ayaho&曽我淳一、世代の異なる2人で目指した背中を押す音楽 『であいもん』を優しく彩るエンディングテーマ制作秘話

ayaho+曽我淳一『であいもん』EDテーマ秘話

ayahoと曽我の共通点はNICO Touches the Walls

ーー2曲とも温かくて優しい印象を受けますが、それぞれ「こうやって聴かせよう」と意識した点はありますか?

ayaho:「ここにある約束」の方はアニメにがっつり寄せて、一果の父親への想いとか、「会いたい」「ここで待ってるよ」と心の中で叫んでいるような曲にしようと思いました。「あなたがそばにいてくれたら」は、もちろんアニメにも合うように作らせていただいたんですけど、それだけじゃなくて、アニメとは別に聴いてくださる方の背中を押せるような内容になっていて。あえて寄せ過ぎず、でも一果の想いはしっかり入れて、聴いてくださる方の想いが重なるように書きました。大切なものがある方、大切な人がいる方、もしくは自分自身の背中を押す応援歌を意識して書きましたね。

ーー〈夜が明けないような日々の中 ただ一つ願ってた〉という「ここにある約束」の歌詞や、〈滑り込んだ水溜まりは/相変わらず泥だらけだけど/滑り込んだ明日は/ずるいなあ こんなにも綺麗だ〉という「あなたがそばにいてくれたら」の歌詞など、落ち込む部分とそのあとの希望の対比がすごくいいバランスだなと思いました。ayahoさんの性格も反映されているのかなと感じたんですが、いかがでしょう?

ayaho:そうですね。下を見続けていても絶対に進めないし、進みたい道は見えないと思うので。滑り込んだ先が水溜まりでも、明日になってみたら意外と大丈夫かもしれないとか、そういうことに気づいていただけたらすごく嬉しいなと思います。一果もお父さんに会えない日々だったけど、それでも毎日過ごしてる中には幸せがたくさんあったと思うので、そんな小さな幸せが刻み込まれている『であいもん』にもリンクしているのかなと思いますね。

ーー制作を進めていく中で、お互いに印象に残っていることはありますか?

ayaho:レコーディングがどんな空気になるのかドキドキしていたんですけど、私の録る時間をたっぷり作ってくださっていて、ギターも歌も優しく声がけしていただきました。曽我さんが「そんなに緊張しなくていいよ」と言ってくださって、すごく安心したことを覚えています。

曽我:僕は、ayahoさんはとにかく歌が上手いなと感じましたね。生で聴くのは初めてだったんですけど、練習で1回歌ってもらったら、何も言うことはないというか。ドキドキしたということですけど、ブースに入って演奏すると、途端に人が変わるというか、ドーンとしているところがあって、安心してレコーディングできました。

ーー『であいもん』の作中では和菓子が人を繋げる場面が多く描かれますが、音楽も人を繋げることはあると思います。おふたりがそういうことを感じた瞬間は何かありますか?

ayaho:もともと音楽に触れるようになったきっかけが、NICO Touches the Wallsを好きになったことでした。それから弾き語りに興味を持って大原櫻子さんに憧れるようになったりしたんですけど、それこそ曽我さんがNICO Touches the Wallsの音楽に携わっていたので、今回こうやって自分の音楽で曽我さんとご一緒させていただくことはすごい縁だなと思います。CDの向こう側にいた存在なのに、次は一緒にCDを作るんだと思って。音楽がないとそういう縁もなかったし、本当に光栄です。

曽我:NICO Touches the Wallsに影響を受けていた話は実は今日初めて知りました。ご縁だなと思いますね。他にもayahoさんが好きなアーティストを、自分もたまたまお手伝いしていたことがあるので、本当に不思議だなって。出会いの種が結構前からまかれていて、今があるっていう感じがしますね。

ayaho、シンガーソングライターとしてのこれから

ーー『であいもん』では主人公の納野和がバンドマンであったり、堀河美弦が配信で弾き語りをしていたりと音楽要素もありますが、音楽的な側面ではどういう印象をお持ちですか?

