WOWOW開局30周年記念オリジナル長編アニメ『永遠の831』インタビュー

WOWOWオリジナルアニメ『永遠の831』 カノエラナとangelaが語る、作品の魅力と楽曲に込めた思い

「よし、やろうか」と思えるような雰囲気をまとった作品

ーーカノエラナさんは、「ひとひらの未来」を聴いてどんな感想を持ちましたか?

カノエラナ:私が最初に聴かせていただいたのは、音源としてではなく『永遠の831』のエンドロールとしてだったんです。まだ制作段階の絵が付いた状態だったんですけど、ゾゾゾゾ~ってなりました。鳥肌が立つとはこういうことを言うんだなって(笑)。私が思っていなかった視点があって、先ほどお二人がお話をされていたように、季節が変わるというはっきりとした答えが見えるところまで書かれているのはすごいです。この曲が物語の最後に流れることで、作品として引き締まるなと思いました。

atsuko:すごく嬉しいことを言ってくれて、ありがとうございます。

ーー「ひとひらの未来」という曲名は、ずばりスズシロウの未来ということなんでしょうか。

atsuko:そうですね。

ーーだとすると、すごく儚い未来ですね。

atsuko:でも、ひとひらであっても、あるとないとでは全く違います。最初に書いたデモの段階ではもっと後ろ向きな歌詞だったんですけど、アニメ制作側から「もう少し光がほしい。もう一歩、未来が感じられるものがいい」という提案があって。それで一歩を踏み出そうとしているところを強調したんですけど、でもその踏み出す一歩は「よーし! 行くぞ!」みたいな力強いものではなく、何となく季節に背中を押されるみたいなものなんです。季節ってどんどん変わっていくじゃないですか。ショーウィンドウはハロウィーンとかクリスマスとかどんどん変わっていって、「もうそんな季節なの!」って自分だけが取り残されていると感じた経験は、きっと誰でもあると思います。だから、すごく完璧な楽しい未来というよりも、ひとひらでもいいから未来を感じられる場所へ踏み出していきたいという気持ちを歌詞に込めました。

ーー自分はまだ夏を満喫していたいけど、否が応でも季節は過ぎていくという感じですね。

atsuko:そうなんです。否が応でも、季節って本当にどんどん変わっていくものですよね。

ーー『永遠の831』を観た人、「キンギョバチ」と「ひとひらの未来」を聴いた人には、何を感じてほしいですか?

カノエラナ:私は、今の現実がすごくこの作品と近い世界になっているなと最初に感じて、心にストンと入ってきました。この作品を見た一人ひとりが何を考えるかで、これからが作られていくのだと思います。10代とか私と同世代の20代の方にこそ、見てほしい作品だと思います。

atsuko:自分一人の力では世界を変えられませんが、こうして大きな作品に関わることで皆さんに届けることができる私たちは、より多くの人に問題提起をできる立場にあると思っています。だからこそ自分たちは音楽で発信して、この曲を聴いて「月曜日から頑張っていこう」とか、きっかけにしてくださる方が1人でも多くいてくれたら嬉しいです。決してグイッと背中を押すものではないけど、「よし、やろうか」と思えるような雰囲気をまとった作品だと思います。

KATSU:これが、神山健治監督のメッセージ。それがエンターテインメントという形でできあがっているのが素晴らしい。

ーーちなみにですが、主人公の浅野スズシロウと橋本なずなは、時間を止められる能力を持っています。もしも皆さんが時間を止められたら、どういうことに使いたいですか?

KATSU:そんなのは言えないです!

atsuko:何に使おうとしているんだか(笑)。

KATSU:でも単純に、遅刻しそうな時に時間を止めて遅刻しないようにするとか。

atsuko:結局、何か困った時に使おうと考えるのが普通ですよね。でも、やっぱり曲作りの締め切りがどうしても近づくと慌ててしまうので、時間を止めてゆっくり制作したいです。ただ、これもまた難しいところで、時間があればいい曲が作れるというわけでもなくて。結構焦って作った曲が良い時もあるので、一概には言えないんですよね。

カノエラナ:それは私も分かります(笑)。私は人とコミュニケーションを取るのが苦手で、会話の途中で止まってしまうことが多くて、相手が言ったことに対して返事を考える時間がほしいっていつも思うんです。だから時間を止められるなら一回止めて、ちゃんと考えて完璧な返事を返したいと思います。

ーー『永遠の831』の季節は夏で、夏と言えば夏休み、夏休みと言えば宿題です。カノエさんは、夏休みの宿題は先にやってしまう派でしたか?

カノエラナ:割と先にバーッとやってしまうタイプでした。あとは遊んで過ごすという。

atsuko:私は、ドリルみたいな宿題は7月中に全部やってあとは遊ぶんですけど、8月31日になるといつもクリエイティブ系の宿題が残ってしまって。

カノエラナ:自由研究とか読書感想文とかですか?

atsuko:そうそう。絵を描くとか。壊滅的だったのは、絵日記とか毎日やらないといけない宿題ですね。8月31日に絵日記をまとめて書くので、すごく大変でした。

ーーKATSUさんは、自由研究など得意そうですけど。

KATSU:自由研究ですから、研究をやらないのも自由です(笑)。僕も最初のほうにやるんですけど、全部終わらず中途半端なまま、なかったことにしていました。

ーー宿題は、なかったことにはならないですよね?

KATSU:それがなるんです!

atsuko:永遠に提出しないんですよ、この人は。

KATSU:それが僕の『永遠の831』です!

カノエラナ:タイトルが回収されました(笑)!

■番組情報
WOWOW開局30周年記念オリジナル長編アニメ『永遠の831』
2022年1月30日(日)夜8時~ WOWOWプライム、WOWOWオンデマンド
※WOWOWオンデマンドでは無料トライアル実施中
公式サイト:https://eienno831.com
公式Twitter:@eienno831
©️神山健治・CRAFTAR・WOWOW/「永遠の831」WOWOW

関連記事