Dragon Ash、大切なものを守り抜く誠実さ 金曜ドラマ『インビジブル』主題歌は25周年ならではのスケールに

 2022年2月、デビュー25周年を迎えたDragon Ash。2月21日に行われたワンマンライブ『DRAGONASH 25th Anniv. LIVE “THE SILVER LILIES”』は、それまでの四半世紀にわたる歩みを総括した上で、次のフェーズへ進む決意と覚悟を高らかに鳴らした感動的なライブであった。あれから約2カ月が経ち、さっそく次なるアクションが発表された。

 それは、Dragon Ashの約10カ月ぶりとなる新曲「Tiny World」が、金曜ドラマ『インビジブル』(TBS系)の主題歌として起用されるというニュースであった。彼らの長い活動歴を振り返ると、意外にも連続ドラマの主題歌を書き下ろすのは今回が初めて。本稿では4月15日に放送された第1話の中で初解禁され、20日に配信リリースされた同曲について迫っていく。

 まずはじめに、金曜ドラマ『インビジブル』について紹介していきたい。今作は、ドラマ公式サイトの言葉を借りれば、「闇に隠れた凶悪犯をあぶりだす前代未聞の犯罪エンターテイメント」(※1)であり、他の刑事ドラマと大きく異なるのが、「目には目を。犯罪には犯罪を。」というコンセプトだ。

 主演の高橋一生が演じるのは、警視庁刑事部特命捜査対策班の警部補である志村貴文。人一倍正義感の強い志村は、事件解決のためなら、グレーな手を使うことも厭わないという一面を秘めている。そして、志村と協力体制を取ることになるのが、柴咲コウが演じる「インビジブル」こと、犯罪コーディネーターのキリコである。犯罪コーディネーターとは、裏社会に精通する犯罪者たちを仲介しながら犯罪を指揮する存在であり、それはもちろん、この法治国家においては「悪」とされるものである。「正義」を掲げて闇に潜む犯罪者に立ち向かう刑事と、「悪」の存在である犯罪コーディネーターがタッグを組み、数々の未解決事件の解決に挑んでいく。それが、今作のストーリーラインである。

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 「正義」と「悪」の境界が曖昧になっていく展開は非常にスリリングで、この物語はもはや、それらはコインの表裏のような不可分な関係であることを伝えている。勧善懲悪のカタルシスを提供してくれるような作品とは大きく異なり、『インビジブル』はとてもシリアスでシビアなテーマに切り込んだドラマである。では、Dragon Ashは、こうした物語にどのような楽曲を重ね合わせたのだろうか。

 まず、「Tiny World」のサウンド面について。同曲は、緻密に構築されたトラックと躍動的なバンドサウンドが美しく結合したシンフォニックなナンバーであり、前作シングル曲「New Era」で打ち出したDragon Ashの新機軸を継承しているといえる。シリアスな緊張感の中で熱気が高まっていく前半のパートと、一気に晴れやかな解放感が広がっていく後半のパートの対比が鮮やかで、こうした壮大な展開を誇る同曲は、『インビジブル』の物語のスケールを伝える上で大きな役割を果たしている。

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