BiSH、3作連続アルバムチャート首位が示す“王道を行く存在感” ブレない新作にみなぎったポジティブな自信

 個々に実力がつき、ソロ活動が充実していくと、さてグループ本体はどうなるか。よくあるのは自作の曲が増え、各自のカラーの違いを積極的に打ち出していくパターンですが、BiSHがそうならないのはコンポーザー・松隈ケンタによるところが大きいと思います。今回も14曲中13曲が彼による作曲で、唯一異なる作曲者の井口イチロウも松隈と同じ制作プロダクション SCRAMBLES所属です。作詞者はそれぞれ違っても、大元となる楽曲をひとつのチームががっちり固めているから、バラエティはあっても根幹にブレがない。というか、毎年これだけの数のロックチューンを量産できる松隈ケンタの底知れなさ、もっと語られてもいい気がします。

 アイナの活躍を見ればわかりますが、現在、バンド界隈では「BiSHに楽曲提供したい」「ぜひ俺の曲で歌ってほしい」との声が想像以上に多いように思います。人知れずBiSHとの共作を望む大物がいたりするし、作曲を外部に依頼することで生まれるケミストリーもあるかもしれない。でも、そうしない。BiSHはこうあってほしいという親心、もしくは理想のようなものが、制作チームにあるのだと思います。なんだか愛されているなぁ。そういうことをしみじみ感じるアルバムでした。

 メンバーそれぞれが掴んだ表現力を活かした結果か、今回のアルバムに阿鼻叫喚が吹き荒れる過激一直線の曲はなし。激しいパンク、高速BPMで駆け抜けるデジタルハードコアはありますが、メロディがどれも力強く、くっきりとポップです。ユニゾンをほぼ使わない、それぞれの声質を生かしたメロディリレーも相変わらずのBiSHらしさになっていて、声から伝わる自信がポジティブな空気をさらに増幅させている。賛否でいえば賛のムードしか感じないこの新作で、彼女たちははっきりと王道にいるのだなと実感しました。

BiSH / BE READY [OFFiCiAL ViDEO YouTube ver.]

※1:https://realsound.jp/2020/07/post-587096.html

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