乃木坂46『セーラームーン』、日向坂46『マギレコ』、≠ME『おジャ魔女どれみ』……アイドル×魔法少女舞台はスタンダードに?

 乃木坂46は、結成当初から各期が行っている『プリンシパル』シリーズというオリジナルミュージカルをはじめ、演劇にも意欲的に挑戦してきた歴史がある。2018年と2019年に上演された『乃木坂46版 ミュージカル「美少女戦士セーラームーン」』では、主人公 月野うさぎを18年版は山下美月と井上小百合のWキャスト、19年の再演では久保史緒里が担当。山下美月や久保史緒里以外にも、グループの中核を担う梅澤美波や、4期生の早川聖来、田村真佑といった新世代のフックアップにも一役買った。

 日向坂46は、改名前のけやき坂46として2018年に『マギアレコード 魔法少女まどか☆マギカ外伝』を開催。現在はアイドルとして不動の人気を獲得した日向坂46だが、当時は日本武道館3Days公演を成功させたものの、一般的な知名度はこれからという状況だった。そのため、ある種神格化されていた『魔法少女まどか☆マギカ』のファンからは否定的な意見も多かったように思う。しかし、原作へのリスペクトとファンへの感謝を忘れない真摯な姿勢で臨み続けたことが、原作ファンの心を動かしていく。実際の舞台でも、不安の中ひたむきに努力したことが伝わる内容で、初日と千秋楽での演技の成長ぶりは、物語の内容とリンクしていた。鹿目まどか役を演じた丹生明里が千秋楽後にアップしたブログ「~原点は感謝の気持ち~」(※1)には、丹生自身がアニメ好きであったからこその不安やプレッシャー、舞台に向けての取り組みが細かく記されている。このブログからも、舞台のキャラクターとリンクするような、少女の成長の過程を感じとることができる。

 『おジャ魔女どれみ』を演じる≠MEは、指原莉乃プロデュース、代々木アニメーション学院とタッグを組み結成されたアイドルグループの第二弾。「=LOVE姉妹グループオーディション」で2019年に結成され、デビュー前には=LOVE作品のカップリングやライブ、握手会への参加といった活動を続け、結成3年目でメジャーデビューした。デビューまで2年ほどかかったことは、欅坂46とけやき坂46の関係性に近いものを感じる。

 先輩である=LOVEが、声優や2.5次元舞台でも活動を広げており、それに続く≠MEも二次元コンテンツの分野に近いグループと言える。また、約半数がアイドル経験者ということもあり、そのパフォーマンスや表現力には定評がある。Wキャストということで、メンバー全員が主要キャラを演じることになるのだが、魔法少女という役柄を通して、それぞれの個性が発揮されることに期待したい。

※1 https://www.hinatazaka46.com/s/official/diary/detail/26204?ima=0000&cd=member

関連記事