=LOVE、夢のステージ 東京ドームへと続く道 齊藤なぎさの卒業も発表された5周年記念コンサートを振り返る

=LOVE、5周年記念コンサートレポ

 「Be Selfish」に始まり「あの子コンプレックス」まで、MCなしでおよそ1時間、14曲(もはやこれが通常運転になっているのがすごい)を立て続けに披露したイコラブは、ライブ後半からはバックバンドの生演奏に乗せて楽曲を歌唱していく。イコラブが初めてバンドの生演奏をバックにしてライブを行ったのは中野サンプラザホールでの2周年記念公演の際。さらに2020年から2021年にかけて開催されたWINTER TOUR『You all are “My ideal”』でも、バックバンドが登場。公式YouTubeチャンネルにも映像が公開されている「青春”サブリミナル”」の名パフォーマンスがファンにはお馴染みだろう。

 そんな同ツアーの武道館公演以降に発表された「Oh!Darling」や「夏祭り恋慕う」「笑顔のレシピ」といった楽曲をバンドサウンドとして新たに生まれ変わらせながら、「探せ ダイヤモンドリリー」「青春”サブリミナル”」といった生演奏との相性抜群な疾走感のある青春ソングでは、前回からおよそ1年半の月日の中で確実に成長した歌唱力をメンバー一人ひとりが発揮していく。

 特筆すべきは「アイカツハッピーエンド」と「=LOVE」。コロナ禍以降、声出しができない代わりに改めて見つめ直されているのが、クラップだ。「アイカツハッピーエンド」では客席から送られる力強い手拍子が徐々に一体感を生んでいく。生演奏かつ有観客、そして今の世情が相まった特有の盛り上がりと言える。さらに「=LOVE」はキーボードのしっとりとした演奏に髙松のソロから始まる、特別なアレンジバージョンとなった。言わずもがな「=LOVE」は2017年にリリースされたデビュー曲。グループにとって節目となる5周年記念コンサートを彩る1曲として欠かせない楽曲であり、「青春”サブリミナル”」とはまた違った11人の5年間での成長を感じさせる。また、スクリーンに映し出される5年間の中でのメンバーの数多のオフショットからは、グループが積み重ねてきたたくさんの思い出を想像させるとともに、スタッフ陣のチームとしてのグループ愛も垣間見えた。

 アンコールでは『Be Selfish』から「好きって、言えなかった」を初披露。=LOVEと≠MEの楽曲をベースにしたドラマ『もしも、この気持ちを恋と呼ぶなら…。』(ABCテレビ)のW主題歌の1曲で、野口がセンターを務める楽曲。淡く不器用な恋心を綴ったラブソングをセンチにパフォーマンスしていた。

 既報の通り、アンコールの終盤には齊藤なぎさから=LOVEを卒業することが発表された。プロデューサーである指原莉乃やかけがえのないメンバー、スタッフ、ファンへの感謝の思いを口にしながら、彼女が語ったのは高校を卒業し、来年20歳を迎える今、居心地のいい=LOVEに甘え続けてしまうことに対して何度も悩んだ結果、一歩外の世界に踏み出したいという決意。そして、演技の仕事という=LOVEに入って新しく見つけた夢だった。齊藤なぎさは早くから単身でグループを飛び出し、俳優として活躍している一人。2019年に公開された映画『夏の夜空と秋の夕日と冬の朝と春の風』にてデビューを飾り、今年1月放送のドラマ『もしも、イケメンだけの高校があったら』(テレビ朝日系)に出演。特に4月オンエアのドラマ『明日、私は誰かのカノジョ』(MBS・TBS系)で演じたゆあ役は、原作ファンも認めるハマり役となった。

 卒業発表時の悲鳴にも似た驚きの声や終演後、同行者に支えられるようにして会場を後にする齊藤なぎさ推しのファンを目の当たりにしていることもあり、その衝撃度と=LOVEにおける齊藤なぎさという存在の重要性を改めて痛感している。ただ、そんな順風満帆な今の「=LOVE 齊藤なぎさ」という肩書きを手放してでも、彼女は俳優業への夢と覚悟を持ったということでもある。

 「これからも=LOVEと齊藤なぎさの応援を」という山本杏奈の未来を見据えた言葉が、やがて訪れる卒業後を想像させながらも、自身のソロ曲にかけて齊藤なぎさは、まだまだ“現役アイドルちゅ〜”だと明るく振る舞って見せる。コンサートのラストを締めくくるのは「866」。指原が2周年記念コンサートのために書き下ろした楽曲だが、〈ずっと一緒にいたいけど きっと永遠じゃないから この青春抱きしめるよ いま君と進みたい〉という歌詞には新たな意味合いが乗っていた。

 今回の5周年記念コンサートを現地で観ていて感じたのは、今の=LOVEにとって国立代々木競技場 第一体育館は会場としてすでに小さいということ。「笑顔のレシピ」やアンコールで披露された「『君と私の歌』」に描かれている、そしてライブのMCで髙松が言葉にもしていた「もっと大きいステージ」を観たいと、5周年の先に夢を見させてくれる公演だった。齊藤なぎさの卒業はグループにとって大きな転換点となるが、=LOVEは止まらない。そのことがきっと彼女の背中を押す一番のエールになるはずだから。

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