伊藤美来が語る、ハロハピ 弦巻こころ役を通して身につけたポジティブ思考 「私自身たくさん救われてきた」

 次世代ガールズバンドプロジェクト『バンドリ!』の中でも、特にトリッキーな魅力を持つバンドが伊藤美来(弦巻こころ役)、田所あずさ(瀬田薫役)、吉田有里(北沢はぐみ役)、豊田萌絵(松原花音役)、黒沢ともよ(ミッシェル(奥沢美咲)役)からなるハロー、ハッピーワールド!だ。

 Afterglow、Pastel*Palettesと共にプロジェクトに登場したハロハピは、“世界中に笑顔を届ける”というテーマのもと、『バンドリ!』随一のポップさでバンドリーマー(ファン)の人気を獲得。11月12日開催となる『BanG Dream! Special☆LIVE Girls Band Party! 2020→2022』には、ハロハピとして伊藤美来が出演する。

 ソロでの音楽活動デビューとほぼ同時期に『バンドリ!』に参加した伊藤美来。天真爛漫でやや浮世離れした弦巻こころの演技、オリジナル曲やカバー曲で多種多様な楽曲に挑戦したレコーディングなど、『バンドリ!』での5年間は彼女の声優/歌手キャリアにおいても大きな意味を持つという。本インタビューでは、『バンドリ!』が伊藤に与えた影響や成長、弦巻こころと歩んだ5年間の軌跡について話を聞いた。(編集部)【最終ページに読者プレゼントあり】

「感情が“楽しい”から動かないからこそ、演じるのも難しくて」

ーー『バンドリ!』も5周年と、節目のタイミングを迎えました。

伊藤美来(以下、伊藤):ここまであっという間でびっくりしています。その5年の間には新しいバンドも増えましたし、『バンドリ!』自体が猛スピードで進んでいた印象ですね。

ーーハロー、ハッピーワールド!(以下、ハロハピ)も1stシングル『えがおのオーケストラっ!』を2017年8月にリリースしてから、すでに5年経過しています。

伊藤:私が20歳のときですから、「えー!」って感じですよね(笑)。

ーー長期間にわたり同じ役を演じることは、ほかのコンテンツでも経験があると思いますが、こうして歌唱を伴う形でコンスタントに年続けることで、ご自身の中で変化を感じる瞬間もあったのではないでしょうか?

伊藤:この5年間でカバーとオリジナルを合わせて何曲歌ったんだろう?っていうぐらい、本当に『バンドリ!』のおかげでたくさん歌う機会やレコーディングする機会をいただいて。最初は戸惑いや試行錯誤みたいなことも結構あったんですけど、弦巻こころとして鍛え上げられてきたというか。カバーにしても、こころとして「この歌手の方のこの曲を歌うんだったら、こうなるかな?」みたいなことが想像しやすくなったところはありますね。

ーー最初に設定をいただいた頃と比べて、キャラクターとの向き合い方や気持ちの乗せ方に関しても、年々変化もあったのかなと。

伊藤:そうですね。こころの言動がほかの子に勇気を与えたり、お互いに切磋琢磨して成長しているところもありますけど、こころは芯の部分がブレない子なので、変わらないところは変わらず、その中で新しい表情とか顔を見せてくれることで、演じていてどんどん愛着が湧きますし。これからも違う顔が見られるのかな、なんてワクワクしています。

ーー例えば、『ガルパ』(『バンドリ! ガールズバンドパーティ!』)のストーリーが展開していく中で、最初に思い描いていたこころのイメージがどんどん印象が変わったり、あるいはアニメのストーリーで「こういう子なんだ」という発見があったりもした?

伊藤:はい。最初のこころの印象は、お金持ちで世間知らずで何事にも興味津々、好奇心旺盛で、ネガティブな感情やマイナスの感情がゼロというもので、そこからキャラクターを作り上げていったんですけど、やっぱり周りの子たちも年頃の女の子だからいろんな事件が巻き起こるわけで。ストーリーの中でも、ハロハピの中でも、他のメンバーが様々な葛藤や悩みを経て成長していくという過程に対して、こころは「なにそれ、そんな顔していたら楽しくないじゃない!」みたいに(笑)、まったく寄り添えていなかったところがあったんです。こころにとっては「世界を笑顔にする」ことが一番大事だったけど、ハロハピの仲間に自分のわからない感情を教えてもらうことで変化があって。自分ひとりじゃ世界を笑顔にできないし、みんなと一緒だからこそできることがある、私たちが笑顔じゃないとみんなを笑顔にできないってことにちゃんと気づけてきたところは、すごい成長だなと思いますね。

ーー協調性みたいなものが、少しずつ身に付いてきた?

伊藤:相変わらず協調性はない気がするんですけど(笑)、ちゃんと寄り添うことはできるようになってきたし、笑顔のためならひとりでもいいぐらいに思っていたのに、やっぱりみんながいないと私も笑顔になれないというところで、仲間を大切にする気持ちは芽生えてきたのかなと思います。

ーーそういうキャラクターの声を、どのように作り上げていったんでしょう?

伊藤:「“3バカ”(こころ、瀬田薫、北沢はぐみ)の中のリーダーです」っていうのと(笑)、とにかく明るいみたいな感じで、モーションも最初のほうは「泣き顔がない」とか、困った顔の絵や動きがそもそも作られていないと聞いていて。普通の子だったら嫌だと思うことも全部明るく受け止めて、笑顔で受け答えするみたいな感じで、とにかくずっと口角を上げて、アフレコでは音が入らないぐらいに自分も動きながら収録をするっていうぐらい、元気いっぱいに跳ねるようなキャラ作りを心がけました。でも、感情が“楽しい”からずっと動かないからこそ、演じるのも難しくて。「普通の子だったらここは怒るところだけどなあ?」とか「ちょっと悲しくなるところじゃないかな?」とか思って、ちょっとそういった思いを乗せちゃうとブレちゃうというか。こころの明るすぎて変わったところ(笑)や、何を言われても動じないあの貫禄のある感じはやっぱりブレたくなかったので、最初はそこに苦労した記憶があります。

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