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日韓の音楽シーンを中心に活躍、Mayu Wakisakaが考えるコライトの定義と作家性 TWICEヒット曲秘話も語る

 韓国のアーティストではTWICE、少女時代、2PMなどに、日本のアーティストではMISIA、KAT-TUN、King & Princeなどに楽曲提供をしているMayu Wakisaka。もともとはシンガーソングライターとして、アコースティック感覚をいかした作品を発表していたが、2015年からは作家活動にほぼ専念。そこからの約6年で、TWICEの「KNOCK KNOCK」や「Candy Pop」を筆頭に、数々のヒットを日韓で飛ばしている。作家として一気にシーンで花開いたMayu Wakisakaに、コライトの面白さを聞いた。(宗像明将)

コライトは昔からみんながやっていること

――Wakisakaさんの作品はどれもポップな魅力がありますが、音楽的なバックグラウンドはどんなものでしょうか?

Mayu Wakisaka(以下、Wakisaka):本当にバックグラウンドがなくて。強いて言うなら子供の頃ディズニーは好きで見ていて、ディズニーの10分間シリーズの音楽ってけっこうジャズなんですよ。そういう意味では洋楽ですね。J-POPを聴くのは結構遅くて、CDを買いに行くことも、小学校の後半ぐらいまであんまりなかったですね。

――最初に買ったCDは覚えてますか?

Wakisaka:B’zの『BLOWIN’』を買いました。みんなが『ミュージックステーション』にハマり出した頃に、私も見て。同時期ぐらいに、学校の音楽の先生が音楽室にマドンナの『グレイテスト・ヒッツ(ウルトラ・マドンナ〜グレイテスト・ヒッツ)』のレーザーディスクを置いてたんですよ。先生が給食を食べながら聴いているのを「めっちゃかっこいい」と思って「かけてください!」みたいな感じで通い詰めてたのが、ポップスを意識したり、何かを自分から好きになったりした最初ですね。

――もともとはシンガーソングライターとして活動をしていたWakisakaさんが、作家として活動するようになったきっかけはなんだったんでしょうか?

Wakisaka:自分ではすごくいいものを作ってると思ったんですけど、実際あまり売れなかったんです。アメリカで録って帰ってきて、「日本でこのCDを持ってプロモーションしたらみんな聴いてくれるに違いない」と思ってライブをしても、バンドの人にギャラを払ったら赤字……。海外遠征もして、海外でのライブもけっこう好評だったんですけど、最終的にちょっと赤字で。「どうしようかな」って思っていたときに、コライトのお話を受けたんです。

――そのときはどう思いましたか?

Wakisaka:コライトでトップラインができるっていう自信はあったんですよ。なぜかっていうと、ラジオで流れている曲のイントロとかアウトロとかを聴くと、メロディがすごく自然に浮かんでくるし。アメリカの音楽学校に通っていた時代に、ジャズのアンサンブルにもずっと入ってたんですけど、複雑なコードの上で私がやるソロがものすごくダメダメだったんですよ。先生に「ベタベタしてる」って言われて(笑)。ただ、ポップスのコードって半分以下だし、メロディが出てくるし、ベタベタしているのも活かせるだろうし。そういうわけで「トップラインの仕事って出来るだろうな」と思っていたので、お誘いをいただいたときに迷いもなく「やります」とお返事をさせていただいて今に至る感じです。

――コライトと言われて、戸惑いみたいなものがなかったですか?

Wakisaka:最近、カタカナで「コライト」って見たときに敷居の高さがあるんだと思っていて、まさに今その質問をいただいて「あ、やっぱり敷居が高いんだな」っていうのを実感しました。たとえばバンドをやっていてジャムをして曲を作れば、それってコライトで。それこそ音楽学校時代の友達がピアノに向かって曲を作っていて、「私だったらこうする」って一緒にピアノ弾くのも、すごく自然なコライトなんです。カタカナで「コライト」って見たときに敷居が高くなっているのかなと思うんですけど、基本的には『一緒に音楽を作る』という作業なので、昔からみんながやっていることだと私は思っていたから全然戸惑いはなかったですね。

――日本では作曲家がひとりで作るイメージが大きいですからね。

Wakisaka:逆に、ひとりでずっとやっていた人って、煮詰まったりして、誰かの力を借りたいと思わなかったんだろうか、って。苦手なところが出てきて、人の力を借りたほうが楽だなって思うところがあったら借りて、それが成功すれば嬉しいし、そのほうが絶対楽しいと思うんですよね。自分で「これ、すごくしょうもないな」と思ったものを「いや、絶対そっちのほうがいいよ」って言ってくれる人がいるほうが私はいいし、ひとりよりそのほうが楽だと思います。

――シンガーソングライターとして自分の曲を作るよりも、コライトのほうが気楽だったりしますか?

Wakisaka:それはまた別ですね。自分の曲のソングライティングって、自分の中で完結できるじゃないですか。楽曲提供のときって、求められているものが基本的に「自分」じゃないので、自分の外に何か必ず正解があって。それを判断するのが、私はそんなに得意じゃないと思うんです。誰かが一緒にいてくれないと、逆に私は無理な人かもしれないですね。

――海外のコライターとも、Skypeなどで一対一で打ち合わせているそうですが、語学力はもちろん、コミュニケーション能力が高くないとできない作業ではないでしょうか?

Wakisaka:それこそ思ったことを言えないほうが辛いんで(笑)。「これを言ったら相手が怒るかな?」とかよりも、「ちょっと違うんじゃないかな」って言えないほうがコミュニケーションでストレスが溜まるし、そこを言いながらうまく作れる人としか作業ができないですね。向こうもそういう人を求めてるんじゃないかなと、思います。

――そういう作業のなかで、Wakisakaさんとしては、ご自身の作家性をどんなものだと考えていますか?

Wakisaka:洋楽も知っているし、アジア的なものも知っているっていうところのバランスが自分の作家性なのかなと思います。寿司で例えると、ちょっと炙ってサーモンの生々しさを取るか、なんだったらベジタリアン専用のアボガドしか入らないカリフォルニアロールにしちゃうか、その塩梅を見極めるのが自分の強みでもあるし、特徴なのかなと思います。

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