菅原圭、クリエイターとの交流で芽生えた新たな挑戦心 ユニークな発想源やシンガーとして在りたい姿も明かす
友人・春野とのデュエットで得た新しい刺激
ーーどれもアイデアが面白いですね。そうやって完成した曲の編曲を依頼するクリエイターはどのように選んでいるのでしょうか？
菅原：いろいろ聴かせていただいて、「この人いいな。楽曲に合いそうだな」と思った方にお願いしてます。
ーー例えば「ライムライト」を編曲しているトラックメイカーのyuigotさんは、どんな理由で選びましたか？
菅原：yuigotって、壊れたおもちゃ箱みたいな曲を作る人なんですよ。賑やかなんだけど、ちょっと不気味な曲を作ってるイメージを持ってて。それが「ライムライト」に合うなと思ってお願いしました。
ーー確かに『シンデレラ』のような、おとぎ話的な世界観の曲ですよね。
菅原：この曲は、片道だけでもう逃げられない、でも王子様はいないっていう不安と、未来への希望を歌ってます。上京してきた3年くらい前に書いた曲ですね。
ーーということは自分の人生や音楽活動への思いも重ねて作られたんですね。
菅原：そうですね。
ーークリエイター選びで言えば、5曲目の「celeste feat. 春野」は春野さんとのコラボですね。
菅原：春野さんは友人でもあり、アーティストとしてもリスペクトしてて。
ーーこの曲の制作はかなり刺激を受けたんじゃないですか？
菅原：ゲストボーカルを呼ぶこと自体も初めてでしたし、友達として遊んだことはあるんですけど、仕事相手として一緒にやったことはなくて。レコーディングの時はものすごく緊張しましたね。気の知れた相手に自分の書いた歌詞をまじまじと見られて、「ここはどういうイメージで書いたの？」とか聞かれたりして。「下手なことは言えない、良いこと言わなきゃ」みたいな緊張感がありました。気心が知れてるからこそ、ぶっちゃけたことも言えたんですけどね。
ーーデュエットならではの難しさはありませんでしたか？
菅原：女性と男性のキーの違いですね。レコーディングの3日前に、「このキーだったら出しやすいんだけど」って連絡が来たんです。やっぱりボーカルが一番映える状態で録りたいので、それで春野さんが出しやすい音域にキーを調節したりして。たしか最初マイナス3だったところから、プラス1からマイナス1くらいに変えたんです。
ーーそれですぐ対応できる菅原さんもすごいですよね。菅原さんのボーカル表現って多彩で、例えば瞬間的に裏返るような箇所が時々あると思うんですけど、こういったテクニックはいつ頃身につけたんですか？
菅原：小学生くらいの時にはもうこの歌い方だったと思います。自然とこの歌い方をしてました。
ーーかと思えば、あえて声を枯らすようなしゃがれ声も出しますよね。
菅原：特に意識はしてないですね。「こういう歌い方をしよう」というより、どうすれば切なく聞こえるかを意識してるかもしれないです。切なく歌おうとか、泣き出しそうな声がいいなと思った時に、自然とそれが出てるというか。
ーーボーカル面で影響を受けてる方はいますか？
菅原：サザンオールスターズの桑田佳祐さんの歌声が大好きで、よく聴いてます。あの掠れ声を昔から真似してたかもしれないです。それっぽく歌うにはどうしたらいいんだろう、どうすれば自分風に歌えるだろうと考えてましたね。
ーーなるほど。それでは改めて、このアルバムは菅原さんにとってどんな意味を持つものになりましたか？
菅原：「次のステップに行こう」という総集編的な意味合いが強いかもしれないです。活動を始めて3年経ったので、アルバムを作ってみたかったし、「作るなら今だ」と思ってました。今は次につながるようなことをしたいですね。このアルバム制作を通して、もっとできることはあるんだろうなと思ったので。意固地にならずに、色んな人の意見を取り入れつつ、でも自分の考えで曲を作れるようになれたらなと。
ーー今後どんなアーティストになっていきたいですか？
菅原：「長く聴かれるように」というのがずっと念頭にあります。レコーディングの時もそうなんですけど、自分は全部が聴きどころだからと全部全力で歌っちゃうんです。でもそうすると、ずっとクセが強くなっちゃって、一度聴いたらお腹いっぱいになってしまうんですよね。「2〜3回聴くとなんか疲れちゃうんだよね」って言われることもあって。だから控えるところは控えて、盛り上がるところは盛り上がるようにメリハリがつけられるようになりたいです。あと、もっと幅広い楽曲を作れるようになりたい。「前と変わったよね」と思ってもらえるようになりたいですね。
ーー今回のアルバムを出したことで、ライブを期待するファンも増えそうですね。
菅原：自分としては、本音を言うと、今はまだライブをやりたいと思っていないんです。人前に出るのが怖くて。大勢の前に立った時に、パニックになったらどうしようという不安もありますし、複数人に見られてるっていうのが想像できなくて。それを克服するために色んな接客業をやってきたんですけど……。なので最初は配信ライブとかからできたらとは思っています。
■リリース情報
菅原圭 1st digital album『round trip』
2022年12月14日（水）発売
https://linkk.la/round_trip
1. lien 編曲：higma
2. レモネード 編曲：蛙目書店
3. シトラス 編曲：蛙目書店
4. カーテン 編曲：ちばけんいち
5. celeste 編曲・歌唱：春野
6. ミラ 編曲：TOOBOE
7. シーサイド 編曲：蛙目書店
8. フライミ 編曲：PSYQUI
9. ライムライト 編曲：yuigot
10. カミレ 編曲：YK from 有感覚
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