lynch. が振り返る、メジャーデビューからの10年 バンドのターニングポイントや変化を恐れない姿勢も

lynch. メジャーデビューからの10年

lynch.は長く続くバンドにしようというのがまず第一にある

――再び5人体制となったlynch.は改めて夢であった日本武道館に向けて走り出し、今年の2月に武道館ワンマンの夢を掴みました。開催中止となってしまったのは残念ですが、思い返せば2011年のメジャーデビューを記念して行われたSHIBUYA-AXでのワンマンで「何年かかるかわからないけど、絶対に武道館でやります!」と宣言したのをきっかけに、メジャーデビュー以降年々武道館が近づいていったじゃないですか。実際、いつごろから武道館が手の届くところにあると意識されたのでしょうか?

葉月:10周年の新木場STUDIO COASTか、『D.A.R.K.』ツアー(『TOUR’15 DARK DARKER DARKNESS』)のTOKYO DOME CITY HALLかなぁ。

――新木場では「玲央さんが杖つく前に」みたいな発言もありましたし、TOKYO DOME CITY HALLでは「玉ねぎにかかってる靄を振り払っていきませんか」といった言葉もありましたもんね。

葉月:うん、やはり動員が2000人を超えだしたくらいから意識するようになりましたね。

――このインタビューで武道館に至るまで、紆余曲折あったことを改めて知ることが出来ました。lynch.としてのターニングポイントはどこだったと思いますか?

玲央:僕は明徳が加入したタイミング(2010年のラストインディーズツアーファイナル公演)ですかね。ずっとサポートを入れての活動だったので、正直思いっきり走れなかった面があるんですよ。なので、明徳が入って完全体になった実感が自分の中ではあったし、先ほども話しましたがこのバンドは人で選んでいるので、そう思える人間が5人そろったのは大きかったと思います。

晁直:僕も明徳加入のタイミングですね。

悠介:僕はそのちょっと前のラストインディーズツアーの時に、葉月くんが途中離脱したタイミングですね。それまでライブを引っ張っていくのを葉月くんに任せていた部分が大きかったんですけど、サポートの明徳を含めて4人でライブすることになって、ステージでの魅せ方なんかはそれをきっかけに変わったと思っています。なので、それがなかったからたぶん変わってなかったと思うし、僕の中で大きな出来事でしたね。

明徳:僕は『EXODUS-EP』から『GALLOWS』の流れを作ったところですかね。

葉月:メジャーデビューのタイミングももちろん大事だし、たぶん世間一般で言うと『GALLOWS』のタイミングなんでしょうけど、僕は『EXODUS-EP』のタイミングですかね。

――こうやって10年間を振り返ってみてもそうですし、実際にお話を聞いてもそうなんですが、lynch.というバンドは変化することや失敗することを恐れないバンドだなと思うんです。そして、変化した分だけ強くなっているなとも。

玲央:地道なように見えて、意外と実験的なバンドなんですよ(笑)。

――本当に机上の空論ではなく自らの経験をもって最善の方向を導き出していると思いますし、常にポジティブにチャレンジを続けることができるバンドの懐の深さを感じます。

玲央:気持ちが前に向いていないとそういう行動に出られないですから。なので、転んでも転落することはないというか。冒頭にもお話したように、lynch.は長く続くバンドにしようというのがまず第一にあるので、「そのためにこういう動き方をすれば長く続けられる」というのは、僕が年上なのもあって、結成当初は諸先輩方の成功と失敗をたくさん見た経験を伝えていましたし、今ではそれぞれが考えてバンドをやっていると思います。

――そういう意味ではライブでファンとのキャッチボールを大事にするlynch.にとって声出し禁止のなかでライブをする、ツアーをまわるというのもひとつの変化ですよね。それに、ツアーをまわって「声が出せないことはたいした問題じゃないことがわかった」といった発言もありました。

葉月:これもやってみてわかったことなんですけど、その前に数回無観客ライブをやったことも大きいですね。あれって現場がめちゃくちゃ寂しいんですよ。曲が終わったらシーンとして、あまりに寂しすぎてスタッフに拍手してもらったくらい(笑)。誰もいないのにかっこつけて、頭振って、でもなんのリアクションももらえないことに比べればお客さんがいるだけハッピーですから。

――ツアーでは“心の声”というワードもよく聞かれましたよね。

葉月:実際に声が聞こえてるような気になるんですよ。見える画自体はそんなに変わらないから、頭の中ではみんなの声が鳴ってるんです。それに、お客さんの顔でわかりますよね、気持ちが。

