ジャニーズWEST 重岡大毅&濵田崇裕、各主演ドラマで見せる役者としての成長 2つの前向きな主題歌にも注目
ジャニーズWESTの重岡大毅が主演を務める金曜ドラマ『#家族募集します』(7月9日スタート、TBS系)と、同じくメンバーの濵田崇裕による連ドラ初主演作『武士スタント逢坂くん! 』(7月26日深夜スタート、日本テレビ系)の主題歌にジャニーズWESTの新曲「でっかい愛」と「喜努愛楽」が決定した(両A面として7月28日にシングルリリース)。本稿では主演を務める重岡・濵田の魅力にフォーカスすると共に、各主題歌についても考察したい。
爽やかキャラからクズ男まで…“明暗”生かした重岡の演技
デビュー後も着実に俳優としてのキャリアを積んでいるのが、グループでセンターを務める重岡である。重岡が俳優として一般に認知されはじめたのは、2014年、自身が尊敬する錦戸亮主演の『ごめんね青春! 』(TBS系)であったように思う。重岡演じる海老沢ゆずるはドラマから派生した「からくり人形」のあだ名と共に人気を博した。さらに人気に伴った実力を発揮したのは、映画『溺れるナイフ』での大友勝利役だ。ヒロインを慕う同級生・大友の切ない心情を、痛いほど清々しく演じて見せ、ジャニーズファン以外からも注目を集めるところとなった。また、2018年にメンバーの神山智洋とW主演を務めたドラマ『宇宙を駆けるよだか』(Netflix)の火賀俊平役も、同作をきっかけに重岡のファンになったという人も多い作品に。傷ついたヒロインに寄り添い支える男子高校生を力強く演じた姿が記憶に新しい。
爽やかキャラの(山田)太陽くんとして高い評価を得て、重岡の名前を一気にメジャーにした作品として『これは経費で落ちません!』(NHK総合)が知られるが、翌年2020年『知らなくていいコト』(日本テレビ系)では一変、クズ男・野中春樹役を演じ、確かな演技力を見せつけた。同役の反響は大きく、当時重岡の名を検索すると「重岡 クズ」と予測変換されるほど話題となった。しかし、筆者が個人的に俳優としての成長を顕著に感じたのは『ストロベリーナイト・サーガ』(フジテレビ系)で演じた若手刑事・大塚真二役だ。重岡の出演はわずか1話のみ、しかも終盤に殉職してしまうという悲しいストーリーだった。だが、1話のみの出演であったにも関わらず、前半の実直な大塚の姿が残酷な結末とシンクロする流れも含め、改めて重岡の演技力の高さを実感。放送後、SNSでは大塚刑事の殉職を悼む声が溢れ、その反響の大きさを物語った。
重岡の演技の魅力として、彼自身の持つ陰陽が大きく影響しているように思う。ライブやバラエティではメンバーに積極的に絡んだり、いたずらを仕掛けたり、まるで小学生のような天真爛漫なキャラであるが、作詞作曲に関しては、楽曲を通じ心のウェットな部分も垣間見ることができる。そんな彼自身の持つ明暗を生かし、どのような役柄にも重岡大毅の体温を込めることができるのが、俳優としての重岡の魅力ではないだろうか。『#家族募集します』では初のシングルファーザー役を演じることになる。今回はどのようなアプローチを見せてくれるのか非常に楽しみだ。
舞台で培った確かな演技力で単独初主演に挑む濵田
『武士スタント逢坂くん! 』で連続ドラマ単独初主演に挑む濵田が演じるのは、江戸時代からタイムスリップしてきた春画師であり武士の逢坂総司郎だ。また鈴木保奈美主演の『ノンママ白書』(フジテレビ系)では、今どきの若者・小中荘太を飄々と演じていたのが印象的だった。藤井流星とW主演した『卒業バカメンタリー』(日本テレビ系)では、非モテ男子学生の日常をドキュメンタリータッチで演じ話題となった。バラエティでの濵田はおっとりとしたいじられキャラで注目されがちだが、最近では“歌うま”という新たな立ち位置も確立。先輩ジャニーズをはじめ、歌唱力が必要なアーティストの楽曲などを見事に歌いこなし活躍している。
そんな俳優・濵田の芝居の原点は“舞台”にあるように思う。『大和三銃士 虹の獅子たち』では体当たりで激しい殺陣に取り組み、その真摯な姿勢を主演の中村獅童も絶賛。また2016年に主演した『歌喜劇/市場三郎〜温泉宿の恋』は2018年に『歌喜劇/市場三郎〜グアムの恋』として再演され、濵田の代表作となっている。筆者が最初に濵田の役者としての才能を体感したのは、2012年の舞台『少年たち Jail in the Sky』だ。濵田はヒール役の非道な看守役を演じ、鬼気迫る迫真の演技に多くのファンが心を奪われたことを鮮明に記憶している。濵田は役柄を丁寧に分析しながら忠実にトレースし、演じることでリアリティのある芝居に繋げているように思う。『武士スタント逢坂くん! 』で濵田がどのような分析をしたのか、楽しみにしたい。