TOMORROW X TOGETHER、日本公演で確かめるファンとの絆 「僕たちを結ぶ運命の糸を確認できた気がします」

 7月のソウル・北米公演に続いて現在も初のワールドツアー『ACT:LOVESICK』を開催中の、韓国の5人組グループ・TOMORROW X TOGETHER。日本でも初となるオフラインでの公演が9月3、4日は大阪のおおきにアリーナ舞洲で、7、8日には千葉の幕張イベントホールにて計4日間行われた。

 最終日となった8日の幕張公演は、端の席まで満員で日本初のオフライン公演を待ち望んだMOA(TOMORROW X TOGETHERファンの呼称)達の熱気で溢れていた。今回はまだ声を出しての鑑賞はできなかったため、韓国の無歓声公演でも使用された紙製のクラッパーが入場時に配布された。いわゆるハリセンのような形態になるので、叩いた時は大きな音が出て、アンコールでのサプライズに使用したメンバーへのメッセージが書かれたスローガンにもなるという優れものだ。

 2021年にリリースされた『The Chaos Chapter: FIGHT OR ESCAPE』『Chaotic Wonderland』の世界観のような凍りついた廃墟のオープニングムービーから開幕したライブの1曲目は、『Chaotic Wonderland』のリード曲「0X1=LOVE SONG (I Know I Love You)」。YOASOBIのikuraとしても活動する幾田りらをフィーチャリングした日本語バージョンのパフォーマンスが見られるのは日本公演ならでは。

 2019年3月に韓国でデビューし、2020年1月には日本デビューも果たしたTOMORROW X TOGETHERだが、その後すぐに始まった新型コロナウイルスの世界的な流行の影響により、有観客公演や本格的なライブツアーは3年目を迎えた今年初めて行うこととなった。3年の間に日本でのリリースとリパッケージを含めると発表したアルバムは4枚、ミニアルバム、EPとシングルは単独のものだけでも8枚を数える。90曲を超える曲から「曲を選ぶ作業は大変だった」とメンバーもコメントしていたが、コンサートを通してグループのデビューから現在までをVTRと共に一本の物語のように見せる構成で、イメージやコンセプトの異なる楽曲を上手く配置していた。

 オープニングパートでは、ピンク色のツイード調の生地にスパンコールビーズがふんだんに散りばめられた煌びやかな衣装に身を包み、テンションの上がるような曲のチョイスでMOAを盛り上げた。日本オリジナル楽曲で、Mrs.GREEN APPLEの大森元貴が楽曲提供をした「Force」は「日本公演だけのスペシャルな選曲。ロックな疾走感のあるナンバーでステージの上を飛び跳ねた。〈컴컴한 세상 그 속에/넌 내 제일 멋진 색인걸(真っ黒な世界の中で/君は僕の1番かっこいい色なんだ)〉と対照的な個性同士が違うからこそ惹かれあうことを歌った「Blue Orangeade」ではスクリーンの色に合わせてペンライトの色が変わっていき、〈이 세계를 색칠하고 싶어(この世界を色付けたい)〉というパートに合わせてレインボーの光が客席を彩った。「Magic」では〈clap your hands〉の歌詞に合わせて会場全体が一体となり、盛り上がった熱を覚ますような爽やかな「Ghosting」が続き、コンサートへの没入感を高めた。

 TOMORROW X TOGETHERの道程を辿るように、メンバーそれぞれの能力設定を示唆するような最初のVTRの後は、バンドTを基調にしたロック調のコーディネートに着替えてちょっとヤンチャで少年的なイメージの「New Rules」、野生的な「PUMA」とパワフルでエネルギッシュなパフォーマンスが続いた。続く「What if I had been that PUMA」では、原題の「バランスゲーム」の通り、歌詞の〈Pick your 답(答え) A or B〉に合わせて毎回SOOBINがBEOMGYUかHUENINGKAIを、HUENINGKAIがSOOBINかYEONJUNを選ぶという日替わりの演出が。最終日はそれぞれBEOMGYUとYEONJUNが選ばれた。

 マイクスタンドを使ったパフォーマンスが印象的な「LO$ER=LO♡ER」では、ステージと客席にお札が舞い散る。その後にしっとりと歌い上げた「Trust Fund Baby」は、金銭主義の社会を嘆くような歌詞というのが粋な演出だ。

 記憶を辿るような列車の旅のVTRが明けるとステージは一気に幻想的な雰囲気へ変わり、セーラー服に身を包んだメンバー達が床に座る独特のフォーメーションにつき、アイコニックなモールス信号のイントロが聴こえると、思わず客席から感嘆が漏れる場面も。色褪せないフレッシュさが溢れるデビュー曲「ある日、頭からツノが生えた(CROWN) [Japanese Ver.]」から儚げな「Magic Island」の世界観を紡ぐスクリーンの演出では、『The Dream Chapter』シリーズから現在連載中のWebtoon「星を追う少年たち」でも使用されているメンバーそれぞれを表すツノや木、羽根、弓や知恵の象徴であるフクロウなどの能力設定をイメージしたカードが現れた。再びステージ上の扉が開くと「9と4分の3番線で君を待つ(Run Away) [Japanese Ver.]」のパフォーマンスでは、“魔法”をコンセプトにした世界観を繰り広げた。タイトルから「943」という略称で呼ばれることのある同曲に続いては、昼と夜に境目の黄昏時を子供と大人の境目になぞえ、やはり「553」の略称で呼ばれる「5時53分の空で見つけた君と僕[Japanese Ver.]」を爽やかにパフォーマンスし、少年らしい魅力を存分に発揮した3番目のパートを締めた。

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