風男塾、Pipping Hot、BOPが見せた明るい未来 新たなスタート切ったdreamBoat3組による『#だんぱら_フェス5』

風男塾ら出演『#だんぱら_フェス5』レポ

 風男塾(ふだんじゅく)、Pipping Hot(ピピンホット)、BOP(ビーオーピー)による男装アイドル総合エンタテイメントプロジェクト・dreamBoatが、6月4日に渋谷ストリームホールにて『#だんぱら_フェス5』を開催した(1部・2部編成でニコニコ生放送でも配信)。前回、『#だんぱら_フェス4』で新ユニットとしてお披露目されたBOPは、本公演が初めて最初からメンバー全員で挑む『だんぱら』。今年4月にael-アエル-から改名し、新たなスタートを切ったばかりのPipping Hotや、5月に新メンバー4名が加入し、さらにパワーアップした風男塾など、各グループにとって節目となるステージには総勢16名が集結した。また、開演前にはdreamBoat研究生6名(梨人、吟華、翔琉、永牙、友夢、響玖)がオープニングアクトとして登場。先輩から後輩へ受け継がれていくエンタメ精神と、dreamBoatの明るい未来が感じられる公演となっていた。

dreamBoat

 1部と同じく、2部も全員での「Give Me Your ATTENTION!」からスタート。同曲は昨年dreamBoatとしてリリースしたシングル『夢限大セイリング』のカップリングだが、当時より人数が増え、いちだんと華やかな1曲に。キャリアやグループの違いを感じさせず、全員で仲良く肩を並べて歌う姿が、ここから本格化していくであろうdreamBoatの活動を予感させる。顔ぶれは変わったものの、半年ぶりに実現したこのギュウギュウの空間がとても愛おしい。最初のMC中、進行役のPipping Hot・有光陽稀が明かした、「Give Me Your ATTENTION!」の曲中に自分の前に立ちはだかる予定だったBOP・海憧乙綺が、わざと腰を落として自分の顔が見えるようにしてくれていたという仲間想いのエピソードも、16人のチームワークの良さを象徴していた。

 ユニットごとのステージでトップバッターを飾ったのは、今年9月に結成15周年を迎える風男塾。陽稀の「1組目はどうしましょ!」という問いかけに、“風男塾のガヤ担当”英城凛空が大きな声で返事をして笑いを誘ったのもつかの間、憂いを帯びたミディアムナンバー「Tender Rain」のイントロが降り注ぐと、場内の雰囲気がガラッと変わった。現体制としては初のシングル『Hello Hello』のカップリング曲であり、ここで初披露となった同曲は、新生風男塾の歌唱力と表現力の高さを見せつける1曲。“顔良宗”こと赤星良宗の丁寧な歌い出しから順に、真剣な表情でエモーショナルに歌い繋ぐ様が、観客のハートを華麗に奪っていく。

風男塾
風男塾

 そこに入れ違いで現れたBOPは、8月にリリースが決まっている2ndシングルから、アップテンポな表題曲「ラヴ・ユアセルフ」を披露。流雅真紗斗がセクシーに曲に誘い、彩浪遥斗と乙綺がラップで煽れば、観客はすぐさまBOPのペースに飲み込まれる。普段は上品な笑顔が印象的な翔咲心のダイナミックなステージングや、〈Boom Boom pa Boom Boom pa〉というパンチラインもこの曲の見どころで、ニコ生のコメント欄も「ブンブンパッ ブンブンパッ」のオンパレードとなっていた。続くPipping Hotは、7月にリリースを控えるデビューシングルから表題曲「beyond VANITAS」を熱唱。疾走感溢れるロックチューンが、彼らの始まりの時をドラマティックに彩っていく。と同時に、先輩としてグループを牽引してきた陽稀や雫月Leeの存在感はもちろんのこと、メンバー一人ひとりが約1年間で磨き上げた個性がキラキラと輝いている、素晴らしいひとときだった。

 「みなさーん、2部も盛り上がっていきましょー!」真紗斗の呼びかけから始まった1組目のコラボステージは、風男塾の英城凛空・天堂太陽・凰紫丈源・赤星良宗とBOPの流雅真紗斗による「DANCIN' ALL RIGHT」(ael-アエル-)。やたらと声の大きい凛空の「サンキュー!」「ゴメンナサーイ!」に背中を押されるように、爽やかな笑顔で歌いきった5人だったが、その直後、「マイクの音量、ちっちゃくしたでしょ!?」と音響スタッフに詰め寄る凛空に笑いが起こる。風男塾メンバーの中に1人参加することになった真紗斗も、「最初は大丈夫かな?って思ってたんですけど、心パパと乙綺パパが“まさちゃんなら大丈夫!”って送ってくれて。風男塾さんもみんなリハからフレンドリーだったので楽しかったです」とニッコリ。率先して楽しい現場を作ってくれたのはどうやら、コロコロと変わる表情がチャーミングな丈源だったようだ。

 再び登場したPipping Hotは、すっかりお兄さんになった八雲杏を中心にスマートにMCを進行していく。と思いきや、突然言うべきことを忘れて「なんだっけなぁ?」ととぼけてしまうのが“杏ちゃん”の可愛らしいところであり、どんな時もメンバー同士でフォローし合う仲の良さが、このグループの良いところだ。そのまま『beyond VANITAS』収録の初披露曲「感情リアリズム」に突入すると、強気なボーカルと多彩なフォーメーションダンスで場内を自分たちの色で染め上げる。しっかり者の最年少・逢坂朔玖も堂々としたハイトーンボイスを響かせ、観客の心に余韻を刻んだ。

Pipping Hot
Pipping Hot

 風男塾は先ほどの「Tender Rain」から一転、コミカルなダンスや泥臭い歌詞が彼ららしい「勝つんだ!」を全力で歌い上げる。歴代の先輩たちに引けを取らない熱のこもったセリフ回しもさることながら、加入から1年半でリーダー的存在になった柚希関汰や、研究生から新メンバーの座を掴んだ天堂太陽のソロパートを見ていると、風男塾やdreamBoatが歩んできた道のりが浮かんだ。そう、彼らの歴史は逆境を味方に変えてきた根性の歴史だ。だからこそ、底抜けに明るくて、とびきり元気をくれる楽曲でも、なんだか泣きたくなる。長年彼らを見守ってきた人の中には、そんな感情が込み上げた人も多いのではないだろうか。そして、風男塾が必死に歌い踊ったからこそ、次に現れたBOPの余裕な笑みも映える。グルーヴィなダンスチューン「Get it on」に軽やかに身体を委ね、観客を巻き込んでいく4人。この完成度に辿り着くまでには、彼らも相当練習を重ねてきたはずだが、良い意味で努力を感じさせない“圧倒的なパフォーマンス”がBOPのプロ意識の高さを物語っていた。

BOP
BOP

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「ライブ評」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる