ジャニーズWESTメンバー分析 第1回:重岡大毅、確かな演技力に宿るリアリティ 底抜けの明るさ持つ不動のセンター
秀でた情景描写から生み出す独自の世界観
アーティストとしての重岡に注目してみると、また違った魅力が見える。独学で習得したピアノに加え、桐山照史とのユニット曲「乗り越しラブストーリー」で作詞を手掛けた。付き合っていた彼女と偶然同じ電車に乗り合わせた時の心情を歌った同曲では〈こっち気づいてや キレイなってる横顔〉〈僕を待つ君がもしいたら どんなに笑えんだろう〉と懐かしさと切なさが入り交じった甘酸っぱい心情を綴った。また、尊敬する父親に捧げたというソロ曲「サラリーマンの父さん」では〈ボロボロになったガラケー 何だって知ってる〉〈赤いちゃんちゃんこ着せられ照れて笑う あなたの背中追いかける〉と、父親への想いを歌詞に込めた。重岡の手がける歌詞はどれも情景描写に秀でており、楽曲を通じて描かれた世界観が鮮やかに思い浮かぶ。ストレートに想いを綴った「間違っちゃいない。」は当初ユニット曲であったが、後にグループ曲として改めて音源化もされた。〈消えたくなった夜も 逃げたくなった朝も まぁまぁカッコいいんじゃない〉〈間違っちゃいないんだ〉と、迷ったときにはそっと背中を押し、寄り添ってくれる、実にジャニーズWESTらしい応援歌だ。どの楽曲にも重岡の真っ直ぐな骨太の優しさが見え隠れし、彼の人となりを感じることができるのが魅力だ。
そんな重岡も、ライブのMCやバラエティでは一転し、“永遠の5歳児”のようなやんちゃぶりを発揮し、メンバーへの愛のあるウザ絡みで場を盛り上げる。ライブやパフォーマンスでは、ファンの間で「キャラメルボイス」と呼ばれるスイートな歌声で魅了し、弾けるような笑顔でライブができる喜びを全身全霊で表現してみせる。才能とメンバー愛に溢れた重岡は、まさにメンバーやファンも認める唯一無二の不動のセンターに相応しい存在だ。今年で30歳を迎える重岡だが、個人の仕事で培ったポテンシャルをグループにフィードバックしつつ、映画など新たなチャレンジをしてくれることにも期待が高まる。