、彼女たちの存在感の大きさをあらためて感じさせた。インタビューでは、「自分の気持ちを大切にしてほしい」「ひとりではなく、共にはみ出す人がいてもいい」と語っていた4人。「個性や自由ではみ出していく」をコンセプトに掲げる彼女たちの信念を表すようだったのが、「乙女の美学」のパフォーマンスだ。既存の価値観に縛られず自分らしく生きることを肯定する本曲からは、しなやかで力強い女性像が浮かび上がっていた。

 観客を積極的に巻き込むパフォーマンスによって生まれたお祭りムードは、続く羊文学にて一変。「OOPARTS」では圧倒される轟音が鳴り響き、累計2億回再生を突破した「more than words」では幻想的な世界観が描かれていく。彼女たちが作り出すサウンドは繊細でありながら力強く、静かな熱を帯びていた。インタビューで塩塚モエカ(Vo/Gt)は、「かっこいい」と思われるようなパフォーマンスをして、そんな自分たちに憧れてバンドを始める人が増えたら嬉しいと語っていた。その言葉通り、彼女たちの凛とした強さが伝わってくる、次の世代へと繋がる力が宿ったステージだった。

 LANAは、ダンサーを従えたゴージャスなステージで観客を魅了しつつ、スタンドマイク一本で歌い上げた「it's okay」ではスモーキーな歌声を会場いっぱいに響かせた。また、「10代で大きな失恋をした時、母に教えてもらった曲」と紹介して披露した「翼の折れたエンジェル」(中村あゆみ)のカバーも印象深く、女性アーティストによる名曲が世代を越えて受け継がれていくことを感じさせる一幕だった。「Drama Queen」では華やかな存在感を放ち、「Like a Flower」ではどんな時も自分を愛しながら生きる強さを表現。圧倒的なカリスマ性とともに、等身大の感情も届けるステージとなった。

 トリを飾ったAwichは、2021年9月の「Spotify EQUAL」選出時から2025年12月までの月間リスナー数が154%増と、Spotifyにおける女性アーティストの飛躍を象徴するアーティストだ。さらに、Spotify公式プレイリスト経由の再生数は476%増、海外リスナー数は776%増と驚異的な成長を遂げている。そんな彼女はMCで、活動初期は自身が数少ない女性ラッパーであるゆえに苦労した経験が何度もあると語っていた。そのうえで、「諦めなければいつでもリベンジできます」と告げて披露された「Revenge」は、道なき道を切り拓いてきた彼女だからこそ、強い説得力を持って響いていた。LANAを迎えた「Bad Bitch 美学」、愛娘・Yomi Jahと歌った「TSUBASA」と、互いを称え合うようなコラボレーションステージを経て、ラストには最新アルバム『Okinawan Wuman』より「A Woman Hung Up」を披露。自身の半生を綴った英語詞をこの日は字幕の映像とあわせて届け、会場を深い余韻で包み込んだ。

 ジャンルもスタイルも異なるが、自身の生き方や価値観を音楽という形で表現している点では共通している4組。彼女たちの姿に勇気をもらい、自分自身を見つめ直す人もいるだろう。少なくとも、筆者はこの日のステージを観てそう思ったひとりだ。女性アーティストたちが国内外で支持を広げ、音楽シーンの中心を担う存在となり、さらに次の世代へと受け継がれていくこと。そんな未来を願わずにはいられない一夜だった。

豪華アーティストが煌びやかな衣装で勢揃い オフィシャル写真で振り返る『MUSIC AWARDS JAPAN 2026』レッドカーペット

6月13日、TOYOTA ARENA TOKYO他にて国内最大規模の国際音楽賞『MUSIC AWARDS JAPAN 2026』…

羊文学、m-flo、HANA、Creepy Nuts、ちゃんみな、サカナクション出演 『Spotify On Stage Tokyo 2025』初開催レポート

オーディオストリーミングサービス・Spotifyが、今年を総括するスペシャルライブイベント『Spotify On Stage T…

関連記事

リアルサウンド厳選記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「コラム」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる