BEYOOOOONDS 平井美葉&小林萌花&里吉うたのインタビュー ハロプロ研修生を経ていないSeasoningSならではの視点
SeasoningSの強みは“一般人目線”
──ひとつすごく残念だったこととして、『TOKYO IDOL FESTIVAL 2022』にBEYOOOOONDSの3ユニットがそれぞれ単独で出演する予定があったじゃないですか(※BEYOOOOONDSはメンバーの新型コロナウイルス感染のため出演キャンセル)。
平井・小林・里吉:そうなんですよー……。
──もちろん仕方ないことではあるんですけど、個人的にはぜひとも実現してほしかったなと。
平井:外部のそういう大きなイベントにユニット単位で出演できる機会なんてなかなかないですし、本当に今回のことは残念だなと思うんですけど……でも、デビュー当初は右も左もわからなかった私たちが、今ではそういう場に呼んでいただけるところまで来られたということでもあるので。私たち3人はハロプロ研修生を経ていないこともあって、最初の頃は本当に「どうしたらいいんだろう?」と悩んでばかりだったんですね。CHICA#TETSUや雨ノ森 川海のメンバーはもともとハロプロ研修生として活動していたから、彼女たち同士は一緒にいる歴も長くて。
小林:最初の頃は怖かったよね(笑)。
平井:そう(笑)!
里吉:「私たち、大丈夫かな?」みたいなね。
小林:しかも3人っていう、一番小さい勢力で(笑)。
平井:だから当時は不安だったんですけど、今では自信もついて。まだまだ行けると思っていますし、また『TIF』のような機会をいただけたら、さらにパワーアップしたSeasoningSをお見せしたいなと思っています。
──逆に、ハロプロ研修生を経ていないからこその強みみたいなものは何か感じていますか?
平井:私は加入前にアルバイトを経験していたり、ある程度社会というものに触れてから加入できたのは大きかったかなと思っていますね。そのことによって、私たちを応援してくださる皆さんと同じ目線を持てるというか。それは幼少期からずっと芸能界の中にいるとなかなか持てない感覚なんじゃないかなと思うので。
小林:ある程度大人になってから入ったことで、自分や周りの状況を冷静に判断しながら活動に臨めているところはあると思います。ただ、それはメリットであると同時にデメリットでもあるような気はしているんですけど。後先を考えずにがむしゃらに活動する、みたいな時期を経験できなかったということでもあるので。
里吉:私は、高校3年生でオーディションを受けるまでは普通の学生として過ごしていたので、一般の中高生くらいの子たちの「アイドルのここが知りたい」「推しのこういうところを見たい」という気持ちを実感として理解できるのは強みなんじゃないかなと。
小林:わかる! でも、中に入るとけっこう忘れちゃうよね、オタク心を(笑)。自分では「絶対に忘れない」と思ってたんですけど……。
里吉:ホントに。それを、できるだけ忘れないよう気をつけています。「自分がオタクとしてアイドルに望むものを、アイドルとしてファンの皆さんにお届けする」というのを活動のテーマにしているところがありますね。
私たちのやってきたことを認めてもらえた
──もうひとつ最近の大きなトピックとして、BEYOOOOONDSにとって初めての後輩グループにあたるOCHA NORMAが今年7月にデビューしました。このことはどんなふうに捉えていますか?
平井:OCHA NORMAのみんなのパフォーマンスを見たとき、本当にクオリティが高いし、自分の見せ方をすごくよくわかってるなと感じました。「自分のデビュー当時はあんなことできてなかったな……」と思う瞬間もあって、「追いつかれないようにがんばらなきゃ!」って。私は性格的に、焦った気持ちで物事にあたることがすごく嫌なタイプなんですけど、彼女たちの存在がすごくいい刺激になっていますね。
里吉:私は、OCHA NORMAのグループカラーがBEYOOOOONDSとは全然違うから、いい意味で“後輩感”がないというか……。
小林:わかる。流派が違う感じ(笑)。
里吉:そうそう。だから純粋にファン目線みたいな感じで。私は『ハロドリ。』(テレビ東京)とかも観ているタイプなので(笑)、先輩としてというよりはいちアイドル好きとして楽しませてもらっています。「ハロー!プロジェクトに新しく誕生したアイドルグループだ!」って。いや、私たちもそうなんですけど(笑)。
小林:OCHA NORMAがデビューしてから、まだ“ハロコン”をやってないっていうのも大きいよね。先輩・後輩として別グループのメンバーと接する機会はやっぱりそこが一番多いので、そういう場を経ていくことでまた距離感も変わってくるのかなと思います。そのあたりは今後が楽しみですね。
──外からハロー!プロジェクトを見ている立場からすると、BEYOOOOONDSでいったん横道に逸れた流れをOCHA NORMAで本流に戻したようにも見えるんです。皆さんからすると、「いや、戻すんかい!」みたいな気持ちもあるんじゃないかなと思ったんですが。
里吉:いえ、それはそれで「BEYOOOOONDSのカラーが確立されたんだな」と私は思いました。OCHA NORMAが全然違うコンセプトだったことで、逆に私たちのやってきたことを認めてもらえた気持ちになれたというか。
──その立ち位置が「逆においしい」みたいな?
小林:それはありますね。「これはこれでよかった」と最近は思うようになりました。
平井:あと、スタッフさんが大変だったのかも(笑)。
小林・里吉:あはははは(笑)!
平井:BEYOOOOONDSは本当に、スタッフの方たちとメンバーが一丸となって道なき道を切り拓いてきた感じがすごく強いので。もしかしたら、スタッフの方たちも最初はどこへ向かっているのかわかってなかったかもしれないし(笑)。
小林:スタッフさんが「こういうこともやってみたい」と思いついたことを、全部BEYOOOOONDSに任せてくれたらいいなと思いますね。ほかのグループではやりたくてもなかなかやれないようなこと。
平井:遊びの部分をね。
小林:そうそう(笑)。
覚悟が感じられるニューアルバム
──そして9月28日には、2作目となるオリジナルアルバム『BEYOOOOO2NDS』がリリースされますね。
里吉:1作目の『BEYOOOOOND1St』と比べると、今回はかなり味が濃いです。
──1作目も相当濃かったですけど……。
里吉:(笑)。1作目は「私たちを強化するための武器が1個追加されました」みたいなアルバムだったんですけど、今回は「それを経て3年間活動してきた結果、こんなこともできるようになりました」という成果発表とプレゼンを兼ねている感じで。ファンクだったりニュージャックスウィングだったり、かと思えばすごくかわいらしい楽曲もあったりと、かなり幅が広がりました。いろんな味がすると思います。
平井:聞いたこともないスパイスをいっぱい入れて煮詰めたような感じ。「なんだ、この匂いは?」みたいな(笑)。
里吉:異国のサーカスというか。ジャケット写真がまさにサーカスの世界観で、本当にぴったりですごくお気に入りなんです。
平井:あと、今回はアルバムの流れの中に寸劇トラックが挟まる構成になっているんですけど、これが感動するんですよ。物語自体は面白いし、おかしいし、ちょっと「こわ!」ってなるようなところもあったりするんですけど……。
里吉:狂気を感じるようなね。
平井:そう(笑)。でも、1stアルバムのときのドラマCDと比べると、みんなの演技力、表現力が格段に上がっていて、「え、このメンバーのこんな声、聞いたことない!」みたいに感じられる瞬間がたくさんあるんです。武道館などを経たことでより確信を持ってやれるようになったと言いますか、これまで以上にやり切る覚悟が感じられる作品になっていると思うんですよね。
小林:2人に全部言われてしまった。
平井・里吉:ごめん(笑)。
小林:(笑)。でも、1stアルバムはデビュー直後、1stシングルのすぐあとに発売したものなので、今聴くとみんなの声も若いですし、スキル的な面でもまだまだ未熟なところ、成長できる伸びしろがたくさんあった時期だと思うんです。そこから3年経って。3年って、けっこうな年月じゃないですか。それだけの時間を経た分の成長をしっかり感じてもらえるアルバムになっていると思います。
──文字通り「伸びしろ~Beyond the World~」のその先がここに詰まっていると。
小林:その通りです(笑)。