テイラー・スウィフト、『Midnights』が驚異の再生記録を更新 ドレイク越え&アナログ売上も絶好調の理由とは?
今年の8月28日に行われた『MTV Video Music Awards』にて、ショートフィルム「All Too Well」でベストロングフォームビデオ賞を受賞したテイラー・スウィフト。彼女はその受賞スピーチで10枚目のアルバムを10月21日にリリースするとサプライズで発表した後、日付が変わったタイミングでアルバムタイトルが『Midnights』であることを明かした。SNSにて「私の人生に散らばった13の眠れない夜についてのストーリー “Midnights”が10月21日にリリースされる。深夜に会いましょう」と情報を解禁し、「私たちは愛と恐怖、そして混乱と涙のなか眠れずにいる。壁を眺めて、返答がくるまでお酒を飲む。自分で作った籠のなかで捻じ曲がり、この瞬間に人生が変わってしまうような決断をしないことを願う。これは深夜に書かれた、恐怖と甘い夢への旅。歩む道と、直面する悪魔。寝付けず、0時を回ったら本当の自分に会えると願いながら、電気をつけたまま探しにいくことを選択した人たちへ」(※1)と、アルバムのコンセプトを明かしていた。
『Midnights』は、10月21日にリリースされてから24時間以内にSpotify、Amazon Music、そしてApple Musicのストリーミング記録を更新している。10月21日にはSpotifyの「発売初日で最も再生されたアルバム」という記録を塗り替え、さらに収録曲全13曲が、Spotifyグローバルチャートのトップ13を独占した。リード曲「Anti-Hero」はアメリカにおける1日の再生記録も更新している。Apple Musicではリリース初日で最も再生されたポップアルバムになり、「Lavender Haze」は「Apple Music Top 100: Global」チャートで初登場1位を記録した。Amazon Musicでも「リリース初日で最も再生されたアーティスト」の称号を得ている(※2)。
『Midnights』が打ち立てた記録はストリーミングだけではない。音楽データを統計する「Luminate」によると、『Midnights』はわずかリリース3日で120万枚相当のユニットの売上を達成している。テイラー・スウィフトが2017年にリリースした『Reputation』以来、リリース初週で100万以上のユニットを達成した作品は存在していなかった。
大物アーティストでも、リリース初週で100万枚の売上を超えるのが難しいと言われているストリーミング時代であるが、興味深いことに『Midnights』の3日間における120万枚のセールスのうち、約8割がストリーミング以外からの売上となっている。95万枚以上のセールスがデジタルダウンロード、CD、カセット、そしてアナログからきており、21世紀における週間アナログアルバムの売上記録を1日で更新している。驚くことに『Midnights』のアナログ盤は3日で50万枚以上の売上を記録しているが、そこからはテイラー・スウィフトのグッズ戦略が見えてくるとも言えるだろう。
テイラー・スウィフトは、自身の公式サイトでTシャツ、アイマスク、オリジナルギターなどのグッズの他、ムーンストーンブルー版、ジェイドグリーン版、ブラッドムーン版、マホガニー版などバージョン違いの『Midnights』アナログ盤を販売している。それぞれ違うジャケットの他、マーブル加工がされたレコード、そして未公開写真が収録されたブックレットが付属しており、このようにコレクションとして価値があるアナログ盤を複数用意することにより、週間アナログアルバムの売上記録をわずか1日で更新した。