King & Prince、初の4大ドームツアー開催へ ハイクオリティなパフォーマンスと演出が楽しめるライブならではの魅力

ジャニーズイズムの継承から世界を目指すKing & Prince

 ライブのセットリストから構成している神宮寺は細部に至るまでこだわり、代案も含めてメンバーに提案するという。アルバム収録曲だからといって安易にセットリストに入れることなく、ライブ全体の世界観を大切にしている。また、感染防止のために使用できないスタンドトロッコの代わりにメカアームという最新鋭の機構を採用し、できる限りファンの近くに行きたいというメンバーの希望を叶えるなど、今後他のアーティストのライブでも登場するであろう演出も取り入れている。ジャニーズの演出家と言えば松本潤が知られているが、リハーサルの際に厳しい表情でステージを見つめる神宮寺の横顔からは、どこか松本を彷彿とさせるストイックさを感じる。

 ライブのMCの中心を担う永瀬廉は、毎回ファンに喜ばれるテーマをピックアップするセンスが絶妙である。バランス良くメンバーのトークを引き出していくテクニックは、常に冷静な部分を持っている永瀬ならでは。さらに会場を巡りながら、客席のうちわに応えていく細やかなサービス精神は、関西ジャニーズJr.時代に培った、ファンとの絆を大事にするスタンスであるように思う。

 トークではいじられキャラになることが多い岸優太であるが、定評のある流麗な歌声と細部にまで神経を行き届かせた繊細なダンスで、ライブ全体のクオリティを高めている。誠実な人柄が滲み出た佇まいからは、カッコイイだけではなく親しみやすさを感じさせ、グループのイメージに欠かすことができない唯一無二の存在だ。

 テクニックはもちろん振り付けの才能も開花させている髙橋。メンバーの個性を知り尽くしているからこそ、5人が最も映えるダンスに仕上げることができるのだろう。すでにTravis Japanの振り付けも担当しているが、King & Prince以外のグループでも、その才能を活かして今後ますます活躍のフィールドを広げていくことだろう。

 そして、完璧なルックスとダンス、独特のハスキーボイスでグループを牽引する平野。トップアイドルの中のトップアイドルのオーラを滲ませながら、昨今風格すら感じる輝きを放っている。完璧なまでの資質から繰り出される独自のボキャブラリーセンスが生むギャップも平野の持ち味だ。

 メンバーのソロ活動も増えたことから、それぞれが仕事を通じて得た経験をグループにフィードバックしていくことで、大きな成長に繋がっているように思う。ジャニー喜多川から受け継いだジャニーズイズムを継承し昇華させるだけでなく、King & Princeの目指す“世界”に向け着実に歩を進めていることを実感する。グループの目標の一つとして掲げていた初のドームツアーも決定し、次はどのような景色を見せてくれるのか。5人の届ける世界を楽しみに待ちたい。

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