――やはりlynch.とファンの関係は切っても切れない、と。

悠介:無観客でフロアに誰もいない状況で演奏する、お客さんと目を合わせられないというのは、こんなにも寂しいものなんだとコロナ禍になってから思ったし、改めてファンというのは傍にいてほしい人達なんだなと実感しました。

玲央:依存しすぎてもいけないし、厳しい目で見てほしいけれど、弱ったときはお互いに助け合って、この人がいるから自分も頑張れると思い合える間柄というか。

葉月:それこそさっきlynch.が自分たちだけのものじゃなくなったという話がありましたけど、お客さんもスタッフも含めてlynch.なんですよ。なので、lynch.の活動においてもこっちがただ与え続けるというより、共有するイメージというか。だから、武道館にしても“黙ってついてこい!”ではなくて“絶対に行きたいから力を貸してくれ!”って言っていたと思うんです。

悠介:だからこそ、そのlynch.の一部が欠けるっていうのはあり得ないんです。

――それでは最後にこれから先も続くlynch.の未来に関してお聞かせいただけますか?

葉月:lynch.の中で僕が占める割合を減らしたいなと最近思っていて。

――というと?

葉月:結成当初は「僕に曲を書かせてくれるなら」なんて言っていましたけど、この5人が揃えばlynch.だし、この5人がステージに立っていればかっこいいじゃないですか。もうそれだけで充分で、lynch.=葉月の曲というイメージを払拭して、みんなの曲ももっと入れたいななんて思っています。

――これもいい意味でlynch.としての固定概念を覆す変化かもしれないですし、裏を返せばそのイメージがなくてもlynch.が成立するほどバンドが成熟してきたとも言えると思います。これからもlynch.は変化をおそれず進んでいきそうですね。

玲央:ずっとlynch.が続いていくように誠意をもって活動する。ただそれだけです。

明徳:そして、一日も早く以前のようにライブをやって、ツアーでいろんな人に会いに行けるようになることを願うとともに、その僕たちの当たり前だった日常を玲央さんが杖をつくようになってもlynch.として続けていけたらいいですね。

■リリース情報
2021年12月27日(月)発売
lynch.『2011-2020 COMPLETE BOX』【完全限定生産盤】
¥27,500(税抜価格¥25,000)(11CD + Blu-ray)
品番:KIZC-90643~54

最新リマスタリングCD/特殊アウターケース/デジパック/182Pブックレット/
ライナーノーツ / 歌詞 / 歴代アーティスト写真掲載

・収録内容:
[CD]
-ALBUM-
DISC01 I BELIEVE IN ME
DISC02 INFERIORITY COMPLEX
DISC03 EXODUS-EP
DISC04 GALLOWS
DISC05 D.A.R.K. -In the name of evil-
DISC06 AVANTGARDE
DISC07 SINNERS-EP
DISC08 SINNERS -no one can fake my bløod-
DISC09 Xlll
DISC10 ULTIMA
-SINGLE-
DISC11 全17曲収録
「MIRRORS」
THE TRUTH IS INSIDE
MIRRORS
DEVI
「LIGHTNING」
LIGHTNING
THE MORNING GLOW
「BALLAD」
BALLAD
CRYSTALIZE
「EVOKE」
EVOKE
DOZE
GUILTY
「ETERNITY」
ETERNITY
ALIEN TUNE
VARIANT
「BLØOD THIRSTY CREATURE」
BLØOD
CREATURE
THE WHIRL
「ALLIVE」
ALLIVE

[Blu-ray] 全19曲収録
-Music Videos-
・I BELIEVE IN ME
・MIRRORS
・A FLARE
・INFERIORITY COMPLEX
・FROZEN
・LIGHTNING
・BALLAD
・NIGHT
・DEVIL
・EVOKE
・ETERNITY
・BEAST
・F.A.K.E.
・TRIGGER
・CREATURE
・SORROW
・JØKER
・XERO
・ALLIVE

※商品情報の詳細はキングレコード lynch.公式アーティストページまでhttps://www.kingrecords.co.jp/cs/artist/artist.aspx?artist=41281
※特典情報の詳細はこちら
https://www.kingrecords.co.jp/cs/t/t12823/

■イベント情報
メジャー・デビュー10周年記念パネル展
詳細:https://www.kingrecords.co.jp/cs/t/t12867/

<関連URL>
■キングレコード lynch.公式アーティストページ
https://www.kingrecords.co.jp/cs/artist/artist.aspx?artist=41281
■lynch.公式ウェブサイト/SNS
[OFFICIAL HP]
http://pc.lynch.jp/
[OFFICIAL Twitter]
https://twitter.com/lynch_staff
[lynch. YouTube OFFICIALCHANNEL]
https://www.youtube.com/channel/UCH4a3Uy6viB3eLuOqQY7sHA

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