平井 大、波の音と奏でた3年ぶりの『THE BEACH TRIP』 ビーチでの充実感取り戻したライブに

平井 大『THE BEACH TRIP』レポ

 多くの野外ライブが解禁されたこの春。5月14日、千葉県・稲毛海岸特設ステージでは、『HIRAIDAI presents THE BEACH TRIP 2022』が開催され、平井 大がビーチに帰ってきた。ビーチライブは、2019年に神奈川県・サザンビーチちがさきで開催されて以来約3年ぶり。この日のライブはアコースティック、フルバンドの2部構成で行われ、集まった観客を楽しませた。本稿ではフルバンドでのステージに関してレポートしていく。

 「Dream」で幕を開けたライブ。まずは挨拶とばかりに、得意のエレキギターをかき鳴らした平井。ドラムのビートをバックに「楽しんでますか? 『THE BEACH TRIP 2022』へようこそ!」と、客席を見渡しながらウクレレに持ち替えると「Slow & Easy」を演奏。「Holiday」ではそのウクレレで超絶プレイを聴かせ、会場には思わず歓声がこぼれる。波の音もBGMの一つといった雰囲気で、序盤はビーチで聴くのにぴったりのチルアウトなムードの楽曲が続いた。

 やさしさと慈愛に満ちたラブソングも平井の音楽の真骨頂。たった一人のかけがえのない相手との出会いを歌った「Only One」や、「大切なバディがいるあなたに送ります」とコメントして歌った「Buddy」などは、この日訪れたカップルにとって最高の思い出になったことだろう。ファルセットを交えたやさしい歌声に、肩を寄せ合いながら体を揺らし合うカップルたち。そんな様子を、平井は目を細めて見守った。「Anniversary」を歌う時には、「記念日ってある?」と客席に問いかけて、「僕とみんなが出会えた記念にふさわしい曲を送ります」と紹介して歌い、会場は温かい空気で包まれた。

 MCでは、「本当にありがとう。I love you!」と、3年ぶりに『THE BEACH TRIP』が開催できた喜びと感謝を語った平井。「何年かぶりにビーチに帰ってきてライブができて、本当に幸せです。この2年、たくさんの曲を作ってみんなに聴いていただいて、すごく充実していたけど何かが足りなかった。それは、ビーチでみんなと音楽を楽しむ、この感覚だったと思う」。その言葉からは、ビーチでのライブが、平井にとってどれほど重要なものであったかが伝わってきた。

 本編最後には、「ネガティブなニュースもあるし、苦しいことも多いけど、いつでもポジティブな願いを忘れずにいてほしい。忘れそうな時は、僕のライブに帰ってきて。今日、この会場に集まってくれたみんなの未来への願いを乗せて歌います」とコメントし、「WISH」を歌って聴かせた。

 日々飛び交う様々なニュースを自分たちの問題として受け止め、なぜもっと明るい未来を想像できないのかなどの疑問や問いかけを、いつになくリアリティ溢れる言葉で綴った同曲。淡々としながら徐々に熱を帯びていくビートに合わせ、〈愛、希望、矛盾、自由、全て抱えて泥臭く〉〈これはボクたちのFuture〉と、心からのメッセージを伝えた平井。その言葉に聴き入った観客。会場には次第に手拍子が響き、サビでは手を挙げ左右に揺らすと、大きな波となって広がった。

 アンコールの「Stand by me, Stand by you.」は、〈75億分の一人と一人が出会って恋に落ち〉という、出会いの奇跡を歌った一節が印象的なミディアムナンバー。「素敵なラブソングをお届けします。まだ出会えていない人にもね」と、いたずらっぽく笑った平井。「この素晴らしい景色。僕がいて、みんながいて、愛する人がいて。ここからは動画で自由に撮って、今日の思い出にしてほしい」と撮影OKとなると、観客はステージを映したりと携帯を手に思い思いのスタイルで楽しんだ。

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