BIGBANG、WINNER、iKONカムバックや2NE1復活……YGエンターテインメントの再起を支える“音楽”そのものに対する信頼

 2NE1の復活についてはリーダーのCLが『コーチェラ』出演が決まった時に自らメンバーに声をかけて復活を実現させたそうで、2015年以降4人でのステージがないままに解散してしまったことに対するファンや支えてくれた人たちへの決着的な意味もあったのかもしれない。しかし、7年ぶりとは思えないような圧巻のパフォーマンスや楽曲の色褪せなさには、やはりYGの作り出すクリエイションの普遍性を感じずにはいられなかった。

 2020年にデビューしたTREASUREは、アイドルとアーティスト半々的な受容のされ方のYGの先輩ボーイズグループたちとは異なり、音源チャートよりは音盤売上が多い。ファンダム人気が中心の「一般的なボーイズグループ」らしいグループだが、K-POPファン向けアプリのBlipによる音源視聴者分析によれば、楽曲そのもののリスナーの男女比率は4:6、年代別では10〜20代が50%で30〜40代が40%、50代も8%いたりと、現在活動しているアイドルグループの中でも最も性別と年代に偏りがなく普遍的に聴かれているという分析結果だった(※1)。

 特にボーイズグループではリスナーの8割が女性で年代も10〜20代がほとんどというケースが一般的であるのと比較すると、この結果は同性のリスナーが多いというYGの先輩グループの傾向をそのまま引き継いでいるということであり、「YGの音楽」であればグループそのもののファンとは限らなくても聴くという、事務所の創作カラーへの信頼のもとで楽曲を聴いているリスナーが多いということかもしれない。

 事務所を取り巻く社会的なイメージとしては紆余曲折ありながらも、その都度、常に音楽そのものの力で甦り支持を得てきたYG。現在は4大事務所の中では唯一の女性CEOであるファン・ボギョン氏のもと、接触イベントのための大量購入と廃棄が韓国で社会問題として取り上げられながらも、CDを大量に売り上げる大手はどこも手をつけてこなかったアルバム・円盤素材のサステナブル化(プラスチック素材の排除と再生紙や生分解性素材・大豆インクなどへの置き換え)をいち早く導入するなど、会社やアーティストイメージにも関わるようなイノベーティブな改革も実践し始めている。

 事務所の新体制以降に契約更新のあったAKMUやWINNERも全員が更新しており、特に国民的兄弟デュオとしてクリーンなイメージでも愛されているAKMUはファンからの移籍して欲しいという声がありながらも、「7年間一度も小さな摩擦や意見対立をせず、自分たちがさらに良くなる方向に強固にサポートして幼い私たちを導いてくれた会社」「引退するとしてもYGを離れることは一度も考えたことがない」と事務所に対する信頼を明確に表明している(※2)。

 WINNERは兵役中だったJINU、HOONYが除隊し、4月30日、5月1日に4人でのコンサートで復活する。iKONも5月に1年ぶりのカムバックが決定している。SM・JYP・HYBEと共に4大事務所と呼ばれるようになった現在だが、YGが作り出す楽曲やパフォーマンスにはフォロワーすら生まれにくい独自の魅力があることは確かだろう。今後もYGならではのクリエイションで、K-POP業界を盛り上げてくれることが期待される。

※1https://youtu.be/sNVGaO-NLMY
※2 https://www.wowkorea.jp/news/enter/2021/0127/10285812.html

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