Mrs. GREEN APPLE、映画『ラーゲリより愛を込めて』に重なる大森元貴の生き様 「Soranji」で歌った“繋がりを諦めない心”

 映画の企画プロデューサー・平野隆は「この映画はいわゆる“戦争映画”ではありません。人間賛歌の映画であり、愛の物語です」とコメントしているが(※1)、Mrs. GREEN APPLEもまた、悲しい現実を受け入れた上で、それでも人との繋がりを求める気持ちが私たちにはあるのだと歌い続けてきたバンドであり、今回の主題歌制作ではまさにそれが求められた。結果産み落とされた「Soranji」は、Mrs. GREEN APPLEという生命の起源のようであり、“ミセスが歌ってきたことは結局これだよね”という核心を形にしたという意味ではある種終着点とも言える曲になった。

 それにしても、何という濃度であろう。近い立ち位置の曲として思い当たったのは『Unity』収録の「Part of me」。ミセスの詞曲を手掛ける大森は、自身の内面に潜り込みながらの「Part of me」制作について、「僕を削って曲にしていく作業でしかないから、僕がやられるのが先か、曲ができるのが先かというバトル」と振り返ったが(※2)、熱量の種類がそれに近く、ここまでやるか、ここまで自分の傷を抉るのか、と思わざるを得ない領域に達している。もちろん山本の心情に寄り添った曲ではあるが、相手を慮りながら自分とはかけ離れた物事に近づいたというよりかは、大森が自分の感情を素直に書いた結果、それが映画とも重なったという印象に近い。この曲を聴いていると、部屋の隅で一人膝を抱える大森の姿が思い浮かぶ。

 と書くと、「大森のソロ曲でもよかったのでは?」という話になりそうだが、むしろその逆。「青春だった」と振り返ったフェーズ1での日々を綺麗な思い出として保存するように、そこでバンドを終えてしまう選択肢もあったにもかかわらず、“バンドを続ける”という決断をし、「走り出すのが怖かった」(※3)と吐露しながらも活動再開したのがフェーズ2のMrs. GREEN APPLEであれば、そこに対する大森のリアルな感情が綴られたこの曲は、人生最大の喪失感を一緒に乗り越えた仲間である若井滉斗(Gt)、藤澤涼架 (Key)とともに鳴らされるべきだ。大切な仲間を失う怖さを知ってもなお、苦楽を分かち合う仲間とともに音楽を紡ぐ道を選んだこと。どうしたって人には愛し愛されることを求める心があるのだから、それならば希望を歌っていたいし、語り継ぎたいのだという生き様。「Soranji」は現在開催中のツアー『Mrs. GREEN APPLE Zepp Tour 2022 ゼンジン未到とリライアンス〜復誦編〜』で披露されているが、今彼らが鳴らすべき曲として格別な輝きを放っている。

 シングル『Soranji』には映画『ONE PIECE FILM RED』の劇中歌として提供した「私は最強」のセルフカバーも収録されているが、ウタ(Ado)による原曲は早くもストリーミング累計再生数1億回を突破とハイスピードで世に浸透中。核心を突き詰めるとともにますます広がりを見せるフェーズ2のMrs. GREEN APPLEである。

※1 https://lageri-movie.jp/
※2 https://realsound.jp/2022/07/post-1068820.html
※3 https://realsound.jp/2022/07/post-1080886.html

Mrs. GREEN APPLE『Soranji』

■リリース情報
Mrs. GREEN APPLE『Soranji』
2022年11月9日(水)発売
【初回限定盤CD+DVD】¥1,980(税込)
①オリジナルスリーブ付き豪華特殊パッケージ
②「Soranji」MUSIC VIDEOの世界観を写真で伝える別冊PHOTO BOOK(24ページ)
【通常盤CD】¥1,320(税込)

<CD収録内容>
1. Soranji ~映画『ラーゲリより愛を込めて』主題歌~
2. 私は最強
3. フロリジナル

<初回限定盤特典DVD>
Documentary -- Episode 2 “Soranji”(本作品の制作過程に密着したおよそ50分に及ぶドキュメンタリー)

Mrs. GREEN APPLE Official Website

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