FIVE NEW OLD、活動10年で築いた日常を彩る音楽 集大成と未来を見せた『5 will give you 10(+1)』レポ
その後は、再びサポートメンバーを迎え、音の波が心地よく揺れる「In/Out」、アンビエントなアプローチのインストナンバー「Oblivion」とパフォーマンス。ドラムの合図を受け連れられてきたのは、SHUN(Ba)がFIVE NEW OLDをサポートすることが決まり、すぐにセッション動画を撮った思い出の曲である「Liar」だ。エモーショナルなラストと重なるストロボの演出は、彼ら4人が越えてきたときをコマ送りにして追っているよう。HIROSHIが大切な祖母を想い紡いだ「Moment」を経て、次第にライブは終盤へと向かっていく。
ラストのセクションは、時が時ならばコール&レスポンスで埋め尽くされたであろうキラーチューンのパレードだ。メジャーデビューを飾った「By Your Side」、アジアツアーを経て生まれた「What’s Gonna Be?」、そしてFIVE NEW OLDの名を一気に広げた「Sunshine」。オーディエンスは前のめりになり、メンバーと一緒に音楽を作っていく。その一体感ときたら、制限された状況下ゆえに聞こえてこないはずの観客の声さえ、聞こえてきそうなほどである。彼らの新しい挑戦であった「Hallelujah」を演奏すると、ハッピーなエールを放ち会場を後にした。
アンコールで再びステージに呼び戻されると、新曲の「Rhythm Of Your Heart」を堂々とプレイ。ミニマムで洗練されたサウンドは、新たなFIVE NEW OLDの始まりを予期させる。インディー時代の定番ソング「Undercover」、多幸感溢れる「Please Please Please」と繰り広げ全編を締めくくったのだった。
『5 will give you 10(+1)』でFIVE NEW OLDが示したのは、変わっていく強さと変わらない強さだったように思う。分離してしまうものだって乳化させ、意外な組み合わせでコーディネートだって組んで魅せる。大事なものを守りながら柔軟な発想で進化し、次のフェーズへ向かう姿勢こそFIVE NEW OLD の魅力なのではないだろうか。彼らにしか作れぬ彩りを見つけ出し、引き続き日々に添えていってほしい。