DA PUMP、波乱万丈な25年を振り返る “ダンスカルチャーの伝道師”が経験した苦難と成功

 そして2018年6月、3年8カ月ぶりのシングルとして『U.S.A.』がリリースされた。20年超のキャリアの中で初のユーロビート楽曲、さらに歌詞の醸し出すレトロ&トンチキ感に最初こそメンバーも戸惑ったというが、ISSAも「僕らにできることは“完璧に仕上げること”なので。そこでスイッチも入りましたし、“U.S.A.という場”で、“しっかり遊ぶ”、“真剣にふざける”などの方向性が見えた」(※2)と語っており、衰えを見せないハイトーンボーカルをフィーチャーしつつ、ダンサー勢はTOMOとKENZOを中心に海外で流行していたシュートダンスを日本人に親しみやすく踊りやすい“いいねダンス”へと変換、振付動画なども発信していった。同曲はアーティストから在日米海兵隊といった団体までの“踊ってみた”動画がSNSで拡散されるなど、まさに社会現象的なヒットを記録。4年を経た2022年現在、人気ゲーム『あんさんぶるスターズ!!』カバーソングプロジェクトに同曲が起用され、再びTwitterトレンド入りするという現象も起こっている。

DA PUMP / U.S.A.

 「U.S.A.」がパフォーマンス込みでお茶の間に受け入れられた経験をベースに、「Heart on Fire」でスワッグバウンスという動きを採り入れた“つり革ダンス”、「桜」でレゲエなどに使われるガンフィンガーをベースにした“サクラフィンガー”など、シングル曲のサビなどにはわかりやすく真似しやすい振りを配置するスタイルへと変化。ダンスボーカルシーンを黎明期から牽引してきたISSAのカリスマ的な存在感はもちろんのこと、振付師やインストラクターとしても活躍してきたダンサーたちの発想と工夫があったからこそ、その人気は一過性に終わらなかったのだ。

 彼らのホームグラウンドと言えるストリートダンスシーンの先輩や仲間たちとMVでコラボしたシングル『Dream On The Street』(2021年)で、グループ初のオリコン週間チャート1位を叩き出した。直後に健康上の理由でDAICHIが卒業というニュースもあったが、メンバーからKENZOが『PRODUCE 101 JAPAN SEASON2』(INI、OCTPATHらを輩出したオーディション番組)にトレーナーとして参加するなど、ダンス番組などにも積極的に出演、現在もメンバーそれぞれがTikTokなどSNSを通じて音楽&ダンスの魅力を発信している。グループぐるみでEXILE TRIBEやハロー!プロジェクトといった他事務所のダンスを愛するグループたちとの横のつながりも大切にしていることから、シーンからも愛され、リスペクトされる存在となった。

 現在開催中のアリーナツアーでは、意外にもグループ史上初となるペンライトを解禁。彼らの最大の理解者であるDPC(DA PUMP CREW=ファンの愛称)との一体感を重視したステージングを武器に、25周年もダンスカルチャーの伝道師として駆け抜けていくことになりそうだ。

DA PUMP / Heart on Fire (LIVE DA PUMP 2020 Funky Tricky Party FINAL at さいたまスーパーアリーナ)

※1:https://www.diskgarage.com/digaonline/pleasure/114993
※2:https://www.oricon.co.jp/special/51204/

関連記事