二宮和也、カバーアルバム『〇〇と二宮と』発売は嵐への思いも 自身がセレクトした8曲で届けた歌声と愛
6月17日に39歳の誕生日を迎えた二宮和也が、同日、ファンクラブ会員限定で購入可能のカバーアルバム『〇〇と二宮と』をリリースした。また20日には各音楽配信サービスでダウンロード・ストリーミング配信もスタート。自身がセレクトした8曲から二宮の歌声の魅力を聴き解いてみたい。
アルバム発売は「ちょっと嵐に還元できた」
二宮はアルバムのリリースについて6月19日放送のラジオ『BAY STORM』(bayfm)で思いを明かした。アルバムをリリースした経緯について「嵐が活動していないのに、ファンクラブがあって、そこに入っている意味みたいなものがもし俺がファンクラブの会員だったらないなと思っていて……」と会報は届くものの、会員になっている意味を感じてもらえていないのではと言及した。二宮は自分が会員だったら何が嬉しいか? と考え、「やっていない歌とか踊りとかまとめたものがいいな、と思っていて」と説明した。またディスクをファンクラブ限定発売にした理由についても「ファンクラブの人達だけが買える状況にしたらファンクラブの還元になるのかな」と明かした。特典のブックレットについても、せっかくだからと写真をたくさん撮り「世の中に出すよりも、内々で楽しんでた方が今の二宮っぽいなと思っていたので」と話した。この発言を受けてSNSでは「ファンクラブを内々と呼んでくれるの嬉しい」「ニノはいつもファンの期待を裏切らない」と喜びの声が上がっていた。サブスクでの配信についてはYouTubeで自分に興味を持ってくれた人たちに向け「一応配信も開けているっていう状態」であると語った。また同アルバムを購入するために嵐のファンクラブに入会した人がいることについても「ちょっと嵐に還元できた」と嬉しさを滲ませた。
予想を斜め遙か上から超えた珠玉の8曲
さてそんなカバーアルバムであるが、予想を斜め遙か上から超えてきたという印象を受けた。嵐の活動休止以降、約1年半ぶりとなった歌声は、8曲全てに二宮和也という圧倒的な存在感を纏わせて届けられた。
「君と僕の挽歌」(さかいゆう)ではストレートに“THEニノ”の歌声を堪能できる。しゃくりやビブラートに加え、本来の二宮の持ち味である美しい高音が印象的。また落ちサビの息づかいを巧みに操った表現にもぜひ注目して聴いてみてほしい。
当初の予想を鮮やかに裏切ったEDMアレンジの「Walking with you」(Novelbright)にはゲーム好きで知られる二宮の遊び心も見え隠れする。しかしながら透明感のある伸びやかな声で丁寧に歌い上げ、楽曲の持つメッセージがしっかりと伝わってくる。
同じくEDMアレンジの「Pretender」(Official髭男dism)も圧巻だ。原曲よりテンポアップした疾走感溢れる楽曲に仕上がっており、二宮ボイスの〈グッバイ〉が味わい深い。
アカペラで披露された「ひまわりの約束」(秦 基博)では二宮のボーカリストとしての力量をいかんなく発揮。心地よいハーモニーはもちろんだが、演じるように歌えるのは彼ならではないだろうか。
アルバムには2020年に自身のラジオ番組『BAY STORM』でお宝音源として公開されて以来、ファンの間では宝物のように語られてきた待望の「Attitude」(Mrs. GREEN APPLE)も収められた。〈パシフィズム、リベラリズム/ペシミズム、ヒューマニズム〉と徐々に声に力強さを加えていく歌い方は、これまで二宮のソロを聴く機会がなかった人には、意外性もあり、新鮮に感じたのではないだろうか。
二宮自身がファンを公言している日食なつこの「廊下を走るな」。『この歌詞が刺さった!グッとフレーズ』(TBS系)にVTR出演した際に同曲を挙げ、「好感度を全く気にしていない。“自分が今言いたいことを言っています”という感じが(好き)。自分がアーティストとして活動していくんだったらこういうことをずっと言っていきたい」と語り〈過ぎた正義は首を絞めるよ〉という歌詞が心に刺さって諭されたことも明かしていた。メッセージ性のある楽曲を凜々しく歌い上げる二宮の歌声に引き込まれる。
そして、レコーディング時の掛け合いなどライブ感をそのまま収録した「想うた~愛する人を想う~」(キヨサク(MONGOL800))。作編曲家・ha-jとのやりとりや咳払いなど、目の前で二宮が歌ってくれているかのような特別感だ。スタジオの空気感まで伝わってくるリアルな音も楽しんでほしい。