SKE48、須田亜香里ラストシングルがチャート首位 全収録曲に共通する、過ぎゆく時間を重んじるメッセージ
一転して、Type-B収録の「New Ager」は軽快なダンスチューン。〈並木道〉や〈陽の当たるこのベンチ〉〈星空〉といった情景を喚起させるワードを用いて視覚的に描きつつ、〈秋風〉や〈カーディガン〉といった季節感を持った言葉が散りばめられた色彩豊かな歌詞が特徴。そうした中でポップソングらしく〈やりたいこと もっと もっと やらなきゃ〉〈何回でも トライ トライ してみよう〉と未来に向かって積極的に動き出そうと歌っている。聴き手が想像しやすい世界観作りと、ポジティブなメッセージとが合わさった一曲である。
Type-Cに収録されている「片想いフォーエバー」は、片想いをテーマにした1970年代ディスコ歌謡風の楽曲。一聴してAKB48「恋するフォーチュンクッキー」を思わせる作りで、どこを切り取っても聴きやすく歌いやすい、ある意味で原曲よりも「恋チュン」的な一曲だ。作曲編曲はバンド・コハクノアカリのメンバーである中村歩と菊池博人の2人。48系では、これまでにHKT48「キスの花びら」などに参加している。
劇場盤に収録されている「私の時計」は、1980年代シンセポップ風のサウンドに〈人生の一瞬を大切にしなきゃね〉といったフレーズが盛り込まれた一曲。要所で英語が差し込まれたリズミカルな作りが楽しい。
総じて、どの曲にも「時間が過ぎるのは早く、今できることをしよう」といったメッセージが貫かれている印象のある今作。グループにとって大きな存在であった須田の最後のシングルとあって、過ぎていく時間への強い意識が、作品全体に表れている。