曽我:漫画には音がないので、読みながら音は聴いてみたいなって思いました。あと和のギターには妙な説得力があるという描かれ方をしているので、羨ましいなって思いますね。僕がピアノをちょっと弾いていたりしても、周りがそれをきっかけに「なるほど……じゃあこうしよう!」みたいになることってほぼ皆無なので(笑)。そういう場面には憧れますよね。

ayaho:それこそ私は、美弦ちゃんのような活動をしている子を探しているということで呼んでいただいて。私も高校生のときに配信ライブをやっていたし、当時は顔出ししていなかったので、顔を隠す気持ちも分かるなと。でも音楽が好きなんだなっていう気持ちは和からも美弦ちゃんからも感じられて、曽我さんもおっしゃったように、音は聴こえてないし、どんな声で歌ってるのかも分からないけど、いい音楽なんだろうなっていうことは原作から伝わってきますね。

ーー改めて「ここにある約束」は、アニメのエンディングテーマとしてどんな楽曲になったと思いますか?

ayaho:この曲は歌から始まるじゃないですか。だからアニメを観て「いいな」とじんわり温かくなった想いが、最後に歌によって優しく弾けていくことが想像できる曲になったかなと思います。

曽我:『であいもん』は、いろんなことがあるけど最終的には前向きな気持ちにさせてくれる作品だと思うので、そのエンディングテーマとして、前向きな気持ちを自然に連れてきてくれる曲になっていると思います。

ayaho:1話では一果もまだ心を開いていないと思うんですけど、そういう一果の気持ちを意識しながら最後まで観て、音楽を聴いていただきたいですね。彼女だったらきっとこういう想いなんだろうなっていうことを歌詞にしたので。

ーー各回で描かれる一果の感情によって曲の響き方も変わりそうですね。

ayaho:そう思います。

曽我:人間関係が明かされていくにしたがって、歌詞がより響いていく作りになっていると思いますね。強いだけじゃなくて暗いわけでもない、ayahoさんの歌にも注目してほしいです。聴いてくれる人もアニメと合わせてすごく好きになってくれると信じています。

ーー最後にayahoさん、今回のユニットの経験を通して、今後やってみたくなったことなどはありますか?

ayaho:こうやって何かの作品に沿った曲を書くことは初めてだったんですけど、やってみたら本当に難しくて。改めてそういうことをされている方ってすごいなと思いましたし、私ももっと自信がほしいなと思いました。私の曲が、誰かや何かを通して知れ渡るのはすごくありがたいことだなと思いますし、作品や他のアーティストにもっといろんな楽曲を提供していけたらいいなと思っています。

■リリース情報
であいもん(ayaho+曽我淳一)『ここにある約束』
2022年4月20日(水)発売 ¥1,320税込
【収録曲】
1.ここにある約束
作詞・作曲:ayaho 編曲:曽我 淳一
2.あなたがそばにいてくれたら
作詞・作曲:ayaho 編曲:曽我 淳一
3.ここにある約束 (instrumental)
4.あなたがそばにいてくれたら (instrumental)
※ジャケットはアニメ描き下ろしイラスト

■番組情報
TVアニメ『であいもん』
・AT-X:毎週水曜23:30~
(※リピート放送:毎週金曜11:30~、毎週火曜17:30~)
・TOKYO MX:毎週水曜25:35~
・KBS京都:毎週水曜25:35~
・サンテレビ:毎週木曜24:00~
・BS-11:毎週金曜23:00~
<スタッフ>
原作:浅野りん(『ヤングエース』連載/角川コミックス・エース 刊)
監督:追崎史敏
シリーズ構成:吉田玲子
キャラクターデザイン・総作画監督:渋谷秀
音楽:高田漣
OPテーマ:坂本真綾「菫」
EDテーマ:であいもん(ayaho+曽我淳一)「ここにある約束」
アニメーション制作:エンカレッジフィルムズ
製作:緑松
<キャスト>
納野 和:島﨑信長
雪平一果:結木 梢
納野平伍:小山力也
納野富紀:大原さやか
巽政:岩崎ひろし
お鶴さん:ゆきのさつき
瀬戸咲季:永塚拓馬
堀河美弦:鈴木みのり
松風佳乃子:髙橋ミナミ
私市緋色:早見沙織
雪平巴:松岡禎丞
雪平真理:坂本真綾
納野一光:及川いぞう
納野倭世:吉田美保

公式サイト:https://deaimon.jp/
Twitter:@Deaimon_anime

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