Newspeak、メジャーで挑戦する未踏の地 バンドの信念とロックが再び多くの人に届く未来

Newspeak、メジャーで挑戦する未踏の地

 デビュー以来、その規格外のクロスオーバーサウンドで日本のロックシーンに独自のポジションを確立してきたNewspeak。待望のメジャー第一弾EPとなる『Leviathan』は、そんなNewspeakのリスタートを感じさせる、上昇していく強烈なパワーとポジティブなバイブに満ちた作品に仕上がった。2017年に結成。英リバプール帰りのボーカリストRei、カナダ人ドラマーSteven、ベーシストのYoheyのバラバラな個性を強みとして、「ロック」にも「ポップ」にも括られない未踏の地で冒険を続けてきた彼らは、いよいよメインストリームにその照準を合わせようとしている。EPのタイトルトラック「Leviathan」がHonda FIT e:HEVのCMソングとしてお茶の間を賑わせる今、彼らは何処を目指すのか。3人に話を聞いた。(粉川しの)

音楽を楽しみたいということがすごくクリアになった

――新EP『Leviathan』を聴かせていただきまして、過去のNewspeakの作品と比べると、かなり突き抜けた印象を受けました。以前の楽曲はどこかクールで抑制的、熱を奥に秘めているように感じたんですけれど、今作はエネルギーが一気に外に放出されているなと。

Rei:『Turn』という2作目のアルバムを作ったときに、すごくコンセプチュアルな作品だったので、いろいろ考えすぎてしまった部分がありました。でもこの2年間で、そういった作り方に結構疲れちゃった部分があって(笑)。それで、前作を作り終わった後に、とにかく単純に音楽を楽しめばいいんじゃない? みたいなテンションになって……そういうテンションが、今作には反映されているのかもしれません。クールでいようとか、自分たちはこういうスタンスだとかを考えるよりも、単純に音楽を楽しみたいし、楽しんでほしいということがすごくクリアになったのが、もしかしたらおっしゃっていただいだような印象を受けるのかもしれませんね。

Yohey:今作のサウンドメイキングの観点で言うと、Newspeakを始めた当初から僕らは自分たちでトラッキングして、ミックスもしていたんですけど、前回はミックスだけ外部に投げてみたり、徐々に段階を踏んでやっていく中で、自分たちでできるからこそ自分たちをパッケージングしちゃうというか。それがクールな感じとか、表情が見えづらい感じが出ていたのかなと思います。でも今回、レコーディングを進めていく中で、Newspeakらしさ、人間らしさってどういうことなんだろうということを、話すようになりました。

――その会話の中で、Newspeakらしさはどんな言葉で表現されていったんでしょう。

Yohey:特に具体的にこれだという言葉ではなかったんですが、やっぱりStevenのドラムのダイナミックさとか、Reiのボーカルの表現力をコンパクトにしすぎないようにというのは、すごく話しましたね。もちろんボーカルは拘りましたが、その上で今作はかなりラフというか、自分たちをさらけ出したというか。あとは単純に、5年も一緒にやったんだから、もう一回音楽を楽しみたいねみたいな感じでした(笑)。

――「Leviathan」の〈Wind up the stairs / I see an open door(階段を登りきると開いたドアが見える)〉という最後の一節がすごくいいですよね。あれは大変だった2年間を乗り越えての辿り着いた心境ですか。

Rei:そうですね。でも結局、今も階段を登り続けている。コロナ禍で作った「Blinding Lights」にせよ、未だに何かから出たがっているし(笑)。常に出られないよね。出ようとしているんですけど(笑)。実はさっきも、ロックの曲って、すごくネガティブな曲が多いということを話していたんですけど。

Steven:Spotifyのロックのプレイリストを1時間半くらい聴いていたんですけど、本当にネガティブなことばかりを言っているなと思いました。

Rei:そうしたネガティブなエモーションを爆発させる場所として、ロックンロールがあるのかもしれないし、だから自然とそうなっていくのかもしれない。難しいよね。超ハッピーなやつを歌っても、なかなかしっくりこないことのほうが多い。

Yohey:でも、ハッピーになりたいな、くらいがちょうどいいのかもしれない(笑)。

――ハッピーじゃないからこそ、ハッピーになりたいと歌うという。

Steven:ひねくれている(笑)。

――(笑)。ひねくれていると言えば、『Leviathan』というタイトルはどういう意味なんですか。何か深読みさせるものだと思っていいですか。

Rei:いや、深読みをしなくていいです(笑)。サビのド頭で、“自分で見ていた壁に描かれた空は 本当の空じゃなくて、それを超えていく”という一節があるんですね。“壁に描かれた空”という箇所には、僕がこの2年間に感じていたこと、振り返ってみるとあれって全部ジョークだったんじゃないかっていう感覚が込められているんです。2年間、夢の中にいるみたいだったじゃないですか。“Leviathan”って旧約聖書にも出てくる海の怪獣なんですけど、そういうよくわからない怪獣に乗っかってでも、このジョークみたいな状態を抜け出して、新しい世界を見たいと思いました。

Steven:人間のマインドがパワフルということを伝えたい。自分のマインドを変えるのはすごく難しいし、実は辛い思いもあるけれども、それでも自分の頭の中でLeviathanというモンスターを育てて戦いに挑んでいるようなイメージです。マインドがパワフルであれば、何でもできるんですよという曲だと思っている。

Newspeak - Leviathan (Official Music Video)

――3曲目の「Bonfire」もスケールがスタジアムロック級で、例えばImagine Dragonsを連想してしまう曲でした。

Rei:そう言われると確かに。これも、音楽を楽しもうという感じの曲だね。

Yohey:Newspeakでとにかく1回、シンプルに楽しめる曲を作るとどうなんだろうなというところも軸にはあったりしました。

――2曲目の「Where Is Your Mind」だけテイストが違って、すごくファンキーなリズム主体のナンバーですよね。

Yohey:今までのNewspeakが持っていたところがしっかり出ている部分が強いなと思いますね。それぞれのパワープレイとかもあります。

Rei:そうですね。これは何曲かのピースを無理矢理組み合わせて作ったみたいな曲ではあります。いろいろなところのリフをとってきて、パズルみたいな曲ですね。

――今までそういう作り方をしたことはありましたか。

Rei:結構ありますね。この曲にこのリフ合うんじゃない? って入れちゃったり。曲によって作り方は本当にバラバラなんです。一人で海に行って、そこにいる人達を見ていたらできた曲もあるし(笑)。ボイスメモに残しておいたメロディを元にトラックを作ることもあれば、トラックから適当にリフや歌を作るっていうこともある。あまり自分のやり方を設定しすぎない方が楽しみ続けられるし、いろいろな曲ができるのかな。

Steven:Reiのファーストデモの状態で作っている曲もあるし、100%変わっている曲もあったりする。

Rei:自信持ってメンバーに聴かせたのに、めっちゃいちゃもんつけられることもあります(笑)。なんだよ、ダメ出しされた曲のリフは気にいっていたのにな……ということで、そのリフを使って別の新しい曲を作ったら、そっちは「めっちゃええやん!」ってなったりすることもありますね。

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