人間椅子 ナカジマノブ×レイザーラモンRG 偏愛ぶりが炸裂したスニーカー特別対談
空前のスニーカーブームといわれて久しい昨今、市場におけるスニーカーの価値上昇は止まるところをしらない。数十万円ものプレミア価格が付くことも珍しくなく、レアスニーカーは投資の対象にさえなっているという。
そんな熱狂的なスニーカーブームにおいて、一際存在感を放つアーティストとお笑い芸人がいる。日本が誇るハードロックバンド・人間椅子でドラムを務めるナカジマノブと、「あるあるネタ」で一世を風靡したレイザーラモンRGだ。今回の対談では、二人の思い出と愛が詰まったスニーカーを片手に、自身のスニーカー愛と哲学を大いに語ってもらった。(編集部)
雨の日用、ステージ用……履くスニーカーの選び方
――お二人はスニーカー好きということですが、今日みたいな雨の日に履くスニーカーはどうやって選んでいるんですか?
レイザーラモンRG(以下、RG):これはいい質問ですね。僕は今日、コンバースを履いてるんですが、ゴアテックスなので中が濡れないんです。あと、これの何がすごいかって言うと、新日本プロレスの棚橋(弘至)から買い取ったものっていう。『有吉反省会』(日本テレビ系)で棚橋が道場にいっぱいスニーカーを隠し持っていることがわかってみんなから怒られるという回があって、僕はそこで4足買い取りました。これはそのうちの1足です。
ナカジマノブ(以下、ナカジマ):まさかの棚橋さん!(笑)。僕はジョーダン1しかスニーカーを履かないから、雨用はないんですよね。
RG:でも、ニューバランスの写真もInstagramに載せていましたよね?
ナカジマ:あ、そうそう。996とかは好きなんですけどほとんど履かないですね。
RG:ノブさんは今日、家からそのスニーカーを履いてきたんですか?
ナカジマ:うん、履いてきた。さっきも言った通り僕、ジョーダン1が好きで、今履いているのは普段履き用。本当にジョーダン1ばっかり履いていて、赤黒も青黒も白赤も一足ずつ普段履き用があります。
RG:今履いているのは何年のモノですか?
ナカジマ:これは2001年の復刻ですね。
RG:なるほど! 雨の日のジョーダン1はキュッキュキュッキュいうんですよね(笑)。
――RGさんは、雨の日だから汚れてもいいコンバースを履いているのかと思いきやしっかりゴアテックス仕様なんですね。
RG:聞かれたいから履いてきました。「あれ? 今日は普通ですね?」「いや、実は……」っていう。
ナカジマ:まさに(笑)。僕も雨の日用のジョーダン1を考えようかな。RGくんは履いてない靴、いっぱいあるでしょう?
RG:そうですね、一応年に一回ずつは履こうとしているんですけど……。ノブさんはいかがですか?
ナカジマ:僕はもうね、「絶対に足を通さないぞ」って決めた靴が何足もある。あとカビが生えたら嫌なので、いろいろ対策を練って、たまに取り出して見て「お、健在だな」って。
RG:いざ履くとなると何に合わせていいのかわからない靴もありますよね。ノブさんはドラムを叩くわけで、そのための靴もあるんじゃないですか?
ナカジマ:ドラムは裸足で叩くので、むしろ靴を履いて叩いたことが一度もないんです。なんでかと言うと、僕が高校生のときに初めてドラマーとして入った練習スタジオが土足禁止だったんですよ。そこでしばらく練習してたから、靴を履いて叩けなくなってしまって。履くのは取材のときオンリーです。野外ステージでやるときはステージ脇までは履いていきますけどね。
――RGさんは舞台に上がるとき用の一足はありますか?
RG:ステージ用のスニーカーがあって、ニューバランス990とかを履いてます。ほかにも、バイク用、夏用、冬用……みたいに用途によって使い分けてます。あと、ロケの場合は、行く場所とその日の天気を事前に確認して、最悪ボロボロになってもいい靴で行きます。でも、スニーカー好きな人が来る場合は話のネタになるようなものを履いていきますね。基本、スニーカー中心で考えています。
――芸人さんの場合、事前に知らされないドッキリがあったりすると思いますが……。
RG:それはもう、長年の勘で「今日はドッキリだろうな……」と思ったら洗っても大丈夫なものを履いていきます。
ナカジマ:勘で!(笑)
RG:でも、ジョーダン1なんて盗難とか怖くないですか?
