SawanoHiroyuki[nZk]、多彩なゲストとともに迎えた2年ぶりソロ公演 ステージから伝わった“ライブ”への想い

 2人の熱唱からnaNamiへとターンが変わると、彼女がこれまで担当してきたメロウな2曲「Next 2 U -eUC-」「N0VA」が披露される。ステージの真ん中から会場全体にくまなく目配せし、丁寧にメロディラインを歌い上げる。しっとりとしたムードに包まれながら、自身が作詞した「N0VA」について語り、次のAnlyへと繋いだ。

 澤野のライブには2回目の出演となったAnly。『銀河英雄伝説 Die Neue These 星乱』のエンディングテーマだった「Tranquility」に加え、同シリーズでオープニングテーマを担っていた「Binary Star」をカバーするというちょっとしたサプライズを届けてくれた。ミラーボールがステージから光を放って会場内が星空のようになっていた演出もニクいが、Anlyの明るめの声色が真っすぐに響いていくと、スローナンバーな2曲がより煌めきを増して観客を魅了した。

 この日のライブ最後のゲストとして登場したのは、邦楽ロックシーンきってのトリックスター・岡崎体育。演者全員がドレスアップするなか、白いスニーカー、黒いジーパン、「BASIN TECHNO」の黒いロングT-Shirtsにキャップときわめてカジュアルな服装で登場した。「みんな歌上手すぎて歌いづらいですやん」とツッコミながら、飾り気のない彼らしいボーカルで「膏」を歌い上げた。と思いきや、巻き戻し音が流れ始め、同曲のMV終盤で踊っていたオリジナルダンスを披露し、観客も大きな手拍子でしっかりと応えて本編は終了した。

 会場の熱い拍手の中で迎えたアンコールでは、Yoshが「BELONG」を熱唱。ラストにはYoshに加えmizuki、Laco、Tielle、Gemie、naNamiが3rdアルバムより「REMEMBER」を合唱しライブを締めくくった。

 アンコールで、恐怖に慄く僕らを救う魔法は無くとも、いまは耐え忍ぶのみというメッセージを込めた「BELONG」と、苦境の中にあっても自身の強さを思いだし、未来へと歩みを進めようという思いを歌い上げる「REMEMBER」を披露したことは意義深い。

 音楽を現場で体感し心揺さぶられること、コロナ禍にあっても希望を捨てずに生きていこうということ、重厚感とゆったりとしたグルーヴ、そこから光のように歌声が放たれていくSawanoHiroyuki[nZk]の音楽は、その力強いサウンドとともにメッセージを放っていた。再度「膏」で出演者がオリジナルダンスを踊るというお茶目なシーンも挟みつつ、終演後に起こったのは万雷の拍手。観客から送られたその拍手は、縮こまってしまった心が再び動き出す、胎動のようですらあった。

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