miwa、EP『君に恋したときから』で描いた恋から愛に至るまで “あたりまえ”と“普通”の違いも

 miwaが“恋”と“愛”をコンセプトにしたEP『君に恋したときから』を8月24日にリリースした。同作には、先行配信されていた「Bloom」「君が好きです」「あたりまえに」に加え、新曲「シンクロ」、ボーナストラックとして7月にロサンゼルスで制作された「Dive Into Summer」の5曲が収録。意外にも同作が自身初のEPとなるmiwaに、EPならではのこだわりや、各楽曲にまつわるエピソードについて聞いた。(於ありさ)

愛は相手がいてこそしっくりくるもの

ーーまず、EPのタイトル『君に恋したときから』に込めた思いを教えてください。

miwa:今回のEPは、恋愛をコンセプトにした曲で統一していて、1〜4曲目までを起承転結になるよう構成しています。“起”の部分となる1曲目に恋の始まりを描いた「Bloom」を選んだこともあり、『君に恋したときから』というタイトルにしたんです。

ーー今作はmiwaさん初のEPとなりますが、構成面でアルバムとの違いはありますか。

miwa:EPの場合、アルバムよりも曲数が少ないのでコンセプトをはっきりと統一した物語性を持った作品にできるなと学びました。そのため1曲目の「Bloom」は恋の始まりを、2曲目の「君が好きです」は正面から思いを伝える様子を、3曲目の「シンクロ」では仲が深まり、4曲目の「あたりまえに」では恋が当たり前の日常になった様子を……と起承転結をつけたんです。

ーー初回生産限定盤のジャケット写真では花火を持つ夏らしい姿が印象的です。さらに、同盤にはフォトブックが付属するとのことですが、アートワークに関するこだわりは?

miwa:写真がたくさん撮れたらいいなと思って、ハウススタジオでの撮影と外でのロケ撮影を組み合わせながら昼間から夜にかけて撮影しました。花火を持った写真は、私がリクエストしたカットの1つです。フォトブックも楽曲と同じく物語性のある内容になっているので、ぜひ曲を聴きながら楽しんでもらえたらなと思っています。

ーーそれぞれの楽曲についても教えてください。恋の始まりを描いた1曲目の「Bloom」は、咲坂伊緒さんの漫画『サクラ、サク。』への書き下ろし曲。改めて、どんな楽曲でしょうか?

【咲坂伊緒】『サクラ、サク。』4巻発売記念PV(Long Ver.)【恋愛漫画】

miwa:好きという気持ちに気づき始めているけど、相手には気づかれていない。そんな気持ちに気づいてほしいような、気づいてほしくないような、伝えたいけれど勇気が出せないといったもどかしい感じを表現しています。

ーー続く「君が好きです」はストレートに甘い日々を表現しているような印象を受けました。

【miwa「君が好きです」私たち結婚しました3 Special ver.】佐野岳&島崎遥香"夫婦"、中田圭祐&川島海荷"夫婦"2組の結婚生活の軌跡。

miwa:この楽曲は、ABEMAオリジナルシリーズ恋愛番組『私たち結婚しました 3』の主題歌ということもあり、番組になぞらえてカップルが一緒に暮らし始めたころのドキドキ感を表現しました。「Bloom」とは“恋の始まり”という意味では共通していますが、お互いを好きだと自覚しているところが大きな違いかなと思います。

ーー歌詞の中には〈お揃いのTシャツ〉などカップルならではのアイテムが出てきたり、〈肩を寄せ合って花火したね〉と夏の夜のデートを描写していたり、想像しやすい情景が多いように感じます。

miwa:その点も『私たち結婚しました』シリーズを見て着想を得ました。番組の中でよく映る2人で暮らす家でのシーンを見て、2人で住むということは、それぞれで暮らす以上に2人で選んだものが多いなと感じたんです。また、夏の夜のおでかけシーンは私自身お気に入りの部分ですね。今回のジャケットで花火を持って撮影したシーンも、この歌詞をイメージしています。

ーー3曲目の「シンクロ」は、付き合い始めた幸せな2人を描いているように感じました。

miwa:この曲を書き始めたのは2017年だったのですが、当時私と親友の行動が重なることが度々あって。連絡しようと思っていたら向こうからも同じタイミングで連絡が来たり、会ったらたまたま同じ服を着ていたり。歌詞にもあるように息があっちゃうからこそ、ご飯を食べに行った時に同じものを頼んで半分こできないみたいなこともありました(笑)。そのときのエピソードを歌詞にしているので、思い出が詰まっている曲です。

ーーそんな「シンクロ」はMVも撮影したんですよね?

miwa:はい。ロサンゼルスで朝5時から、人のいないところを歩いてみたり、かき氷を食べたり、バスケをしたり……オフを撮影したようなシーンも多いですし、即興ダンスみたいなものもしています。他のMVとは違う部分も多く楽しんでもらえるんじゃないかなと思います。

ーー4曲目の「あたりまえに」はガラッと変わって落ち着いた雰囲気の楽曲ですね。

miwa:「あたりまえに」は恋から愛へ移ろいで、ドキドキワクワクしてた非日常が、日常に溶け込んでいったら何か変わるのかなということを表現しています。“あたりまえ”と“普通”って同じようで全く違うと思っていて。“普通”は一般的とされていること、多くの人が共感できること。一方“あたりまえ”というのは、自分の中にある基準、人と比べられないことなのかなと。世の中的にはマイノリティとされていることで悩んでいる人がそういった部分も愛せて、大事にできたらいいなという思いを込めました。

ーーmiwaさん自身、“あたりまえ”と“普通”で悩んだ経験はあるのでしょうか?

miwa:自分自身の選んだ道が“普通”かと言われたら、そうではなかったので、悩んだこともありますね。でも、色々な人と出会っていく中で、人とは違う点を意識したとき、自分の中で大事にしたいことが何かに気づけました。自分の中に閉じこもりすぎず、人と違うことを共有できたのが大きいのかなと思っています。

ーー先ほど「恋から愛に移ろいでいく」とお話しされていたのも印象的でした。miwaさんの中で、恋と愛の違いはどこにありますか?

miwa:一言で言うのは難しいのですが、愛はより相手のことを思っているんじゃないかなと思います。相手のために恋を始める人は少ないと思うんですけど、愛は相手がいてこそしっくりくる。そこが大きな違いだと感じています。

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