ラブリーサマーちゃん、3rdアルバム完全再現で会場中を虜に 優しさと強さに満ちたツアー追加公演

ラブサマちゃん、優しさに満ちたツアー追加公演

 ラブリーサマーちゃんが『THE THIRD SUMMER OF LOVELY SUMMER SONIC Tour 2021-2』の千秋楽を、3月3日恵比寿LIQUIDROOMにて開催した。本公演は2020年にリリースされた大名盤『THE THIRD SUMMER OF LOVE』のリリースライブと、彼女が毎年開催する自主企画『LOVELY SUMMER SONIC』を兼ねた東名阪を回るツアーであり、WWW Xでの公演が即日完売したことを受けて行われた追加公演である。

 登場SEとしてステージに響き渡るのはBon Joviの「It’s My Life」。なかやまきんに君の大ファンであることを公言する彼女らしい演出だ。「It’s My Life」がサビに差し掛かり、ラブリーサマーちゃん(以下、ラブサマちゃん)とバンドメンバーの吉澤響(Dr・セカイイチ)、右田眞(Ba・ayutthaya/nenem)、奥村大(Gt・wash?)、馬場庫太郎(Gt・NENGU)がオレンジと白の紙コップを掲げながら登場。メロディックなベースサウンドが奏でられると、ライブは「AH!」で幕が上がった。曲の後半にはラブサマちゃんがタンバリンを鳴らし、リスナーも身体を揺らして音の波に乗っていく。「ありがとうございますー!」と元気よく挨拶すると、「めちゃくちゃ気合入れてきましたからね。今日はみなさんを惚れさせるつもりで来ましたので、楽しみなさい!」と続け、自身がシンセを奏でるシーンも見られた「More Light」へ。

 重苦しいギターの歪みが特徴的な「心ない人」ではスタンドマイクでセンチメンタルに歌い始め、サビではハンドマイクに切り替える。客席に身を乗り出すよう前に出ては、感情を吐き出すように歌をリスナーに届けていく。間を入れずに、イギリス旅行中に着想を得て制作したという全編英語詞の「I Told You A Lie」、ラストフレーズでクールなギタープレイも披露した「豆台風」を畳み掛け、「LSC2000」へ。ファンとライブへの思いを歌った本曲はライブで聴くと改めてグッと来るものがあり、きっとリスナーもラブサマちゃんに惚れ直した瞬間になっただろう。

 じっくりと曲を聞かせたあとは、この日初のMCへ。「今日は来てくださってありがとうございます! イエーイ!」と感謝の気持ちを精一杯伝える。「ツアーが終わってしまうから、この日を迎えるのが嫌だった。始まったら終わってしまうから。安室奈美恵の『Love Story』と一緒だよね。良い曲って、曲が終わるのが惜しくなるから。もう終わっちゃうの!?って」とライブを自らが一番楽しんでいること、合わせてツアーが終わってしまう寂しさを早くも漏らす。

 すでに気づいていたファンもいたようだが、ライブがスタートしてから披露された6曲は、アルバム『THE THIRD SUMMER OF LOVE』の収録曲順と全て同じ。「心ない人」から「I Told You A Lie」への繋ぎもまさにアルバムを再現したような曲間だった。その流れのまま、MC明けは爽やかな「ミレニアム」をドロップ。卒業シーズンであり、新生活を控える人が増える今の時期にぴったりな1曲である。後奏でリードギターがユニゾンする様が美しい。その後もアルバムと同様に「アトレーユ」「サンタクロースにお願い」を順番にプレイ。続く「どうしたいの?」ではイントロから飛び跳ね、会場を沸かせていく。アップテンポでキャッチーなドラムのフレーズにのせられ、会場は一体となって身体を揺らす。アルバム最後の曲は、「ヒーローズをうたって」。〈このメロディが聴こえてるうちはきっと 僕らは壊れないでしょう このメロディが歌えてるうちはきっと大丈夫と 言って欲しいのです〉と、自身と音楽、そしてリスナーとの繋がりをストレートに歌った曲だ。優しさと強さを含んだ歌声が会場を包み、アルバムを全曲披露した前半を終えた。

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