Kis-My-Ft2メンバー分析 第5回:藤ヶ谷太輔は変化とともにある マルチな活動の中で確立した心地よいバランス

 昨年CDデビュー10周年を迎え、5月からは約3年ぶりとなるドームツアー『Kis-My-Ftに逢える de Show 2022 in DOME』をスタートさせるKis-My-Ft2。それぞれが得意な分野で活躍しながらも、ここぞというときにはチームワークを見せる、自由なようで強固なグループだ。その個性豊かな活動を軸とし、魅力をまとめてみたい。第5回は藤ヶ谷太輔。

Kis-My-Ft2
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 「やっぱりかっこいい」と、ファンはもちろん世間から、そしてメンバーからも思われ続ける背景には、どれほどのプレッシャーがあるだろう。藤ヶ谷を見ていて、ふとそんなふうに思うことがある。しかしすべては、期待あってのこと。ステージにおけるダンスや所作はしなやかで美しく、低くまろやかな声は、映像作品では繊細さを、舞台では迫力を、歌には艶と憂いをもたらす。スマートに、セクシーにと、暗黙の了解で求められる「藤ヶ谷太輔」像に、藤ヶ谷は期待以上を返し続けている。

 とはいえ藤ヶ谷自身、「30代からは肩の力を抜いてやってみようって、大きく変わった」と語っていたとおり(※1)、近年はある種の鋭さが抜けたようにも見える。MCを務めるトークバラエティ『A-Studio+』(TBS系)での気遣いや機転、落ち着いた口調や丁寧な言葉選びからも伝わるように、真面目でありつつも穏やかな一面が、一般視聴者層にも周知されてきている。お兄さん的な親近感を覚えるラジオの発言からも、優しい素顔が垣間見えるはずだ。

 藤ヶ谷は、変化してきた人でもある。ジャニーズ事務所への入所は、メンバーのうちもっとも早い1998年、11歳のときのこと。幼いころの藤ヶ谷はどちらかと言えば素朴で、ジャニーズJr.主体の番組においては意外にもお笑いポジションにいた。けれど高校生になったころから、ビジュアル面を含めたセルフプロデュースにて成長ぶりを見せ、2004年に結成された前身グループ・Kis-My-Ft.、そして翌年のKis-My-Ft2結成以降、本格的にグループの顔として、セクシーかつワイルドな表情を見せるようになる。

 不良っぽい尖った魅力で人気を集める一方、2007年には新春スペシャルドラマ『白虎隊』(テレビ朝日系)に出演。山下智久ほか若手俳優らとともに白虎隊士を演じている。作品自体の評価も踏まえ、印象に残っている視聴者も多いのではないだろうか。

 ドラマや映画への出演は、初期こそアイドルとしての起用であったかもしれない。けれど次第に、役者として求められるようになった。とくに今年公開を予定している映画『そして僕は途方に暮れる』は、2018年に主演した舞台が高い評価を受け、映画化のはこびとなったかたち。藤ヶ谷ありきの作品と言っても過言ではない。ほかにもラブロマンスはもちろん、一人二役を演じたサスペンス、名作リメイクでの堂々たる主演と、幅広く、けれど着実に結果を残してきた。

 2019年初演の舞台『ドン・ジュアン』は、この先も藤ヶ谷にとって代表作と呼べるだろう作品だ。ヨーロッパを中心に広く知られる「ドン・ジュアン伝説」をミュージカル化し、世界で上演されてきた本作。日本では、2016年に宝塚歌劇団にて初上演、“藤ヶ谷版”の潤色・演出も同様に宝塚歌劇団の生田大和が担い、随所にその繊細さが光る。

 これまで数々の作品で、愛に溢れたラブシーンを演じてきた藤ヶ谷だからこそ、情熱的なプレイボーイを演じつつも品が失われない。「ジャニーズ主演」という、ときに演劇ファンにとっては壁となる要素がまるでないもののように、多方面から高い評価の声が聞かれた。

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