ナカジマ:あ、それは心の片隅にありますね。僕、先輩から「ジョーダン1を家に保管してるってあまり言わないほうがいいよ」って言われていて。
RG:資産ですからね。
ナカジマ:そう。だからずっと黙っていたんですよ。でも、趣味の話をする取材があったときにいろいろ話したら、すぐにその先輩から「言わないほうがいいぞ」って電話がありしました(笑)。RGくんはどうやって保管しているんですか?
RG:広めのスチールラックを4台置いて、そこに箱ごと置いている感じです。
ナカジマ:僕は、靴用の炭の脱臭剤を入れておくことで形をキープして、さらに吸湿剤と一緒にジップロックに入れています。ジップロックでも空気は入るから、たまに見るときに空気を抜いたり。
RG:それはもう、ワインですね。
ナカジマ:ワインほど細やかにやってはないけど(笑)、ラップでぐるぐる巻きにして冷蔵庫に入れたりする人もいますよね。
RG:でも、シュリンクすると触れなくなりますからね。僕は絶対に履きたいんです。
ナカジマ:履くっていっても、1年に1回履けるかどうかみたいな数でしょう?
RG:そうですね、365日分は超えてしまっていますね。ノブさんは何足ぐらいお持ちですか?
ナカジマ:ほとんどジョーダン1で数十足。何足も履きつぶしてますよ。
RG:すごいな! もったいなくて履き潰せないよ!
ナカジマ:でも、履く用だからね。僕、足のサイズが26cmなんですけど、今履いてるのは29cmなんですよ。これだけ大きいサイズだとちょっと安く手に入るんです。僕がジョーダン1を履き始めたのも、僕ら世代にとってバッシュのハイカットが“ロック靴”の代名詞だったからなんです。
RG:当時、誰が履いていましたか?
ナカジマ:ジョーダン1というわけではないですけど、Iron Maiden、Anthrax、Faith No Moreとかみんなバッシュ履いていたでしょ?
RG:ああ、細身のジーパンにバッシュでしたね。
ナカジマ:そうそう。バスケのソックスをジーパンの上に出して、ハイカットのバッシュを履いていて、それがすごくカッコよかったから欲しくなって買いに行ったんですよね。そうしたら、1988年当時のジョーダン1はまだそんなに人気がなくて。
RG:一時期ジョーダン1が叩き売りされてたって聞いています。
ナカジマ:ワゴンセールになっていたからね。そこにあったのは赤白だけだったんだけど、それを買ったのが最初。
RG:「シカゴ」がワゴンセールだったんですか? すごい!
ナカジマ:今日はそのときの本物を持ってきてますよ。
RG:あ、けっこう履いているけどキレイですねえ。そして、この箱がまたカッコいい。
ナカジマ:その次はこれ。
RG:「ロイヤル」。箱も潰さずにキレイですね。
ナカジマ:ジャンプマンのボールチェーンのキーホルダー、これがいいんですよね。これは1995年1月に買いました。
RG:その頃は争奪戦ですか?
ナカジマ:全然。1994~1995年当時はエアマックスが流行ってましたから。次、これも見てください。1994年の履いてないヤツ。
RG:94年なのにめっちゃキレイにとってありますね! これも2足ずつ持っているんですか?
ナカジマ:これを言うと嫌われるかもしれないですけど……3足持っていて。
RG:ええ~! どこで買ったんですか?
ナカジマ:これは高円寺の古着屋の友達が「これ、好きですか?」って連絡くれたから店まで行ってみたらかなり安くて。
RG:いい時代ですね! 今はもう、2、3年前に出たもので軒並み10万超えだから、当時のものは状態がよかったら45万はするでしょうね。それにしても箱が渋いなあ。
ナカジマ:箱だったらこれが激レアでしょう。
RG:あ、「DMPパック」! これはすごい! これも高円寺で買ったんですか?
ナカジマ:高円寺の靴屋です。僕は高円寺生まれ高円寺育ちですから。
RG:高円寺は名だたるストリートブランドの人がこっそり行ってるってよく聞きますよ。
ナカジマ:高円寺の古着屋にはいまだに「え、なんで?」というような靴が表に普通に飾ってあって、値段を聞くと「え!?」ってくらい安かったりする。