豆柴の大群、アイドル×バラエティの化学反応から生まれる爆発力 藤井健太郎ワールドが引き出すグループの核

豆柴の大群、唯一無二の爆発力

 予想の斜め上。10月3日に舞浜アンフィシアターで開催された特別公演『豆柴の大群の疾走』を一言で表すとすればこれに尽きる。

 その予想外の要素をつかさどっているのは、『水曜日のダウンタウン』(TBS系)を手がける藤井健太郎が総合演出を担当していることにある。『水曜日のダウンタウン』内のクロちゃんプロデュースアイドル企画「MONSTER IDOL」から誕生した豆柴の大群。デビューシングル曲の「りスタート」、さらに1stミニアルバムの『WOW!!シーズン』収録曲「走れ豆柴」のMVはそれぞれ藤井が監督を務めた作品だ。豆柴は、この12月で結成から2年が経つが、その間もクロちゃんのダイエット結果によりフィーチャリングゲストが決まる番組企画や高所恐怖症のカエデフェニックスが「アメとムチならムチの方が力出る説」でバンジーに挑戦。ほかにも、『豆柴の大群 実力をしっかりとつけるツアー』『豆柴大作戦〜掴み取れ豆粒の大群〜』と2度のツアーで披露している公演中のコントの脚本を藤井が手がけていたりと、番組内外でその交流は続いていた。

 豆柴は先のツアーで自分たちの実力を持って全国各地で待っているファン・豆粒を掴み取ってきた。そこには「クロちゃん」「『水曜日のダウンタウン』」といった、メンバーよりも強くあるグループへのイメージを払拭したいという思いも滲む。だが、逆に考えれば「バラエティ番組発」といった肩書きは、WACK内のグループの中でも唯一の強み。その特色を改めて全面に押し出したのが、今回の『豆柴の大群の疾走』である。

 公演の内容は、豆柴のメンバーが江戸、昭和、バブル期、原始時代……と様々な時代にタイムスリップするという、いわゆるタイムリープもの。公演の1部と2部の間に開かれた記者会見で、クロちゃんは主演とも言えるその出演回数とセリフ量に言及していたが、これまでのツアーで披露していたコントを公演全体に広げたライブというよりかはコントの時間が多めの特別公演。自らの言葉で豆粒に投げかけるMCがほとんどないことを考えれば、それは演劇と捉えてもおかしくはない。

 そして、何が飛び出すか分からないという意味では、『豆柴の大群の疾走』はびっくり箱のようでもある。今振り返れば、メンバー5人がそれぞれ様々なコスチュームに身を包み、映画館のような場所で驚いているキービジュアルは、公演への期待を高めるヒントにもなっていた。出演は、「クロちゃんの先祖(?)」として登場したクロちゃんのほかに、こがけん、ゆりやんレトリィバァ、ハリウッドザコシショウといった芸人から、ベッド・イン、第1期BiSのメンバーであるプー・ルイ、カミヤサキ、古正寺恵巳(コショージメグミ)といったアイドルまで、幅広いゲストが集結。構成、ゲスト出演者においても藤井が考案しており、芸人に至っては『水曜日のダウンタウン』でのお馴染みの面々でもある。

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