カメレオン・ライム・ウーピーパイ、Mega Shinnosuke……セルフプロデュースに長けたZ世代アーティスト

 松永瀀(Vo)、yukirie(Gt)、平井文(Dr)による3人組バンド、SpendyMily。松永が作詞を担当し、平井はアートワークや映像制作も手掛ける。平井が作る映像は楽曲の質感や温度感を見事に捉え、SpendyMilyの謎めいた出立ちをより一層魅力的に映し出している。音やビジュアル面など作品全体から醸し出されるアート性の高い世界観は唯一無二だ。

 また、彼らの語る上で欠かせないのが、その高い演奏技術である。初配信曲「夏とブルー」における緻密なサウンド面を支えているのがyukirieによる超絶技巧。ネット上で公開している演奏動画を見ればそのレベルの高さは一目瞭然だろう。

SpendyMily「夏とブルー」Official Music Video

 2020年にデビューしたDoulは、音楽や映像、ファッションに至るまでセルフプロデュースを貫く。独学で会得した英語によるリリックに、気怠げなボーカルとハイセンスなファッションでZ世代からも人気を集めている。デビュー曲「16yrs」は国内外から大きな注目を集めた。彼女はLinkin Parkが音楽の原点と語っており、MVではNirvanaのシャツを着用している。また、YouTubeにはMVの他に日常的なショートムービーも投稿する。かっちりとキメた作品だけでなく身近な表情も見せていく姿勢には、Z世代ならではの自由な感覚が見て取れる。

[Doul / 16yrs] MV short ver.
My Mr.Right - #Doul on music video set #Shorts #MyMrRight

 このようにジャンルレスな音楽性と、従来の枠に捉われない自由さを持つZ世代のアーティストたち。誰の力を借りずとも自ら発信できるSNSが普及した社会で、自分たちをどう見せるべきかを常に研究している。そんな彼らの生み出す作品には、何か新しいことと出会えるのではないかと我々をワクワクさせてくれる魅力がある。SNSを中心にさまざまなアーティストが日々デビューし、作品を送り出す昨今の音楽シーンで、彼らのセンスは既存の価値観を打ち破り、新しいシーンを切り拓いていくに違いない。

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