声優 西山宏太朗、甘やかな歌声と切ない目線で恋愛を見つめる ぜったくん、高野寛ら参加の新作『Laundry』を聴いて
最後は、アルバムリード曲である「Sweet Lemonade」。日本テレビ系『バゲット』の7月エンディングテーマとして、他の曲に先駆けて5月からMVも公開されている。MVの中では、1996年と2021年、2つの時間軸で展開される2つのラブストーリーを演じる西山の姿が見られる。どこかレトロな雰囲気のシティポップで、タイトル通り、レモネードのような甘さと苦みのある恋を振り返りつつ、大切な思い出として慈しもうとする曲だ。なお、作曲は前作『CITY』収録の「とびきりの夜はここにある」でもタッグを組んだ岩越涼大が手がけている。
「ジメっとしたラブソング」というちょっと変わったテーマのアルバムだが、通して聴いてみると柔らかく甘やかな西山の歌声と、切なくも甘美な目線で恋愛を見つめるコンセプトが非常にマッチしているのがよくわかる。
アルバムタイトルの『Laundry』には、「あの時の“選択”は正しかったのだろうか...。」という感情と、 曇った気持ちを“洗濯”して全てを洗い流す、という2つの意味が込められているのだという。
思いを告げるのか、告げないのか。別れを切り出すのか、切り出さないのか。別れた後、もう一度会いたいと願ってもいいのかどうか。恋愛は選択と後悔の連続であり、恋のさなかにいる時間が甘やかであればあるほど、それが終わってしまったのちの後味はより苦い。
楽しくてハッピーなだけではない、恋愛の「その先」の感情を、繊細な機微で描いたこのアルバム。ちょっとメロウな気持ちに浸りながらリピートするにはぴったりの1枚ではないだろうか。
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