TOMOO、まだ見ぬ場所へ漕ぎ出していく決意 初期曲から最新曲まで披露した『Estuary』レポ

TOMOO『Estuary』レポ

 ライブ後半はシモタニ(Vn)、山崎響子(Vn)、武市華奈(Va)、伊藤利英子(Vc)というストリングスセクションを迎え、まずはワウギターをフィーチャーした壮大なロックチューン「泳げない」から。続く「風に立つ」は、ピアノの速いパッセージにアコギやストリングスが絡み合うグルーヴィーなナンバー。〈死んだように生きるのはもうやめようって思いながら/明日にはまたそれを忘れてるこんな日々に 風を待ってた〉と、コロナ禍で漠然と感じていたモヤモヤとした思いを代弁してくれるようなポエトリーリーディングに、心がふと軽くなる。後半のブレイクでは、振り絞るように熱唱するTOMOOに応えるように、会場のあちこちからハンドクラップが沸き起こっていた。

 

 ウッドベースをフィーチャーしたロマンティックな楽曲「ロマンスをこえよう」を挟み、「ここからみんなとギアを上げたいんだけど……立ってみます?」と控えめな煽りでフロアを総立ちにさせ「オセロ」を演奏。メジャーとマイナーの狹間で漂うようなメロディと、セクションごとにプログレッシブな展開をみせるバンドアンサンブルを、こうしてステージの上で改めて聴いて、不思議な曲だなと再認識した。

 「ここからはお祭りタイムですよ!」とさらにオーディエンスを煽り、「Friday」「POP'N ROLL MUSIC」と畳みかけ、さらにOfficial髭男dismの藤原聡やVaundyらが絶賛した「Ginger」を披露し本編を終了。アンコールでは、音楽活動の「歩みの最初」となった楽曲「金色のかげ」をシモタニカルテットとピアノによる弾き語りで披露したあと、再びバンドとホーンセクションを呼び込み「What's Up?」「恋する10秒」を演奏してこの日の公演を終了した。

 「改めて『Estuary』で、みんなと会えて本当に良かったです。知らない場所へ漕ぎ出していく気持ちと、初心に戻っていくような感謝の気持ち、どちらも今はあって。初めましての人たちとも、久しぶりの人たちとも、ここからまた一緒に旅をしていけたらと思っています」と、最後に挨拶したTOMOO。ここから彼女がどんな風景を目にしていくのか、それを私たちにどのような形で報告してくれるのか。今後の活動も楽しみだ。

TOMOO(写真=Kana Tarumi)

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