Original Love 田島貴男、正真正銘“攻めのセットリスト”を披露した日比谷野音 現在進行形の音楽が導いた最高の夜

Original Love、野音で見せた“攻め”の姿勢

 これでもうハイライトには十分だと思えるが、そこでも田島貴男はありきたりな「ハイライト」を許さない。自身のギターの爪弾きから「接吻」へ。さらに「ラヴァーマン」(2015年)から「The Best Day of My Life」(1994年)への流れには、声を自由に出せないはずの客席から「ふう」とうめくような声があちこちから聞こえた。小松秀行(Ba)と佐野康夫(Dr)という黄金時代のOriginal Loveを支えたリズムセクションは今回もおそろしく現代的なリズムを刻み出していたし、田島と長年の盟友である木暮晋也(Gt)、真城めぐみ(Cho)もクールに必要な音をグルーヴに添えていた。「今日が人生最良の日」を更新し続けている説得力があるから、懐かしいと感じるヒマがない。

 そして「The Rover」(1994年)から本編ラスト「Love Song」(1991年)へ。「Love Song」のブレイクで、田島は客席に語りかけた。

「俺はまだまだ行きますよ。みなさんも行きましょう」

 メジャーデビューの頃から歌ってきたこの曲で、30年を超えても「まだまだ行きますよ」と言える攻めの強さ。そして「みなさんも行きましょう」と手を差し出す。若いロックバンドのように「ついてこいよ!(ついて来れなくても先に行くぜ)」と今でも言えたらいいのかもしれない。でも、「一緒にもっと先まで行きましょう」が、今のOriginal Loveにはきっといい。自分が攻めるその先の景色はきっとまだまだ面白いよ、と楽しむことをあきらめないし、人にもあきらめさせない。このMCが、この最高な夜に一番しびれた瞬間だったかもしれない。

 アンコールは、アルバム『bless You!』からもっともロックンロールな1曲「逆行」。その1曲で駆け抜けて、フィードバックさせたギターを置いたまま、振り返らずに田島貴男はステージを去った。この夜、Original Loveは「攻めのセットリスト」の常識を塗り替えた。

■ライブ情報
『ひとりソウルツアー2022』
10月7日(金)梅田クラブクアトロ OPEN/START 18:00/19:00
10月23日(日)高松オリーブホール OPEN/START 16:30/17:00
10月29日(土)浜松・窓枠 OPEN/START 17:30/18:00
10月30日(日)京都・磔磔 OPEN/START 17:30/18:00
11月3日(木)東京LIQUIDROOM OPEN/START 16:00/17:00
11月13日(日)新潟ジョイアミーア OPEN/START 17:00/17:30
11月20日(日)名古屋クラブクアトロ OPEN/START 16:00/17:00
11月26日(土)仙台Rensa OPEN/START 17:00/18:00
12月3日(土)福岡DRUM LOGOS OPEN/START 16:30/17:00
12月4日(日)熊本B.9 V1 OPEN/START 15:30/16:00
12月10日(土)旭川カジノドライブ OPEN/START 18:00/18:30
12月11日(日)札幌ペニーレーン24 OPEN/START 17:00/17:30

チケット料金:¥6,000(ドリンク代別)
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