KAT-TUN、2年半ぶりアルバムがチャート首位 成熟した雰囲気に満ちた充実の楽曲とボーカルの心地よさ
参照:https://www.oricon.co.jp/rank/ja/w/2022-04-11/
2022年4月11日付のオリコン週間アルバムランキングで首位を獲得したのはKAT-TUN『Honey』で推定売上枚数は103,768枚。続いて、2月リリースの韓国盤を以前取り上げた(※1)TREASURE『THE SECOND STEP:CHAPTER ONE』の日本盤が55,653枚を売り上げて2位にランクインした。3位はNCT DREAM『Glitch Mode:NCT DREAM Vol.2』で40,789枚を売り上げた。ほか、トップ10圏内の初登場作品としては、4位サカナクション『アダプト』(30,452枚)、5位『まふまふ トリビュートアルバム ~転生~』(29,377枚)、7位チャン・グンソク『Blooming』(16,508枚)、9位Red Hot Chili Peppers『Unlimited Love』(13,281枚)、10位『Paradox Live Opening Show-Road to Legend-』(10,682枚)がある。発売2週目となる藤井風『LOVE ALL SERVE ALL』が16,298枚を売り上げて8位につけているのも興味深い。すでに作品の内容についてはリアルサウンド内で別途レビューを寄稿しているので(※2)詳しくは省くけれども、2週間でおよそ16万枚に届くその勢いはさすがだ。1月の連載でも少し触れたように(※3)、ここしばらくの躍進から考えれば順当といえるが。
さて、今回取り上げたいのは首位のKAT-TUN『Honey』。およそ2年半ぶりのオリジナルアルバムであり、2021年3月リリースのシングル「Roar」で初のデジタル配信(ダウンロード/ストリーミング)に踏み切って以降はじめてのアルバムリリースでもある。配信向けには「Selected Edition」としてメンバーソロ曲などを除いた11曲がコンパイルされているが、総再生時間40分というコンパクトさもこれはこれで心地よくスマートな印象だ(なお、本稿では「Selected Edition」の収録曲順を前提にレビューする)。
そしてなにより、どの曲もきらびやかさを残しながらも成熟した雰囲気に満ちている。その充実度たるや。とりわけ、前半に収められている音数少なめでボーカルのアプローチもやわらかい楽曲がとても聴き応えがある。たとえば冒頭を飾るのは、アコースティックピアノの艶やかな響きが印象的な4つ打ちの「Ain't Seen Nothing Yet」。サウンドの構成はごくシンプルだが、要所要所でピアノが複雑な和声感を加え、またリズム上のアクセントにもなっているトラックの絶妙さ。2分50秒ごろから三連でシャッフルするリズムチェンジがさりげなく挿入されているのも含めて、かなり惹き込まれる曲だ。そしてなにより、そんなビートに高めのトーンでやわらかくアプローチする3人のボーカルが素晴らしい。「Honey on me」も流れるようなグルーヴと、それを的確にサポートして華やかさを加えるストリングスのフレーズが心地よい。続く「Prisoner」も、ピアノにかぶさったシンセのうねるような響きがファンキーなベースラインと絡み合うグルーヴが素晴らしいし、少し性急にも思える16ビートの譜割りのメロディがとてもなめらかな流れを感じさせるのも唸る。