THE ALFEE、待望の有観客“夏イベ”で示したバンドの矜持 ライブで披露される中で進化する楽曲

 アンコールの拍手が鳴り響く中、しばらくしてスパンコールが輝く赤い衣装の高見沢、ラフなシャツ姿の坂崎、桜井が登場。3人ともサングラスを着用。そこで始まったのは、この夏イベで初披露の『天地創造』からのナンバー「Funky Cat」。坂崎はハンドマイクでセンターステージに移動しボーカルをつとめる。メインステージで鮮やかな指引きベースを刻む桜井を残して、ラスト付近でセンターステージに移動した坂崎と高見沢でネコとイヌの真似をするお遊びも。

 春ツアーと同じお囃子が鳴り響き、“横浜”の文字や氷川丸や波、赤レンガ倉庫などがプリントされた横浜仕様の法被とねじりはち巻き姿の桜井が現れ、クラブサウンド風音楽をバックに「秩父音頭」をステージ上で歌唱。高見沢、坂崎もステージに登場し、“はっぴぃお祭り三兄弟”による“横浜編”パフォーマンス。30日のステージでは「名前が言いにくい」ため改名したはずの三兄弟の名前は、春ツアーと同じ「は」(桜井)、「っ」(坂崎)、「ぴぃ」(高見沢)に逆戻り。高見沢によるクリスタルキングの「大都会」から、坂崎による内山田洋とクール・ファイブの「そして、神戸」のメドレー、「三百六十五歩のマーチ」の替え歌による「毛髪体操」、「はっぴぃお祭り三兄弟ムード歌謡ショータイム」と盛り上げていく。

 法被を脱ぎつつ、ピンクの手袋をはめたメンバーが再登場。ドナルドダック生誕65周年を記念して書き下ろされた「D.D.D! ~Happy 65th Anniversary for Donald Duck~」へ。高見沢はドナルドダックギターが設置されるセンターステージに移動。客席も高見沢と同じ振りを踊る。センターステージではパーカッションを叩く坂崎の目の前に桜井が立って見つめ合うなど、モニターに映る様子も見逃せない。ブルージーな音楽をバックに、坂崎が次の曲のボーカル担当である桜井を紹介。シルバー、ブルー、レッドのウルトラマンカラーに照明が変わる中、始まったのが『ウルトラマン列伝』主題歌となった「Final Wars!」。炎が上がるステージで熱いナンバーを披露した後は、高見沢によりサポートメンバーの吉田太郎(Dr)、ただすけ(Key)が紹介される。「We are THE ALFEE」の声と共に、2022年“第31回目”の「SWEAT & TEARS」が始まり、特効の銀テープが客席に舞う。ステージ左右、花道を駆使したパフォーマンスや花火のような炎が上がり、最高のボルテージでアンコールラストが終了。

 程なくして2度目のアンコールへ。高見沢もアコースティックギターを持ち披露されたのは、初期のナンバー「明日なき暴走の果てに」。ボブ・ディランの「風に吹かれて」を経て、『TOKYO BAY‐AREA』当日に初めて披露されたにも関わらず大合唱になったという「ROCKDOM~風に吹かれて~」へ。この日は残念ながらもちろん大合唱はできない。でも観客一人ひとりの心の歌は聞こえるような気がしたし、メンバーもそう思ったに違いない。春ツアーではなかった3人が肩を組んでの三方向への挨拶も復活、夏のイベントは無事に終了した。

 まだまだコロナ禍は何らかの形で続くだろう。そんな中でライブを続けるのは、一人ひとりの協力なくしては継続できない。「アーティストと共にライブを続けたい」というTHE ALFEEファンの想いがあれば、このまま秋、冬と無事に継続できるだろうと思わせた。

 筆者は、チャート2位を記録した『天地創造』の真価が問われるのは、順位や売上ではなく、ライブで演奏されてこそ、その評価が決まるのだと考えている。変拍子を組み込んだ難易度の高い曲も見事に再現し、観る人を感動に導いたこのアルバムは、やはり「素晴らしいアルバムだ」と証明されたと言えるだろう。「ツアーをやり続けた後の夏のイベントが正しい形」、そう高見沢は言っていた。そして、夏の後は秋という“正しい形”で、秋のツアー『THE ALFEE 2022 AutumnTour Genesis of New World 秋の天地創造』を経て、『THE ALFEE 2022 Winter Genesis of New World Final 冬の天地創造』が開催される。そしてここでまた、アルバム『天地創造』の楽曲は、さらなる成長を続けていくはず。「秋にそれぞれの街でぜひお会いしましょう」。高見沢のステージ上からの最後のメッセージを受け、このアルバムの進化を見届けてほしいと思う。

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