木村拓哉、2ndアルバムが大差でチャート首位獲得 “キムタク印”を濃縮したエンターテインメントの本懐

参照:https://www.oricon.co.jp/rank/ja/w/2022-01-31/

 2022年1月31日付の週間アルバムチャート、上位3位はすべて新作が揃いました。3位はザ・クロマニヨンズ『SIX KICKS ROCK&ROLL』、2位はMANKAIカンパニー『A3! FULL BLOOMING LP』、そして1位は木村拓哉『Next Destination』。2位以下が約1.1万枚のセールスであるのに対し、木村拓哉は7.1万枚。やはり、強いです。

 木村拓哉がソロで動き出したのは2020年のことで、1stアルバム『Go with the Flow』には小山田圭吾、槇原敬之、森山直太朗、川上洋平([ALEXANDROS]/現表記[Alexandros])らが楽曲を提供していました。ジャンルを問わず、いい作家陣のプラットフォームとして機能する。これは優れたアイドル歌謡/ポップスのあるべき姿で、SMAP時代から変わらず続いている流れです。

 さらに興味深いのは、この時のツアー『TAKUYA KIMURA Live Tour 2020 Go with the Flow』で、藤井フミヤ「TRUE LOVE」(1993年のフジテレビ系ドラマ『あすなろ白書』主題歌)、久保田利伸「LA・LA・LA LOVE SONG」(1996年のフジテレビ系ドラマ『ロングバケーション』主題歌)など自身が出演したドラマ関連の大ヒット曲が披露されたり、「SHAKE」や「夜空ノムコウ」といったSMAP楽曲も歌われていたこと。背中を押したのは明石家さんまで、木村は「さんまさんから『なんでアルバムの曲しかやらんのや。楽曲は、アーティストだけのものじゃない。みなさんとの共有物や』と言われました」と明かしていたそうです(※1)。

木村拓哉 -「TAKUYA KIMURA Live Tour 2020 Go with the Flow」トレイラー映像前編

 すごくないですか? 原曲の歌い手が違うとか、ドラマの役が違うとか、もう時代が違うとか、以前のグループとソロは別物だとか、そういう細かい枠組みを取っ払って「みなさんとの共有物」になってきた自分の過去を惜しみなく披露。今とは違い、わかりやすいヒットの指針があった平成ポップカルチャーを考えると、SMAP/キムタクほど「共有物」として強いものはありません。毎回のCDシングルやTVドラマで老若男女を夢中にしてきた「キムタク」の記号を、本人が受け入れ、余裕を持って楽しめるようになった。そういう時期ではないかと想像します。

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