荻原梓のチャート一刀両断!
King & Prince『恋降る月夜に君想ふ』、圧倒的な差で首位に 王道J-POP曲から感じるファンへ寄り添う姿勢
参照:https://www.oricon.co.jp/rank/js/w/2021-10-18/
最新のオリコン週間シングルチャートによれば、King & Princeの『恋降る月夜に君想ふ』が441,973枚を売り上げ1位を記録。2位には17,927枚でNGT48の『Awesome』、3位には14,261枚で乃木坂46の『君に叱られた』と続き、King & Princeが他を寄せつけない圧倒的な差で首位に立った週となった。
『恋降る月夜に君想ふ』はKing & Princeの8枚目のシングル。表題曲は映画『かぐや様は告らせたい~天才たちの恋愛頭脳戦~ファイナル』主題歌で、同映画の前作にあたる作品の主題歌「koi-wazurai」に続く起用となる。そのため、この曲に登場する〈僕らは運命に 少し甘え過ぎかな〉や〈言えない台詞ばかり〉といった描写は、互いに惹かれ合いながらもプライドが邪魔をして告白できない2人の恋愛模様を描いた同映画の物語に沿ったものだ。
サウンド面に耳を傾けると、豪華なオーケストレーションの施された緻密な音作りが気持ち良い。ほどよいダンスビート、ドラマチックなストリングス、繊細なタッチのピアノ、鐘の音といったように、一聴して“これぞKing & Prince”な王道のJ-POPサウンドが展開されている。とりわけサビのメロディは印象的で、〈Darling Darling〉や〈Loving more Loving〉といった繰り返しのフレーズにキャッチーさがありつつも、ワクワク感の中にどこか切ない、胸が締め付けられるような美しい旋律も耳に残る。
また、全体を通して“君”に恋する“僕”の内面の気持ちを中心に歌っている歌詞だが、Dメロで〈もしも地球の片隅で〉と視界が広がる展開を見せるのも彼ららしい構成だ。「シンデレラガール」では夜空を越えて会いに行く彼らだが、今作では夜空に橋を架けて見つけに行く。王道のJ-POPサウンドに、思わず口ずさみたくなるメロディと、彼ららしく“君に会いに行く”歌詞、三拍子揃った一曲である。
先日は3rdアルバム『Re:Sense』をリリースし、海外プロデューサーとのコラボなどを通してまたひと回り成長を遂げたKing & Prince。大きく世界へ羽ばたいている彼らが、国内では王道のJ-POPを作る姿に、彼らのファンへ寄り添う姿勢を感じ取れる。