ONE OK ROCK、新たなライブアンセム「Wonder」誕生 閉塞感を打破する豪快なスタジアムロック

 ONE OK ROCK「Wonder」が10月22日に全世界同時リリースされた。今年3曲目の新曲であり、昨年10月11日にZOZOマリンスタジアムで開催された無観客配信ライブ『ONE OK ROCK 2020 “Field of Wonder” at Stadium Live Streaming supported by au 5G LIVE』で初披露された1曲。ファン待望となる、1年越しのリリースである。

 2019年2月に現時点での最新アルバム『Eye of the Storm』をリリースしたONE OK ROCKだが、コロナ禍を経て現在はニューアルバムへの期待が高まっているところだろう。そんな中、これまで主題歌を提供し続けてきた映画『るろうに剣心』シリーズの完結編となる『るろうに剣心 最終章 The Final』『るろうに剣心 最終章 The Beginning』に、バンドは「Renegades」「Broken Heart of Gold」を提供。映画のために制作された新曲とはいえ、『Eye of the Storm』をさらにブラッシュアップさせたような作風に“次の一手”を感じずにはいられなかった。

ONE OK ROCK - Renegades Japanese Version [OFFICIAL MUSIC VIDEO]
ONE OK ROCK - Broken Heart of Gold Japanese Version [OFFICIAL MUSIC VIDEO]

 昨年の『ONE OK ROCK 2020 “Field of Wonder” at Stadium Live Streaming supported by au 5G LIVE』でのライブレポート(※1)において、当時「Wonder」を初めて聴いた筆者は「最新作『Eye of the Storm』で迎えた最大の変革期を経て、より高みへと向かうバンドの姿勢がそのまま表現されたと言っていい。今後のライブにおいても間違いなくキラーチューンになることだろう」と述べた。初披露は1年前なので、世に発表された順番としては「Renegades」や「Broken Heart of Gold」よりも「Wonder」の方が先になるが、映画の主題歌は準備期間など相当な時間を要することもあり、これら3曲の制作時期はおそらくほぼ同時期だったのではないだろうか。そう考えると、現在のONE OK ROCKのモードが非常に面白くなっていることが想像に難しくない。

 EDMの影響下にあるサウンドをベースにした『Eye of the Storm』をより進化させた、モダンな方向性の「Renegades」「Broken Heart of Gold」と比べると、ギターリフを軸に曲作りを進めたような「Wonder」は往年のスタジアムロック的な豪快さが強い。ロックバンドとしての肉体的なアンサンブルを全面に打ち出し、アルバム『Ambitions』(2017年)以前のスタイルを彷彿とさせるものがある。そんな中でも突き抜けるような力強いビートと、グルーヴィでミディアムなテンポのアレンジ、観客とのシンガロングを意識したコーラスワークなどは、アリーナやスタジアムなどの大規模会場で披露されることが前提になっているように映り、“『Ambitions』以前”と“『Ambitions』以降”のスタイルがバランスよくミックスされている。一方、楽曲そのものの構成は『Ambitions』や『Eye of the Storm』で見せたシンプルな作風で、これは過去への後退ではなく、「持ち札のうちのひとつ」を進化した今のスタイルで表現したということなのだろう。

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