韓国のラッパー DINDIN、TikTokチャート首位 独特のフロウとシンプルな楽曲構成で中毒性満載の1曲に

参照:https://www.billboard-japan.com/charts/detail?a=tiktok&year=2022&month=08&day=22

 Billboard JAPANの「TikTok Weekly Top 20」は、TikTokにおける視聴数のみならず、楽曲がどのように使われて視聴されているのかを示す指標を元に作られたランキング。同チャートの8月17日付のTOP10は以下の通り。

1位:DINDIN「I’m not myself when I’m around you (Feat. 10CM)」
2位:悪魔のキッス(戦慄かなの&かてぃ)「悪魔のキッス」
3位:さとうもか「魔法」
4位:水曜日のカンパネラ「エジソン」
5位:ぼっちぼろまる「おとせサンダー」
6位:NAYEON「POP!」
7位:THE SUPER FRUIT「チグハグ」
8位:多部大「You」
9位:Ado「新時代 (ウタ from ONE PIECE FILM RED)」
10位:Mrs. GREEN APPLE「ダンスホール」

 今回は1位を飾ったDINDIN「I'm not myself when I’m around you (Feat. 10CM)」を取り上げる。同曲は、同日付のSpotifyデイリーバイラルチャートでも3位にランクインしている(※1)。TikTokチャートもバイラルチャートも拡散がヒットにつながるゆえ、TikTok先行での音源一部解禁などがなければ、デジタルリリースからチャートインするまで時間がかかるのが常だ。筆者の感覚値になるが、チャートインまで早くて1カ月程度を要する。ただ、昨今は“ファンダム”というカルチャーが浸透した影響で、リリース直後にランクインしてくる楽曲も多いように思う。逆に、これは以前からある現象だが、リリースされてから数カ月経った後にチャートインする場合も。本楽曲もこのパターン。2021年10月にリリースされ、DINDINの故郷・韓国でバズり、日本でもバズを起こしている。

 DINDINの本名はイム・チョル。ラッパー、テレビやラジオのパーソナリティなど多彩な活躍を見せている。2014年に1stシングル『NO LIMITS』をリリースして以降、ハイペースで楽曲を発表し続けている。オリジナル曲に加え、コラボレーション曲、サウンドトラックへの参加など、音楽活動もじつに多彩だ。

 「I'm not myself when I’m around you (Feat. 10CM)」は、昨年あたりから韓国で主流になっている、ドープなアプローチのヒップホップではない。ラップだが非常にメロウネス。韓国語は撥音便などが多く、リズムにのせやすいゆえヒップホップに向いている言語だと思うが、その特徴と良さを生かしつつ、フレーズの最後の母音を切り上げず少し伸ばし、フェードアウトさせるように抜いて、個性あるメロウなフロウを聴かせている。この独特のフロウも、一度聴いたら忘れられない彼の強烈な個性だが、他にも個性が多々ある。バックトラックもそうだ。例えば、Commonあたりのオーガニックヒップホップの影響を思わせるバックトラックは、音数が驚くほど少なく、リズムパターンもコード進行も、ヒップホップというよりはポップミュージックに近い印象である。

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