KAT-TUN、大差をつけてシングルチャート首位に　AK-69との手加減なしのコラボで見せる“衰えることない野心”

　そんななかで印象的なのは、2番でAK-69が見事なラップを披露する場面である。英語メインのリリックを低めに淡々とライミングする部分と、日本語メインのリリックを挑発的に舌を絡ませるように素早くラップする部分のコントラストがはっきりしていて、フロウの変化で楽曲の展開を華麗に演出している。このAK-69がラップする間、MVでメンバーは切れ味鋭いダンスを見せ、ヒリヒリとした緊張感の漂う鬼気迫るパフォーマンスが繰り広げられている。本格的なヒップホップと、ダンスボーカルグループであるKAT-TUNの両者が、手加減なしで力を出し合った瞬間と言えそうだ。

　一方で、「EUPHORIA」はテレビドラマ『ザ・ハイスクール ヒーローズ』（テレビ朝日系）の主題歌。90年代ダンスミュージックを彷彿とさせるピアノの軽快なタッチや、耳に残るシンセサイザーのサウンドを、現代のEDMの感覚でアップデートしたような一曲だ。リズムには駆け抜けるようなスピード感があり、メロディには恍惚感がある。歌詞は“EUPHORIA＝幸福感”をテーマに、孤独な現実を乗り越え、希望ある未来へ向かおうといった力強い姿勢を感じるフレーズが並んでいる。「We Just Go Hard feat.AK-69」とは打って変わって、こちらは激しいサウンドに体全体を委ねるような、感覚的な気持ちよさのある楽曲だ。

　どちらもパワフルな楽曲で揃えた今回のシングル。デビューより15年が経ち、これで通算29枚目となるシングルリリースだが、いまだ彼らの野心や勢いは衰えていない。