卓越したギタースキルと歌心を持つ10代、森 大翔とは何者か 型にはまらない才能がシーンにもたらす新たな旋風

森 大翔がシーンにもたらす新たな旋風

 そして何よりも驚かされるのは、先ほども述べたように、彼はその卓越したギタースキルを持ちながら、「歌」を追求する道を選んだことだ。この道を選んだ理由は、一人でも多くの人に自分の音楽を聴いてもらいたいという想いがあったからだという(※1)。実際に、彼が歌うメロディは全方位に開かれていて、この曲のポップな歌の力に驚かされる。

森 大翔「台風の目」ミュージックビデオ

 そして今回リリースされたのが、2ndデジタルシングル「台風の目」だ。さっそく、公開されたばかりのMVを観てほしい。「日日」とは編成が大きく異なっており、この曲では、ピアノ、ドラム、ベース、そしてストリングス隊と共に壮大なサウンドを描き出している。森が奏でるアコギを含めた各楽曲の音色が織り成すアンサンブルは非常に豊潤で、イントロや間奏、アウトロにおける強烈なキメの連続は非常にスリリングだ。何より、繊細なアルペジオやコードストロークに乗せて歌われる森の歌は、まるで壮大なサウンドを追い風にして高らかに飛翔していくような、とても伸びやかな響きを放っている。そして、そうした温かな歌心を丁寧に伝える一方で、同時に、森が胸の内に秘める力強い意志が全編に貫かれている。その意志は、〈型にはめこまれないように錆びれた価値観を/塗り替えてしまおう〉という一節に象徴されており、これは彼が飛び出したばかりの2020年代の音楽シーンに対する一つの宣言なのだと思う。彼の優しく力強い歌からは、それこそシーンの「台風の目」となるような大きなポテンシャルを感じる。

 現時点でリリースされている楽曲は、今回紹介した「日日」「台風の目」の2曲のみ。この先、彼がどのような道を追求していくのかは本人に聞いてみないと分からないが、いずれにせよ、その破格のギタースキルと歌のポップな力は、日本の音楽シーンに大きなインパクトを与えていくと確信している。そして彼の楽曲の魅力は、ライブの場でこそさらに輝くはずで、ライブシーンやフェスシーンへの進出も楽しみだ。2022年、彼のネクストアクションに期待したい。

※1:https://mikiki.tokyo.jp/articles/-/29818?page=2

森 大翔「台風の目」

■リリース情報
森 大翔「台風の目」
2022年1月26日(水)配信リリース
ダウンロード/ストリーミングはこちら

■関連リンク
Official Instagram:https://www.instagram.com/yamatooo_mori/
Official Twitter: https://twitter.com/yamatooo_guitar
YouTube:https://www.youtube.com/channel/UCLujyYE-ag3DSad_AxmuVOA/featured

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