May J.が2年ぶりツアーで届けたステージへの思い “Dark Pop”を経た歌手としての最新形
続いてのパートでは、今年5月から4カ月連続で配信リリースされた「Rebellious」「Can’t Breathe」「Love&Hate」「DRAMA QUEEN」を一気に披露。yahyelの篠田ミルをサウンドプロデューサーに迎え、洋楽を意識したサウンドメイクと内面をさらけ出すリリックを軸とする“DarkPop”なるコンセプトを掲げて生まれた楽曲たちは、最新のMay J.のチャレンジングな側面を描き出す。ダンサーとともに繰り広げられたクールで艶っぽいパフォーマンスも含め、そこでの表情は彼女にとっての新たな魅力として今後も進化していくことになるのだろう。
光を感じさせるあたたかなナンバー「Be mine ~君が好きだよ~」をきっかけに、ライブは後半戦へと突入。「Garden」や「So beautiful」、「RAINBOW」といった、その歴史の中で生み出されてきたキラーチューンの数々で会場をさらに大きく盛り上げていく。
「最後は新曲です。悔いが残らないようにみんな思いきりワイパーして、思いきりひとつになりましょう。今日は本当にありがとう!!」
ラストはラテンの匂いを感じさせる新曲「Flowers」。伸びやかなメロディの上で命の尊さをメッセージしていくナンバーに、フロアにはファンたちが掲げた手のひらの花が無数に咲き誇る感動的な光景が広がることとなった。
アンコールで再びステージに登場したMay J.は、来年1月からスタートするミュージカル「ボディガード」で主演を務めることを報告。その流れから、映画『ボディガード』の主題歌「I will Always Love You」を圧倒的な歌声で届けてくれた。そして――。
「今日を無事に迎えることができて本当に安心しています。私自身はこの1年半、まったくライブができなくなったことで、自分が自分らしくいられる場所がなくなりました。この先、大丈夫かなって考えると不安で眠れなくなることもあって。だけど今日、ここに立たせていただいたことで、やっと自分に戻れた感じがします。心から音楽を楽しんで、みんなとパワーを共有し合って、思いきり歌えて。私が生きていると感じるのはやっぱりこの場所だったんだなって、ほんとに感じました」
コロナ禍を通して感じていた思いを赤裸々に言葉にしたMay J.は、「ありがとう」「SIDE BY SIDE」の2曲でファンへの感謝をしっかりと伝え、15周年という節目を祝うツアーを大団円へと導いた。
今ツアーに掲げられていた“Euphoria”には“多幸感”という意味がある。May J.がファンとともに作り上げた約2時間のステージは、まさに日常から切り離された幸せな非日常を存分に感じさせてくれるものだった。
12月8日には約4年ぶりとなるオリジナルフルアルバム『Silver Lining』のリリースも決まっている。配信シングルで見せた“DarkPop”の世界が、アルバムとしてどう展開されていくのか。そこではきっとまだ見たことのない新しい表情で僕らを驚かせてくれるに違いない。音楽を心から愛し、楽しみながら追及していくMay J.の旅は、ここからも止まることなく続いていくのだ。