C&K、音楽愛もハプニングも詰まった“らしさ”全開のライブ 結成からの歩みを凝縮したツアー『ゲンテン』特別編

C&K、歩みを凝縮したツアー『ゲンテン』

 ここで聖歌隊風の衣装を羽織ったものの、ハットをかぶったままのKEENの自称「教会に行くマフィア」風ビジュアルに軽く笑いが起こる。そんな和やかな空気の中、改めてツアータイトルについて「“ゲンテン”をカタカナにしたのは意味があって、現在の気持ち(現点)とスタート地点の原点、その2つを踏まえて今があるので」「“地元じゃなくても地元です”を使っているのは、いつか皆の住む街の公民館みたいな、より近いところも回りたいという僕らの野望を込めているから。その日が来るまで皆の愛を注いでもらえたら嬉しい。僕らもライブで注ぎ返せるように頑張っていきます」(CLIEVY)とコメントがあり、ゴスペルナンバー「愛を浴びて、僕がいる」がスタート。彼らの楽曲は実にバラエティに富んでいるが、この曲では2人の圧倒的なハーモニーに毎度、幸福感に包まれる。かと思えば本編ラストのスカナンバー「入浴」では、実況チームの阿部がステージに乱入し、観客とともにタオルを回して大騒ぎという怒涛の展開に。

 『NHK紅白歌合戦』出場を目標の1つに掲げる2人のため、会場の四池さんが赤と白のペンライトを点灯させる中、「道」でアンコールがスタート。この日のハイライトといえば、最新シングルのタオル回しソング「I.M.A」だったのだが、シングル収録のライブバージョンがイントロ部分を何度もやり直す構成のため、事前にTwitterで「今日は頭を何回歌いなおすか選手権」が開催されていたとのこと(正解:4回)。この尺を無視したイントロ部分で「タオルを回すというこの行為、デビューした頃は誰でもやっていたけど、これをやることで“レゲエの人なんですか?”って言われちゃうことがあって。レゲエはもちろん好きだけれど、C&Kは“JAM”という自分たちの好きな音楽を提唱していくことに命をかけてきたわけで、そういうカテゴライズはいらないんです!」とコンセプトを解説するCLIEVY。いざ曲が始まると観客全員が勢いよくタオルを回す風圧にちょっと笑ってしまったが、2人が先日のインタビューで、全力でやると「体力がこの曲についていかない」と言っていただけあり、パワフルさとインパクトはかなりのものだった。そして「この曲で『紅白』に出ます、四池さんとともに!」と堂々宣言すると、イメージキャラクター“しいけさん”も登場し「四池さんのマーチ」がスタート。なぜかKEENのパートをCLIEVYががっつり歌ってしまい、2人につられて観客も爆笑する一幕があった。

 騒ぎ倒したあとに、アンコールラストのバラード「嗚呼、麗しき人生」へ。〈雨に打たれ風に耐える僕ら ひとりぼっち仲間だ/何気ない君のその一言が「辛い」を「幸せ」にする〉といった胸に沁みる言葉を連投し、真摯にメッセージを伝えていく。

 そして観客の声に応え、予定になかったWアンコールがスタート。「皆が気持ちよく帰れるように」と、ライブのエンディング恒例の“追い出し曲”「帰れ」をしっとりと歌う……のかと思いきや、途中からCLIEVYの無茶ぶりでフリースタイルがスタート。KEENは結成当時の思い出や相方への感謝を綴ったが、ここに時間がかかりすぎ、CLIEVYにバトンタッチしたところでトラックが終了。四池さんたちにとってはおそらく想定内のハプニングに拍手喝采が起こっていた。正真正銘のラスト曲は結成当初の横浜時代に作られた、ファンから人気の高いバラード「交差点」だった。

 彼らの結成からの歩みをダイジェストの形で披露し、実況生配信では当時のエピソードや作品制作の裏側が語られるなど、C&Kというアーティストのバックグラウンドを知ることができた貴重なライブ。「C&Kのライブはツアー中にどんどん進化していくので、ツアー後半の予想がまったくつかない」(四池の小池)というような発言があったが、このツアーを経て、11月20日の横浜アリーナでどんなストーリーをC&Kが見せてくれるのか。楽しみでならない。

■ライブ情報
『C&K 無謀な挑戦状 ~炎の15周年目、執念で迎える横浜アリーナ。頼む全員集合~』
2022年11月20日(日)横浜アリーナ
開場17:00/開演18:00

■C&K 2022年 全国ツアー
『日本全国CK地元化計画 地元です。地元じゃなくても、地元ですツアー2022 〜ゲンテン〜』
6月24日(金)埼玉 RaiBoc Hall 大ホール
7月1日(金)栃木 とちぎ岩下の新生姜ホール 大ホール
7月 6日(水)長崎 諫早文化会館 大ホール *完売
7月7日(木)熊本 市民会館シアーズホーム夢ホール (熊本市民会館) *完売
7月9日 (土)宮崎 都城市総合文化ホール 大ホール *完売
7月15日(金)東京 LINE CUBE SHIBUYA  
7月16日(土)愛知 一宮市民会館  
7月24日(日)岡山 倉敷市民会館   
7月30日(土)静岡 静岡市清水文化会館 マリナート 大ホール        
8月5日(金)福岡 宗像ユリックス イベントホール
8月7日(日)大阪 大阪城野外音楽堂           
8月13日(土)宮城 トークネットホール仙台 大ホール        
8月20日(土)石川 金沢市文化ホール            
8月21日(日)群馬 群馬音楽センター
8月26日(金)北海道 音更町文化センター大ホール         
8月28日(日)北海道 札幌芸術文化劇場hitaru          
8月31日(水)香川 レクザムホール 大ホール     
9月2日(金)福岡 久留米シティプラザ ザ・グランドホール
9月9日 (金)鹿児島 みやまコンセール  野外音楽堂
9月10日(土)鹿児島 みやまコンセール 野外音楽堂

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