ヤングスキニー、若者の共感呼ぶ“矛盾だらけな日常の歌” コロナ禍での結成からライブの集客へと繋がった背景

ヤングスキニー、若者の支持を集める背景

 「ワンナイト」「バンドマンの元彼氏」といったインパクトのある題材とともに普遍的な感情を歌う失恋ソングを得意とする一方、代わり映えのない毎日の中でふと何となく世界に絶望してしまう感じをそのまま形にした「憂鬱とバイト」、環境の変化に伴う葛藤や戸惑い、寂しさを歌った「東京」など、恋愛以外をテーマにした曲でも若者の繊細な感情を上手く表現しているヤングスキニー。そして今は、10月5日にリリースした新曲「本当はね、」が話題だ。読点(、)で終わるタイトルが示唆しているように、好きな人に対して素直になれずにいる女子の本心を歌ったアッパーチューン。〈メイクもヘアセットも全部あなたのため/あなた好みの可愛い女になりたいわ〉と好きな人のために努力するも、〈意地張っちゃって強がっちゃって 嫌われてないかな?〉と不安は消えない。そんな心情を描いた歌詞に「共感する」「女心分かりすぎてる」といった声が続出している。ピアノを取り入れたバンドサウンドは明るく軽やかで、ウォーキングベースを用いたり、ギターにワウを噛ませたり、ドラムをきっかけにアウトロで大胆に拍子を変えたりといった展開も楽しい。

 一方、最後に歌われるのは〈本当はね、私気づいてほしかったの〉という言葉であり、ヤングスキニーの他の曲にも通ずる“私を見てほしい”という願い。その願いはシンプルだが、シンプルだからこそ叶わなかった時に余計に苦しくなるし、その願いを叶えられる“あの子”と“私”の違いって何だろう? と落ち込んでしまうものだ。サウンド&曲構成によるポップな雰囲気と歌詞に滲む悲しみ、外側と内側のギャップは、“素直になりたいのになれない”という主人公のキャラクターと重なる。荒削りな演奏が矛盾ばかりの心を歌う歌詞にマッチしていた結成当初にも当時ならではの良さがあったが、もどかしく切ない感じを曲全体で表現しているのがこの「本当はね、」であり、バンドの成長が感じられた。

ヤングスキニー - 本当はね、【Official Music Video】

 そんな「本当はね、」はリリースとともに各種プレイリストに続々とリストイン。さらに10月8日には、LINE MUSIC内のランキング「邦楽Rock Top 100」で1位を獲得し、連日前チャートの上位にランクイン。YouTubeにあるMVは公開から10日で50万回再生突破と、これまでにないスピードで再生数を伸ばしている最中で、ここからさらなる盛り上がりが予想される。

※1、2:https://www.yangskinny.com/bio

ヤングスキニー「本当はね、」

■リリース情報
ヤングスキニー
配信シングル「本当はね、」
2022年10月5日(水)リリース
TBS『王様のブランチ』10月度エンディングテーマ
配信はこちら

会場限定盤『本当はね、』
¥1,000(税込)
<収録内容>
1.本当はね、
2. ヒモと愛 demo

Official HP

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「アーティスト分析」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる