『King & Princeる。』は全世代対応型のジャニーズバラエティ? 5人の笑顔が見れる冠番組に

 回を追うごとに面白さは増していき、ムチャぶりも本格的に。6月25日の放送回では、平野、神宮寺、岸の3人が練習時間3時間ほどで殺陣に挑戦した。冒頭で、平野は「集中しすぎてバラエティってことを忘れてる」と言ったようにスピード感溢れる映画作品のような殺陣を見せてくれた。

 3人はゴム製の模造刀で練習を開始。講師を相手に挑んだ神宮寺。一歩前へ出る前のめりな姿勢ではあったものの、講師のスピード感ある腕前と太刀さばきの迫力に圧倒されていた。

 また、この日は気温が高かったこともあり、途中で平野がサボる一幕も。甘えん坊のような可愛らしさを見せながらも、カメラが回ると習ったばかりとは思えない太刀さばきを見せた。リズム感のある軽やかな身のこなし。神宮寺は衣装に着替えるとまさに剣豪の風格。表情や声のトーンもキリっと俳優スイッチが入っていた。出だしから声のトーンを間違えたという岸だったが、内股を意識した女形特有の動きを組み込みながら奮闘。とてもバラエティ番組の企画とは思えないクオリティだった。

 そして番組では大活躍というほどに、あらゆる場面で笑いや見せ場をもたらしているのが岸。タロット占い師のKIROTTOとして活躍したほか、前述の女形をはじめ、コーデ対決でもカッパの様相を呈したこともあった。メンバーの相手役が岸であるのも本番組を安心して観られるポイントとなっている。

 永瀬は、ラジオ番組『King & Prince 永瀬廉のRadioGARDEN』(文化放送)2月17日放送回で、番組についてムチャぶりや挑戦企画などを振り返りながら、「このまま『King & Princeる。』を続けられたら、いろんなところでいろんな面で成長できそう」と語り、個性豊かなメンバーをさばく劇団ひとりの手腕も称賛していた。

 体を張った企画も多いが、純粋に楽曲のパフォーマンスを堪能できるのも、本番組の魅力の一つ。音楽番組以外の地上波番組で、パフォーマンスを披露できる場を持てるのは、スキルや世界観をより多くの人に広めることに繋がっていく。

 これまでも歴代のジャニーズグループたちが、自らの冠バラエティ番組を持ってきた。『SMAP×SMAP』(フジテレビ系)ではゲストを招いて食事でもてなしながらトークを楽しむ「BISTRO SMAP」や、豪華ゲストとのセッションが叶う「S-LIVE」と幅広い企画に挑戦した。嵐も『ひみつの嵐ちゃん!』(TBS系)、『嵐にしやがれ』(日本テレビ系)などで、メンバー全員で企画に挑戦したり、単独のコーナーを持ったりと様々な企画で楽しませてきた。全員で企画に挑戦するからこその面白さ、ソロ企画で発揮される個性など、メンバーの関係性やパーソナリティが見え、それが幅広い世代に伝わるのも冠番組の特徴だ。

 様々な企画に挑戦する、これぞ“バラエティ”な『King & Princeる。』。目の前のお題に真剣に挑戦する彼らの奮闘や成長を見守る楽しみもあれば、一緒になって学べる企画もある。ただただ腹を抱えて笑う場面もあるが、何よりメンバーが楽しそうに笑っている姿がたまらない。YouTubeなどとはまた異なり、大きな規模での挑戦や共演者との化学反応はテレビ番組ならでは。長く愛される番組になることを願うばかりだ。

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