UNISON SQUARE GARDEN、ほぼノンストップで駆け抜けた目が離せない怒涛のライブ 『Patrick Vegee』ツアーファイナルレポ

 UNISON SQUARE GARDENが、2020年にリリースした8thアルバム『Patrick Vegee』を携えた全国ワンマンツアーを開催。東京ガーデンシアターにて行われたファイナル公演は、アルバム収録曲の魅力を改めて感じると同時に、彼らがライブバンドであることを貫く意味や強さ、そして凄さを存分に味わう一夜となった。

 SE「絵の具(r-r ver.)」と共にステージに姿を表したメンバーたち。斎藤宏介(Vo/Gt)が「Simple Simple Anecdote」のサビ部分をしっとりと歌ってからイントロに繋げるアレンジを見せ、ライブの幕が開けた。「ようこそ!」と歓迎の言葉を観客に放ち、次曲の「Hatch I need」へ。過激な歌詞やテンポの早いメロディ、レーザーのように伸びる照明やスモークの演出とも相まって、会場が一気に熱を帯びていく。そのまま間髪入れずに「マーメイドスキャンダラス」に繋げたのは、アルバム『Patrick Vegee』の曲順を再現しているのだろう。4曲目「Invisible Sensation」の頃には、すでに田淵智也(Ba)が幾度となくジャンプしたりステージ上を走り回ったりしていて、心の底から演奏を楽しんでいることが目にあまるくらい伝わってくる。

 簡単な挨拶を挟み、斎藤が「2020年の『Patrick Vegee』のリリースから1年以上経っている分、お待たせしてしまいましたが、何回も聴いてしっくりくる曲になっていると思います。が、今日はそれをぶっ壊したいと思っています」と話す。アルバムリリースから時が経っていることを逆手に取った発言には「そうきたか」と膝を打たずにはいられなかった。

 そんな宣戦布告とも取れるMCのあとは、「フライデイノベルス 」「カラクリカルカレ」「Nihil Pip Viper」「Dizzy Trickster」とノリの良いポップナンバーとアグレッシブなロックナンバーを立て続けにドロップ。会場いっぱいに響く力強い鈴木貴雄(Dr)のドラム、ステージを自由に駆け回る圧倒的なパフォーマンスを見せながら奏でられる安定感や動きのある田淵のベース、曲によって表情を自在に操る斎藤の歌とギター。どこからも目が離せない圧巻のライブをさらっとこなしてしまう、UNISON SQUARE GARDENというライブバンドの強さが身に沁みる。

 暗闇の中で赤いライトに照らされた斎藤が、ギターのミュートサウンドと共に歌い始めたのは「摂食ビジランテ」。イントロや間奏のシリアスさと、サビで爆発する迫力のコントラストに合わせて変わるライトが、より曲の印象を強く引き立てていた。そのままミドルテンポの歌メロの裏で手数多くドラムが叩かれる「夜が揺れている」へ華麗に繋げ、耳心地の良い爽やかな「夏影テールライト」を展開していく。

 ストリングスサウンドが流れ、甘酸っぱいラブソング「オーケストラを観にいこう」が届けられる。鈴木がドラムスティックをタクトのように振る微笑ましいシーンや、壮大なサウンドに聴き入っていると、余韻に浸る間も無く「Phantom Joke」へ。アレンジを利かせた鮮やかなサウンドもさることながら、ステージ後方のスクリーンにメンバーの影を映すなど隙のない演出で視覚的にも楽しませてくれる。

 斎藤と田淵がはけたステージで行われた鈴木による恒例のドラムソロパートは今回も圧巻。複雑な手足の動きで怒濤の高速連打を見せつける。それと同時に、スタンディングでのパフォーマンスやスティック回しも織り交ぜているのだから、脱帽するほかない。再び3人がステージに揃い、セッションやソロ回しをバッチリ決めると、まだまだこれからだぞと言わんばかりの勢力で「世界はファンシー」が投下される。ファンタスティックなギターソロを華麗に披露し、throwcurveのオマージュソング「スロウカーヴは打てない (that made me crazy)」でさらに盛り上げていく。

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